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令和3年4月新設!障害者介助等助成金( 職場支援員の配置又は委嘱助成金・職場復帰支援助成金 )について解説します!~ 措置2 職場復帰支援 ~

■ はじめに

こんばんは、ぐっとらんどの伊藤です。

実はちょっとした変化ですが、本日からあいさつ文に私の個人事業主の屋号も入れることにしました。

皆さんに私の屋号を覚えていただくことはもちろんのこと、私自身が「そう言えば俺屋号あったよな?」みたいに全く定着していない状況だったことが理由です(笑)

さて前回は障害者介助等助成金( 職場支援員の配置又は委嘱助成金・職場復帰支援助成金 )の措置1について解説させていただきました。

本日は「措置2 職場復帰支援」について解説させていただきます。

※旧制度と比較されたい方はこちらの記事もご参照下さい。

下記の出典:職場支援員の配置又は委嘱助成金(https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/kaijo_joseikin/sub04_shokubashienin_haichi_ishoku.html)

■ 措置2の概要

中途障害者等に対して、職場復帰後の本人の能力に合わせて、以下の①または②の職場復帰のための措置を講じる場合に助成します。
① 時間的配慮等 ② 職務開発等 ③ ②に伴う講習の実施

旧制度と比較して③が新しく追加されておりますね。

実はこれは旧制度で廃止が発表された障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)の措置7と近しい内容となっております。

ただし、双方とも同じく支援経験が豊富な講師が講習を実施するという共通点はありますが、旧制度は障害者の方の職場定着の為の社内理解の促進が目的、新制度は職場復帰支援が目的といった違いがあります。

詳細はまた次項以降で解説していきます。

※旧制度の措置7について知りたい方はこちらの記事もご参照下さい。

下記の出典:職場支援員の配置又は委嘱助成金(https://www.jeed.go.jp/disability/subsidy/kaijo_joseikin/sub04_shokubashienin_haichi_ishoku.html)

■ 支給額

対象障害者1人あたり、下表に示す月額に、支給対象者が支給対象期中に実際に就労した月数(支給対象者の出勤割合が6割に満たない月は除く)を乗じた額が支給されます。

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また、職務開発等に関する措置に伴い講習を行った場合、上記の額に加えて、その
講習に要した対象経費(※1)に応じて、下表の額が支給されます。

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※1 対象経費は、講習に要した費用のうち、講師への謝金、講師の旅費、講習を実施する会場の使用料、教材費、資料代、外部機関が実施する講習の受講料等の実費(支給対象事業主が費用を負担した場合に限ります)及び講習に参加する対象障害者の賃金(業務の一環のOFF-JTとして労働者に受講させており、講習に参加している時間に対して労働者に対する賃金を支払っている場合に限ります。また、内容に連続性のある講習で、複数回にわたって開催する講習については、初回から最終回までの全回に参加している場合に限ります。)なお、講習に参加するための対象障害者の旅費、その事業所において雇用されている者を講師にした場合における、講師に対する謝金及び旅費については支給対象ではありません。

※2 第1期中に要した対象経費は第2期には繰り越せません。

こちらの支給額も旧制度の措置7と同じですね。

■ 対象となる労働者

① 申請事業主に雇用される常用雇用労働者であること
② 職場復帰の日の時点で、次のイ~ニのいずれかに該当する者であること
イ 障害者雇用促進法第2条第2号に規定する身体障害者
ロ 障害者雇用促進法第2条第6号に規定する精神障害者
ハ 平成27年厚生労働省告示第292号が定める特殊の疾病(難病)※のいずれかを有する者 ※下記の参考資料をご参照ください。
ニ 高次脳機能障害であると診断された者
③ 医師の意見書(※)により、②の障害等に関連し、1か月以上の療養のための休職が必要とされた者であること
※ 所定の様式が機構HPから取得できます。
④ 就労継続支援A型事業における利用者でないこと
⑤ 申請事業主または取締役の3親等以内の親族以外の者であること

※参考資料

■ 対象となる事業主

共通の要件の他、次の①および②に該当する事業主が対象です。

① 対象障害者に対して、その職場復帰を促進するため、職場復帰の日から3か月以内に職場復帰のための措置を開始し、休職期間中も含めて、常用雇用労働者としての雇用を継続する事業主であること
② 対象障害者を、支給対象期の第1期の場合は措置実施後6か月以上、第2期の場合は第2期支給対象期の初日から6か月以上の期間継続して雇用し、その労働者に対して、各支給対象期分の賃金を支給した事業主であること

「 一般被保険者等 」と「 常用雇用労働者 」という表現の違いはありますが、旧制度とほぼ同じですね。

■ 職場復帰のための措置の具体的内容

次の①~③に該当する措置が本助成金の支給対象となります。

① 時間的配慮等
次のイ~ハのいずれかに該当する措置を継続的に実施するものであること
イ 医師の意見書及び対象障害者の同意の下の労働時間の調整※1
ロ 通院または入院のための、就業規則等に規定する有給休暇制度以外の特別な有給休暇を与えること※2
ハ 独居を解消し親族等と同居するための、対象障害者同意の下の勤務地の変更
※1 勤務時間の変更のほか、通勤時間の短縮のための本人の転居を要しない勤務地の変更を含みます。
※2 医師の意見書に記載された必要な通院回数以上の通院回数が確保できるものに限ります。
② 職務開発等
次のイ~ハのいずれかに該当する措置を継続的に実施するものであること
イ 外部専門家※3の援助を得て行う職務開発(P3を参照)
ロ 外部専門家※3による援助の結果、休職前に従事していた職務について実施できない業務がある場合に、これを踏まえた職種の転換※4
ハ 外部専門家※3による援助の結果、必要と認められる支援機器の導入、スロープ設置等の対象障害者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行のための施設整備※5
※3 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所その他の対象障害者を支援する障害者の就労支援機関の支援者を指します。
※4 職業安定法第15条に基づき職業安定局長が作成する職業分類表の中分類の異なる職務に就かせることをいいます。
※5 申請事業主が費用を負担し、職場復帰の日から起算して3か月以内に完了するものに限ります。この場合における職場復帰のための措置の実施日は、職場復帰の日または施設整備が完了した日のいずれか遅い日となります。
③ ②に伴う講習
次のイ~ハに全て該当する講習であって、②の措置の実施に伴い、新たな職務に従事することとなった対象障害者に対して実施するものであること。
イ 対象障害者の障害特性に応じて、新たな職務の遂行に必要となる基本的な知識・技術を習得するための講習であること。
ロ 講習の時間が1回につき1時間以上であること※6
ハ 講習の講師が、講習の内容に直接関連する職種の経験が3年以上ある者であること
※6 対象障害者が同一であり、内容に連続性のある講習については、当該講習の初回から最終回までの全回で1回とみなす。

①と②は旧制度の措置5、③は措置7とほぼ同じ内容かと思います。

ただし③は旧制度では医師、精神保健福祉士などの有資格者も講師の条件の一つに入っていましたが、新制度では「 直接関連する職種の経験が3年以上ある者 」に統一されているという違いがあります。

■ 支給対象期間

支給対象期間は、職場復帰のための措置を開始した日の直後の賃金締切日の翌日※1から起算して最大1年間です。最初の6か月を第1期、次の6か月を第2期の支給対象期といいます。
※1 賃金締切日が措置を開始した日の場合は措置を開始した日の翌日、賃金締切日の翌日が措置を開始した日の場合は措置を開始した日となります。

■ 全体的な所感

全体的には旧制度の措置5と同じ内容ですが、旧制度の措置7が廃止になり逆にこの新制度にその内容が組み込まれたことを勘案すると、やはり症状の悪化などで休職された障害者の方の職場復帰率や職場定着率を上げたいという意図が見えてきますね。

特に精神障害者の方の1年以内の離職率は約50%と言われています。

そういった意味でもこの新制度にその改善を期待されている可能性は十分にあるかと思います。

■ 本日のまとめ

〇 障害者介助等助成金( 職場支援員の配置又は委嘱助成金・職場復帰支援助成金 )の措置2は基本的に障害者雇用安定助成金 (障害者職場定着支援コース)を踏襲した内容になっているが、一部措置7の要素も追加されている。

〇 ただし、双方とも同じく支援経験が豊富な講師が講習を実施するという共通点はあるが、旧制度は障害者の方の職場定着の為の社内理解の促進が目的、新制度は職場復帰支援が目的といった違いがある。

〇 上記のような背景にはやはり症状の悪化などで休職された障害者の方の職場復帰率や職場定着率を上げたいという意図がありこのような制度になった可能性がある。

やはり所感の項目でも述べさせていただきましたが、障害者雇用関連の助成金の全体的な潮流としては職場定着率のアップというのが大きな課題であり、その改善に向けた制度設計がなされているように感じます。

やはり個人的にもそれは同感でいくら障害者雇用の拡大を図ってもすぐに離職してしまっては本末転倒なので、それらの取り組みは大切なことだと思っております。

また、私も障害者雇用および就労支援に携わってきた経験から、一度休職された方の職場復帰は非常に難しいと感じており、他の方々も同じ意見の方が多いかと思います。

これはやはり一度休職された方が後ろめたさなどで復帰しにくくなり退職を選んでしまうという側面もありますが、受け入れる企業側が復帰後にどのように接して良いのか分からずに復帰してもまた休職を繰り返して結果退職に至ってしまうという側面もまたあります。

こうした助成金を背景とした支援の取り組みももちろん大切ですが、やはり雇用する側とされる側で以下に休職に至らないように日頃から予防策を話し合いながら実行していくことも大切だと思います。

このnoteでも引き続き職場定着率アップや職場復帰支援に関するニュースなどの解説にも力を入れていきたいと思います。

本日は個人的に関心のあるテーマの助成金だったので思いのほか長文になってしまい大変失礼しました💦

次回は障害者介助等助成金( 職場支援員の配置又は委嘱助成金・職場復帰支援助成金 )のまとめ記事を投稿したいと思います。

ここまでご拝読いただきありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします<m(__)m>





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