エコーチェンバーによって「悪の組織」の存在を信じる現象とリテラシー教育
以前書いた記事にも関連する話になります。
「悪の組織」が存在すると信じてしまう現象
ここ数日、Twitterの教員アカウント界隈で騒がれていたのが以下のツイートです。
これ自体は修学旅行の金額に対する疑問だけなのですが、これから続くリプの数々が「ピンはね」や「生徒が教員分の旅費を負担」などと凄まじい陰謀論の数々。
しかも、確証や証拠はなく、おそらくは学校や教員に対する不満や悪印象からの思い込みなのでしょう。
とはいえ、こうした「自分の周りに存在する不満を抱えている事物」に対し、「悪の組織」を連想する人々は少なからず存在します。
このツイートとリプで言えば、学校や教員はさしずめショッカーと戦闘員といったところなのでしょう。
昨年のアメリカ大統領選における陰謀論
昨年に行われたアメリカ大統領線における陰謀論も似たような構図でした。
「郵便投票に不正があった」や「ドイツで不正の証拠となるサーバーを押収した」といった確証のない話が出回って、メディアで露出のある言論人の中にはどっぷり嵌った人もいたようです。
新型コロナやワクチンに関する陰謀論
新型コロナ関連でも様々なデマや陰謀論がありました。
(物によっては今もありますが)
「ワクチンには時間差で致死性の毒が入っている」や「人類を管理するために作られたウイルス」、「5Ḡの電波はウイルスを拡散させる効果がある」などは有名所でしょう。
これ以外にもロシアとウクライナの問題など陰謀論の話をすると枚挙に暇がありません。
なぜ陰謀論にハマるのか
こうした短絡的な犯人探しから「悪の組織」が自分たちを害しようとしているという発想はいつの世にも存在します。
しかし、近年はこうした陰謀論が流行る回数が多いように思います。
あるいは目にする機会が多いと言えるかもしれません。
これにはSNSの普及が深く関連していると言われています。
SNSはエコーチェンバーの環境を構築しやすい
「エコーチェンバー」とは似たような情報やニュースが繰り返し流通する環境のことです。
SNSにおいては自分のフォローや高評価によって、似た考え方の情報ばかりが集まることになります。
その結果、SNS内は非常にエコーチェンバー化しやすい空間となることが知られています。
そしてさらに、自分の思考を強化しただけでなくそれを拡散します。SNSではAIが自身と似た思考や行動が多い人を選んで表示して、さらにエコーチェンバーが進み、デマや陰謀論を信じる人が増え、社会の分断が進むという結果になります。
どうすれば陰謀論を避けることができるか
非常に難しいというのが実際のところのようです。
ただ、SNSに関してはそうした意見や思考を加速させるとがあるということは大人だけの問題というだけではありません。
教員にとっては、その性質をきちんと理解し生徒に伝える必要があるでしょう。
ただ、ここで弊害があるから使うな、というのは教育ではありません。あくまでそうした性質があることを良く理解し、その上で使うという指導をするべきです。
それこそがリテラシー教育だと思います。
また、それに加えて物理や化学、生物など理科の基本的な知識と理解も重要です。(もちろん他の教科もそうですが)
それを学ぶことで、ITリテラシーだけでなく、基礎教養なども含めて高め、陰謀論に惑わされない考え方が身につくのではないでしょうか。
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