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【運用型テレビCM】 費用100万円からテレビCMを放映し、効果を可視化する方法 【まとめ】

この記事は2021年9月に執筆しています。
(ちょうど「劇場版 『鬼滅の刃』 無限列車編」で「CM多すぎ」がトレンドになっていました。)

運用型テレビCMとは?

ここ数年「運用型テレビCM」という言葉がよく聞かれるようになってきました。ここで多くの方にとって、テレビCMはわかるけど、「運用型」ってどういうこと? 運用型「じゃない方」もあるの?という印象だと思います。

元々テレビCMは、一度出稿が始まったら最後、キャンペーンが終了した後に、調査等で初めてその効果を測っていくことが主でありました。

具体的には調査会社のパネル調査等で、認知率や内容理解、購買意向等の態度変容指標(意識のKPI)を計測していくものです。

もちろん、テレビCMが流れ始めて商品が動いていればその効果を推し量ることはできましたし、週次でそうした数字をトラックする企業も多いです。しかし、あくまでテレビCM全体での評価であり、具体的にどの時間に流れたのが効いたのか?どの曜日に流れたのが効いたのか?複数本素材がある内、どのクリエイティブ(CM表現)が効いたのか?どの番組に流れたのが効いたのか?など、テレビCM1本1本の評価はほとんど可視化されてこなかったものと認識しています。

デジタル広告の隆盛やそれに伴う計測ツール(Google Analyticsやモバイル計測プラットフォーム)の進化により、行動のKPI(Webサイトのセッション数やCV数、アプリのインストール数などなど)が計測できるようになりました。そうした計測の波が次第にテレビCMにも接続がされ、運用型という言葉につながってきていると解釈しています。(自分自身の広告代理店での実務経験も踏まえると、テレビCMの1本1本の効果を可視化し、改善につなげていく試みは少なくとも5年以上前となる2015年〜2016年頃から始まってきています)

運用型の市場は今後も拡大することが予測され、下記のように2025年には920億円と、2021年から10倍程度市場規模に成長していくと予測するデータもあります。

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運用型テレビCM市場、2025年には920億円規模に拡大すると予測【テレシー調査】 より引用。

運用型テレビCMを提供するサービス

この種のテレビCMの特徴を紹介する前に、具体的な運用型テレビCMサービスを紹介します。(すべては網羅できていないかもしれませんが、よく見聞きするもの3つです)

|ノバセル BY ラクスル|

ラクスルさんのノバセルがその筆頭ではないでしょうか。ネット印刷サービスのラクスルさんのグロースを牽引したテレビCMノウハウがそのままプロダクトされたサービス、それがノバセルです。下記の記事にもありますが50億円以上のマーケティング投資の中での学びを凝縮した説得力、強いです。


|テレシー(TELECY)|

本記事のタイトルにも一部引用させて頂いていますが、「100万円からはじめられる」というのを押し出しているのがテレシーです。電通さんとVOYAGE GROUPさんの連携でテレビCMとデジタルマーケティングの考え方をMIXしています。


|ADVA(アドバ)|

サイカ社も成果報酬型のテレビCM出稿サービスとして「アドバ」を展開しています。特に、「国内No.1の広告効果測定ツール」と銘打つADVA MAGELLAN(アドバ マゼラン)では、オンライン広告や外的要因との組み合わせの影響も加味した効果の可視化から、テレビCMの最適予算の算出につなげることができます。


運用型テレビCMの3つの特徴

「運用型」と分類されるテレビCMの特徴を3つ挙げたいと思います。(サービス毎に機能差異がある可能性もありますので詳細は各サービスにお問い合わせください)

❶効果がほぼリアルタイムに分かり、改善のポイントが見える:
計測ツールとの連携もあり、ダッシュボードでほぼリアルタイムにテレビCM1本1本の反響をビジュアルで理解することができます。
従来、キャンペーン実施の後に効果を測っていた時代と比べると、出稿開始して1週間くらいで下記の疑問に対する大体の答えが見えてきます。
出稿が終わる頃には改善ポイントまで出揃っているスピード感を実現可能です。

・どの時間に流れたのが効いたのか?
・どの曜日に流れたのが効いたのか?
・複数本素材がある内、どのクリエイティブ(CM表現)が効いたのか?
・どの番組に流れたのが効いたのか?

❷小さく始められる:
これは運用型テレビCMそのものの特徴というよりも、特に初めてテレビCMを検討している事業者にとって始めやすい環境が整っていることを指します。
マーケティングに関与するものならどなたでも実感すると思いますが、テレビCMの費用は特に首都圏で検討した場合、正直いい値段がします。笑
それほど多くの人に届くからではありますが、広告宣伝費に占める割合は大きくなりやすく、初めてテレビCMを実施する場合や、スタートアップで調達したお金の大部分を充てる戦略をとる場合に、失敗したときのリスクが高く、意思決定しづらいのは事実だと思います。

そんな時に、運用型テレビCMを提供しているサービスでは相対的に費用の安いエリアからも始められます
デジタル広告に近いアプローチかもしれませんが、小さく始めつつ、❶で見たような内容を相対的に低いコストで検証し、失敗する確率を下げた上で首都圏での放映にチャレンジできるのは運用型テレビCMを提供するサービスのおかげでもあり、経営者やマーケティング担当者からすると、サービスやプロダクトをグロースするオプションが一つ増えている時代とも言えます。

❸ワンストップでお願いできる:
従来広告会社や制作会社と一緒に進めていたのと同じく、運用型テレビCMに関しても、ターゲットの選定〜調査〜クリエイティブ提案〜制作〜放映〜振り返り、を1つのサービスで一気通貫にご一緒できます。
また、テレビCMのみならず、最近非常に人気のタクシー広告も含めて出稿できるサービスもありますので、あわせて検討できるのは経営者やマーケティング担当者としては動きやすいのではないでしょうか。

Why テレビCM?

そもそもの部分ですが、なぜテレビCMなのか?視聴率下がっていると聞くし、みんなテレビ見なくなっているのでは?という点に対して、個人的な考えを書いておきます。

まず、サービスやプロダクトのPMFが達成された状態になって、最初は集客のためにデジタル広告に手を出すと思います。
次第に最適化を続けるとCPIやCPAが悪化してくるフェーズが必ずやってきます。これは顕在層と呼ばれるような自ら検索をしてくれる層には限りがあるからです。
このフェーズになってくると、まず知っている人を増やす必要があり、そのためにテレビCMは効果を発揮すると考えます。(行動喚起もそうですが)

デジタル広告はニーズが明らかになっている場合には非常に強いですが、認知の獲得にはそれほど向いていない側面もあると思います。

『確率思考の戦略論』にもある通り、認知度は市場を制限するファクターの一つであり、事業の売上に直接的に影響します。マイルストーンKPIとしてみるべき重要な指標です。

その際、認知をしてもらうのに向いている媒体として、テレビ以外の様々な媒体とデータ比較をしたことがありますが、リーチ効率や認知を含めた態度変容、行動変容の程度に関し、やはりテレビのスコアが高いです。


How テレビCM?

上記からテレビが有効なメディアである前提で、それでも特にスタートアップの資金の多くをテレビCMに投下する危険性は非常に高いです。(新規事業などの場合も)
クリエイティブ制作一つ取っても、自社のサービス・プロダクトのどの点を押し出すべきか定量的な根拠で言えますでしょうか?より多くの人が目にするテレビCMでは、顕在層に刺さっていたデジタル広告での表現と異なる表現が効く場合もあります。

そのため、小さく始められて、かつ、その後の改善も見込める上記のような運用型テレビCMを提供するサービスに頼るのがスタートアップの経営者やマーケティング担当者にとっての定石になるのではないでしょうか。堅くやるべきです。

本記事では運用型テレビCMを実現する方法やそのメリットをご紹介しました。ここまでお読みいただきありがとうございました。

スタートアップの経営者、マーケティング担当者、新規事業開発の方向けに、【初めてテレビCMをやる前に知っておきたいプランニングノウハウ】も公開中です。広告代理店のメディアプランナー・事業会社でのマーケティング担当の経験をまとめたものになります。よろしければご覧ください。


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