見出し画像

実家が実家じゃなくなる日

町内会活動はいずれなくなるんだろうな

 先日、町内会での清掃活動があった。私も時間があったので、早朝からの活動に参加した。だいたい1時間30分ぐらいでした。黙々と黙って作業するのは好きな方です。又、たまたま近くで作業している人と話すのもそんなに嫌いではないです。

 そんなんでマイペースに仕事しながら、近くに人がいれば、世間話をしながらの1時間30分の活動を終えました。


 子どもで参加していた20年以上前から都合がつく時には参加していました。その頃と比較すると、お年寄りが増えて、人数が減っており、もう10年もすれば、こういう活動はなくなっていくんだろうな、という気持ちが湧いてきました。こういう町内会も一つの共同体ですよね。


αさんとの会話

 そんなことを考えていたら、親しくしているαさんから言われた言葉を思い出しました。αさんは、私よりも40歳も年上で、3人の子持ちのお父さんで、お孫さんまでいます。順風満帆のように見える方です。しかし、一人の息子さんが、実家通いであることに対して、あまりよく思っていないのです。

 理由を話してくれたことがあります。「就職して、仕事をして、それなりに稼いでいれば、一人前というわけじゃない」と言うのです。そんな内容の話を聞いていると、「結婚」と「実家から独立」ということが大事な要素だと言いたいのかな?と頭の中に浮かんできました。で、最終的に「あなたも、さっさと結婚しなさい」と言われました。やっぱり、そこかいな、と思いながら、話を終えました。

 その方にとって、一人前とは、「就職(仕事)」と「結婚」と「独立」の三点なのだろう。今の収入があまりよろしくない時代に「独立」を入れていいものなのかな、と思います。更に「結婚」をして当然と考えるのも、どうなのかな、と考えました。私自身は、「結婚」を前向きに考えるタイプですが、とうも現状は、αさんの息子さんと同じような境遇なものですから、αさんは、私に対して、こういうことを言ってくれたのかな?とは思いながらも、どうなのかな?という気持ちもありました。


実家が実家じゃなくなる日

 私は、年齢層が50~70歳ぐらいの方と関わることがわりと多く、いろいろな世間話をします。そうすると、その方々は、両親が亡くなられている方が、少なくありません。その話題になると、あまり、よくない話題を話される方がいます。

 その一つは、実家が実家じゃなくなったということです。

 両親が病院にいたとしても、生きている時には、生まれ育った家は、実家なんだ、と言われます。しかし、両親が亡くなると、法事などの仏事以外には、行きにくくなると言われます。相続でもめると、実家で営まれる仏事にすら行けなくなります。

 実家は、自分が生まれ育った家です。しかし、両親が亡くなり、兄弟姉妹が相続した場合には、自分が生まれ育った家(=実家)であっても、実家ではなくなります。相続した方の家ですからね。

 そして、両親が亡くなると兄弟姉妹の関係が変わると聞きます。


 こういう話を聞いていると、自分が生まれ育った実家が実家ではなくなったことってどういうことなのか?と考えていると、「自分が生まれ育った場所がなくなった、ということなんだろうな」と思いました。

 私もわりと地元愛というか、郷土愛が強い方だと思います。そういう人間にしたら、寂しい気持ちになるんということは、なんとなくわかる気がします。


独立とは、共同体を新しく作ることなんだろう

 αさんの「独立」の話と、実家が実家じゃなくなる話が、リンクしました。

 αさんが言っていた「独立」って、「共同体」を新しく作るってことなのかな、と思えてきました。

 両親たちが作ってきた「共同体」の参加者から、「独立」して、新しい「共同体」の主催者になって、やっと、αさんが言われる「一人前」なのかな、という気がします。


 αさんが言われたことが、誰にとっても正しいわけではないでしょう。でも、私にとっては、その価値観に賛同できます。田舎育ち、田舎人間の価値観なのかもしれませんね。

 田舎の町内会の清掃活動を通して、こんなことを思いました。

 


よろしければ、サポートお願いします。