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東京でOLをしながら小説を書いていた頃

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だいすきでだいきらいだった東京。
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2022年2月の記事一覧

近況 2022.02.27

ご無沙汰しております。
この文章をつくるまでに、随分時間がかかってしまいました。思考を文字起こしするエネルギーを振り絞り、同時に、文章を綴ることへの恐怖感や不信感と闘いながら書いています。

2月に入ってから、心身に支障をきたしていました。頭の中に砂嵐が流れ続け、いついかなる時も休まることができていませんでした。

去年の4月に社会人になり、大好きだった人や場所と離れひとりで暮らすようになって以来

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ひと

人が好きだと思う、私のことを好きだと言ってくれる人、道端ですれ違ったいい匂いのする人、Twitterでしか話したことのない素敵な感性の人、会おうと言ってくれる人、会いたいと言ってくれる人、会いたいと思わせてくれる人、みんなみんな好きだと思う。みんなみんな幸せで生きてほしいと思う。

人はわからない、人はこわい、人は裏切る、人は離れていく、人とはひとつになれない、人とはわかりあえない、でも人をわかろ

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心臓

この世に掃いて捨てるほど人がいるとして、有り余り食いつぶされるほど会社があるとして、

どうして、ならば何とかなると安心できるだろう?

世の中に人間がいて、会社があって、それとは別の私という人間がいる以上、

世の中の人全員から、世の中の会社すべてから、必要とされない可能性は存在する。

数値化すればとても小さなその確率が、私にはあまりにも眩しく認識できる。その僅かな可能性の光が心を鉛色に染め上

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この詩に誰か旋律を

この詩に誰か旋律を

『星束』1

*

硝子の夜を重ねては
水槽の中の夢を見た

ペンネーム:海の三日月さん
「誰かここから連れ出して」

*

都会の星は散らばって
路上を彩り無理心中

夜空をちぎって飲み干した
追憶すらも遠ざけて

***

どこだって
誰だって
ほんとになんだってよかった

どこにだってもう行きたくなくて
片道切符の汽車の中

きみだって
そうだって
ほんとになんでもよかったんだ

途中下車さ

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花になる備忘

死神が見えると言っても、きっと誰も信じない。それは真夜中の天井にいる。三日月型の鎌は夜の色をしている。

きみはもうおしまいだよと笑う。きみは誰とも一緒に生きられないんだよと囁く。きみには僕しかいないんだよと手を引く。

幸せに生きたいと願ったあの日から、歯車がすこしずつ狂っていった。歪な音を立ててすこしずつ。幸せに生きたいと願ったところでそれが叶わない可能性を信じて疑わなかった、あの頃の私は非常

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深夜タクシー処女未遂

深夜、家を飛び出した。おかしくなりそうだったから、先におかしくなっておきたかった。

電車の音は既に途絶え、黒になりきれない空に星は光らない。

ひたすらに走った、走って走って走って逃げた、絶望に追いつかれないように、呑み込まれないように。走って走って走って走り、遠くへ遠くへ遠くへ逃げた。

誰もいない誰もいない誰もいない誰もいない誰もいない、こんなにひとがいるのに誰もいない、何もない何もない何も

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