見出し画像

この詩に誰か旋律を

『星束』

1

*

硝子の夜を重ねては
水槽の中の夢を見た

ペンネーム:海の三日月さん
「誰かここから連れ出して」

*

都会の星は散らばって
路上を彩り無理心中

夜空をちぎって飲み干した
追憶すらも遠ざけて

***

どこだって
誰だって
ほんとになんだってよかった

どこにだってもう行きたくなくて
片道切符の汽車の中

きみだって
そうだって
ほんとになんでもよかったんだ

途中下車さえできないままで
茜 夕星(ゆうずつ) 夜模様

***

2

*

旅に出てから140(ひゃくじゅうよ)日
月を探して深夜2時

「やっぱりここが痛いのね」
記憶を引っ掻く夜の孤児

*

あなたの纏ったその愛が
36度のその哀が

拭えぬならばもういっそ
空から奪え藍の色

***

愛だって
何だって
ほんとは誰も救えないんだ

どうせいつかは灰になるのに
どうして花には名があるの

藍だって
夕だって
ほんとは混ざりあってたかった

神様 今もそこにいるのか
永遠未遂 心模様

***

失って
失って
ほんとに全部失ったって

私は私を失えなくて
あなたは今もそこにいる

「愛だって」
「嘘だって」
ほんとのことなどわからないよ

どうせいつかは灰になるなら
夜から盗んだ種を蒔く

*****

きみなんだ
きみだった
あの日そこにいたのがきみだった

「それだけで?」
「それだけで」
私 花に名をつけようとした

夜が頁を捲ろうとして
刹那 踊るは星吹雪

*****


曲   :
歌   :
映像  :
詩   : 夕空しづく

眠れない夜のための詩を、そっとつくります。