マガジンのカバー画像

漂流日記

14
人生迷子の旅路の記憶
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

高速バスと琥珀糖

高速バスと琥珀糖

休職になって2週間経った今日。
漂流の旅から、ひとりぐらしの部屋に帰ってきた。 

バスで3時間半。立ちっぱなしで電車に揺られること1時間弱。最寄り駅から徒歩15分。重いキャリーケースと気温32度。疲れた。

この街に、ただいまを言ってくれるひとはいない。

仕事帰りにいつも寄っていたスーパー。ぼやけた色の夕空。この街で私のことを知っているのは、私と、野良の三毛猫だけ。

この圧倒的な寂しさを、心

もっとみる
会社説明会と東京オリンピック

会社説明会と東京オリンピック

社会不適合という刻印が
痛んで仕方ない水曜日

思慮深さとか
感性とか
資本主義社会では
邪魔らしい
忌み嫌われる
ものらしい

そんなことないと
誰かに言ってほしい
でもそんなことも
ひとつの真理なの
知ってるんです

邪魔でごめんね

そんなことないよと
姿見の前ひとりごちて
正気を保つ
ふりをする

ひどい顔ね
あなただれ?

溺れていく
見えなくなる
水面の方向

病名、傷心恐怖症
重度、

もっとみる
灼熱のベンチでバスを待つ

灼熱のベンチでバスを待つ

早く帰らなきゃ、と思う夢ばかり見る。
どこにいても誰といても、早く帰らなきゃ、と言って泣いている夢。

でも路上に放り出されたところで、どこに帰ればいいかわからない。
途方に暮れて夜を彷徨う、夢。

帰らなきゃと思う場所は、帰りたい場所ではない。

会社に戻れる気がしない。
でも戻れなかったら生きていけない。
現状。

私を経済的に守ってくれているのは会社なんだと気づいて絶望する。月に一度振り込ま

もっとみる
仕事に行く友達を見送る

仕事に行く友達を見送る

7月18日。日曜。夏。

机の上のグラス。頭の奥の靄。隣で眠る友達。窓。空。蝉の声。

昨晩の記憶。人生の断片。ガトーショコラと赤ワイン。どんなに酔っても覚えているのは、それが忘れたくない時間だから。

並んで食べるパスタ。遠い夏のフラッシュバック。真っ白な模造紙と原稿用紙。読書感想文が好きだった。

私の友達は皆優しい。恩返しがしたい。まだまだ人生が足りない。

大きなキャリーケース。ワンピース

もっとみる
漂流はじめました

漂流はじめました

7月17日。土曜日。夏。
友達の家。出勤した友達を見送って午前。午前だけど午後ティーを飲む。頭が重くて少しうたた寝。友達の家。
PCを開いて文章を書く。一銭にもならない文字。でも書く。書きたい。綴る。紡ぐ。繋がってく。
働きたいひとと一緒に働きたい。ここで働かせてください。千と千尋。夏のジブリが好き。

昼過ぎ、好きな街に行く。古き良き映画館。初めて会うひとと待ちあわせ。夏の日差し。まだサマーウォ

もっとみる