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#小説

アヘアヘキングダム2ndSeason Story 34

アヘアヘキングダム2ndSeason Story 34

世界一大きな塔  ーぼくの夢と、きみの夢ー
絵・お話: あいん

あるところに、絵を描くのが好きな犬がいました。
犬には夢がありました。
「とてもとても高いところから、世界一美しい絵を描きたい」

あるところに、歌を歌うのが好き

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貧しい絵描きの御伽噺2(短編全2回)

貧しい絵描きの御伽噺2(短編全2回)

 翌朝、扉の外に見慣れない小さな箱が置いてありました。
 絵描きがおそるおそる開けてみると、中には幾重にも重ねられたビニール袋の中に、ギウギウに詰まった何色かの絵の具らしきものが、まるで何かの内臓のようにありました。
 絵描きは、この一見恐ろしげに見える、内臓のような絵の具らしき物を訝しみましたが、もしやこれは、夢の中の炎の女神からの贈り物ではないかと気づきました。
 急いでビニール袋をメリメリと

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貧しい絵描きの御伽噺1(短編全2回)

貧しい絵描きの御伽噺1(短編全2回)

 今から少し前、あるところに、心の病でからだが動かなくなった絵描きがおりました。
 絵描きは絵描きですから、絵を描くことしかできません。
 絵を描けなくなった絵描きは、自分がもう、何の役にも立たないのだと悲しんで、消えることばかり考えていました。
 けれども、絵描きには小さな子供がありましたので、役に立たなくても消えることはできませんでした。
 子供は絵描きに言います。
「しぬまで絵を描きつづける

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