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アヘアヘキングダム2ndSeason Story 34

世界一大きな塔  ーぼくの夢と、きみの夢ー

                                                                                      絵・お話: あいん

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あるところに、絵を描くのが好きな犬がいました。
犬には夢がありました。
「とてもとても高いところから、世界一美しい絵を描きたい」

あるところに、歌を歌うのが好きなカナリアがいました。
カナリアには夢がありました。
「とてもとても高い所から、世界中にきぼうの歌をとどけたい」

ある日、犬とカナリアは出会いました。
「一緒に、世界一高い塔を建てよう!!!」

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運命の出会いでした。
でも、ふたりきりで塔を作るのは大変です。

そこで、犬とカナリアは、ほかのなかまたちにも呼びかけました。
たくさん集まりました。

犬は、ワシに聞いてみました。
「君は何で塔に登りたいの?」 
「俺は、誰よりも高いところから飛んでみたいのさ」 
「そうか。きっと気持ちいいだろうね」
犬は笑顔で答えました。

カナリアは、リスに聞いてみました。
「あなたはどうして塔に登りたいのかしら?」 
「私は、お兄ちゃんを探してるの。とっても高い所からなら、見つかるかな、と思って」
「そうなんだ。見つかるといいね」
カナリアは優しくうなづきました。

病弱なウサギも、やってきました。
「ゴホンゴホン。私も、入れて下さい」
「君、大丈夫?顔色悪いよ」
犬が心配そうに答えます。

「どうしても、やりたいことがあるの」
「いいわよ。いっしょにがんばりましょう」
カナリアはほほえみました。

みんな、やりたいことはばらばら。でも、気持ちはひとつでした。

「世界一、大きい塔を建てよう!」

みんな、いっしょうけんめい働きました。
塔は、がんじょうな土台が出来ました。

みんな、いっしょうけんめい働きました。
塔は、じゅんちょうに高くなっていきました。

みんな、いっしょうけんめい働きました。
塔は、どんどん高くなっていきました。

ある日、台風がやってきました。
雨がざーざー降ってきます。
風がびゅうびゅう吹いています。
夜だから、まっくらです。

「みんなー、だいじょうぶかー!」
犬は声をかけました。

「飛ばされないように気を付けてね!」
カナリアも呼びかけました。

冷たい雨にたたきつけられながら、がまん。
みんな、疲れていました。

「もうやだやだやだ!」
羊が泣きながら、もがきだします。

「僕もやだやだ!」 「私もやだやだ!」
仲間たちが、いっせいに泣きだしました。

「大変なのは、みんないっしょだよ!がんばろうよ!」
そう言いながら、犬も泣いていました。

「そうよ!もうちょっとだけ、しんぼうしましょう!」
カナリアも、泣いていました。

みんな、大泣きしました。

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その中で、もくもくと、塔を作りつづけているなかまがひとりいました。
びょうじゃくのウサギでした。

「きみ、強いんだね」
犬が言いました。

ウサギは、はをくいしばって答えました。
「だって、これ作らないと、みんなの夢、かなわない」

みんな、泣くのをやめて、立ち上がりました。

みんな、いっしょうけんめい働きました。
塔は、山をこえました。

みんな、いっしょうけんめい働きました。
塔は、雲をこえました。

そして、ついに世界一大きな塔は完成しました。

「終わったー」「やったー」「できたー」「わーい」
みんな、えがおでよろこびました。

いよいよ、やりたいことがかなうしゅんかんです。
でも、みんなつかれきっていたので、ねむってしまいました。

 

「ん…んん…」 やがて、犬が目をさましました。
カナリア、ワシ、リス…みんな、ぐっすりねむっていました。

「あれ…」
犬はびっくりしました。

「夜なのに…何で明るいんだろう」
空から、やさしい月あかりが、ふんわりとおりていました。

「月が光ってる…」
犬は、とってもとってもおどろきました。
この星では、月のすがたがほとんど見えなかったからです。
わずかに星が光っているだけで、夜はまっくらだったのです。

犬はハッとしました。
びょうじゃくなウサギのすがたがありません。

犬は、月にむかってよびかけました。
「きみ、どうして?」

月から声が聞こえてきました。
「みんながこわがっていた夜を、明るくてらしたかったの」

「それが、きみのやりたいことだったんだね」
「うん」

月は、大きくて、まんまるで、美しく光っています。
まるで、にっこりと笑っているようでした。

「ありがとう」
そう言うと、犬はキャンバスと絵の具を手にしました。

「ぼくも、夢をかなえるよ」
犬は、大きくて、まんまるで、美しく光る月を描きました。

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世界一大きな塔は、月あかりにてらされて、世界一美しい塔になりました。



<STORY the Final preview ―― 最終回予告>
 相変わらずな僕ら
 (✧≖‿ゝ≖) coming soon
 ※モデルこそいますが、あくまでもフィクションです。

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