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「地域プロジェクトで、今やるべきアクションとは?」前編 〜熊本リーダーズスクール2022 第2回 開催レポート〜

一般社団法人自然基金(以下、自然基金)は、「1% for Community」と題し、自然電力グループが開発した再生可能エネルギー発電所の売電収益の約1%を、地域に還元するプロジェクトに取り組んでいます。
 
2022年度は、地域コミュニティを牽引するリーダーの輩出を目指す「熊本リーダーズスクール」を開催。第2回は7月20日に、「あそび工務店」代表あそび役・辻滉平さんや、自然電力株式会社エナジーデザイン部部長・佐々木周さん、株式会社ダイヤモンドブルーイング代表取締役・鍛島勇作さんの3名を講師に、アクショントーク「地域プロジェクトで、今やるべきアクションとは?」を実施しました。
 
前編と後編の2回に分けて、アクショントークの様子をご紹介します。前編は、辻さんのあそび教室体験と、佐々木さんのプレゼンテーションをお伝えします。

※第1回コンセプトワーク「地域プロジェクトに、なぜ“コンセプト”が必要なのか?」レポート前編後編

“大人版”あそび教室に夢中! ルールが変わっていくバレーボールで、参加者同士がコミュニケーション

この日はまず、熊本県立総合体育館(熊本市)に集合。「あそび工務店」代表あそび役・辻滉平さんの事業内容の紹介後、辻さんが普段、未就学児を対象に行っている「あそび教室」の“大人版”を楽しみました。

▲「あそび工務店」代表あそび役・辻滉平さん
熊本県合志市生まれ。幼少期から運動や遊びが大好きで、小学生になるとサッカーを始める。熊本の大学に在学中、子どものサッカーチームのコーチをした経験から、「学校では学べないことや体験できないことを、子どもたちに教えたい」と卒業後に起業。合志市で、子ども向けのあそび教室やサッカー教室、非日常体験ができるあそびキャンプなどを企画・運営している。
辻さんインタビュー

辻さんは、熊本リーダーズスクールの1期生。スクールでの学びを通して、事業内容をブラッシュアップし、現在は地域のスポーツ文化を牽引する1人として活躍しています。今回体験したのは、そんな辻さんが考案した、ルールを自分たちで追加していくバレーボールというユニークな“あそび”です。

「普段は運動をする機会が少ない」という参加者の皆さん。この日が初参加の方もいて、緊張の面持ちでスタートしました。
 
最初のルールは「パス3回で相手のコートに返す」。その後、「パス3回のうち1回は、手以外のパーツを使う」、「3以下の数字を言って返し、相手はその数字の回数で返す」など、どんどん難易度がアップ! 時間が経つにつれて、参加者の皆さんは“あそび”に夢中になり、次第に表情がほぐれていきました。

互いに声を掛け合い、全力でボールを追いかけて、本気で喜んだり悔しがったりする姿は、まるで子どものよう。最後は、楽しそうな笑い声が体育館に響いていました。

体験後は、「初対面でも、驚くほど早く親しくなることができた。スポーツはアイスブレイクの効果が高いと感じた」、「変化するルールに対応するためには、周囲とのコミュニケーションが必須。チームプレーの大切さを感じた。自分の子どもにも伝えたい」などの感想が聞かれました。辻さんが遊びやスポーツを通じて子どもたちに伝えたいことを、参加者の皆さんは身をもって体感できたようです。

事業は“まずやってみる”ことが大事

後半は未来会議室(熊本市)へ移動し、再生可能エネルギーを通した地域活性化に取り組む、自然電力株式会社エナジーデザイン部部長の佐々木周さんが、「パーパスでつながる再生可能エネルギー」をテーマに話しました。

▲自然電力株式会社エナジーデザイン部部長・佐々木周さん
地域を主体とした再生可能エネルギーを開発してベネフィットを共有することで、地域活性化を目指す。発電所の土地探しから地域の方たちと一体で行い、施工やメンテナンスにできるだけ地元企業を起用する地元雇用創出にも取り組む。自然電力株式会社事業開発部/発電事業部部長、juwi自然電力オペレーション代表取締役を歴任して現職。西鉄自然電力合同会社パートナー代表も兼任。

「私はちょうど10年前、自然電力に参画しました。当時、個人でコンサル業をやっていたのですが、創業メンバーから『一緒に世界を変えよう』と誘われて……。自然電力はまだ創業1年でしたし、悩みましたが、話を聞くうちにやってみようと思いました」
 
そして佐々木さんの参画から約半年後、自然電力は、熊本県合志市に最初の再生可能エネルギー発電所を建設。今では日本全国に、再生可能エネルギーの発電所を100箇所以上建設・運営保守し、海外にも拠点を拡大しています。

「振り返ってみて思うのは、始まりなんてそんなものなのかな、ということです。とにかくアクションを取ってみることが大事。そして、誰と一緒にやるかというのもとても重要です。私は、最初は不安もありましたが、このメンバーで楽しくできるならやってみようという気持ちが大きかったですね」 自身の経験から、アクションを起こすことの大切さを伝えた佐々木さん。続けて、事業を行う上で重要なポイントについて話を進めます。

なぜ企業が存在する必要があるのか?を示す“パーパス”

「企業にとって必要不可欠なのは“パーパス(存在意義)”です。なぜこの企業が存在する必要があるのかを示す、企業の基盤となるもの。社員が同じ方向に向かって進むための“北極星”とも言えます。パーパスをもとにミッションがあり、その下に戦略・戦術が存在します」
 
「私たち自然電力は何度かパーパスを見直していますが、今は『青い地球を未来につなぐ』。再生可能エネルギーを通じ、環境問題に対してアクションを起こすことと、地域の課題を解決すること。この2つを大きなテーマに掲げています」
 
さらに、パーパスに加えて企業が事業を行うにあたって考慮すべき点に、「社会の変化を捉えること」と「社会にインパクトを与えること」の2点も挙げました。

今後、あらゆる産業のベースとなるのは“地域コミュニティ”

「自然電力は現在、エネルギーや交通などさまざまな事業に取り組んでいます。その中で感じるのは、あらゆる産業は今、刷新していく時期だということ。そしてそのベースとなっているのは地域コミュニティです。このコミュニティを活用しながら、エネルギーやインフラが変わっていく、まちづくりが活性化していくことが、社会に変化をもたらし、今後の事業につながっていくと考えています」

「こうした考えから、私たちは『1% for Community』を通じて人材を育成し、産業を作るというサイクルで、地域の皆さんといろんなことに挑戦していきたい。地域から新しいモノを作ってそれをグローバルに発信していくなど、地域での事業を拡大していきたいと思っています。この『熊本リーダーズスクール』がそのきっかけになればうれしいですね」

「最初にもお伝えしたように、事業を作って、まずはやってみるということはとても大事です。私たちも引き続き、そうした思いで『1% for Community』を続けていきたいと思っています」。最後は参加者の皆さんに、同プロジェクトへの思いと熱いメッセージを伝えました。
 
最後まで真剣な表情で佐々木さんの話に耳を傾けていた参加者の皆さん。各々メモを取ったり質問をしたりする様子もみられ、「まずはやってみる」という言葉が心に響いたようです。
 
 

後編は、熊本市でビアホールやマイクロブルワリーを運営し「熊本のクラフトビールを世界に発信したい」と活動する、株式会社ダイヤモンドブルーイング代表取締役・鍛島勇作さんのプレゼンテーションをご紹介します。「地方創生のロールモデルを創る」をテーマにしたお話です。