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詩集を着たい

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最近の記事

わたしのヴィヴィアン・ウェストウッドーパンクの女王、逝ってしまうの、ほんとうに?

12月29日、81歳でイギリス人ファッションデザイナーのヴィヴィアン・ウェストウッドが亡くなった。わたしの恩人。そしてわたしにとって、死なない人だとおもっていた。今年は色んなことがあって、ヴィヴィアンの服を着ていないと落ち着かなくて、亡くなった昨日もWitchesのコレクションのパーカーを着ていた。正しくは、スカートも靴も。指輪は25年間、ほぼ毎日身につけているし、ライセンスの帽子も手袋も靴下もヴィヴィアンだった。 わたしはファッション研究者で、繊維メーカーを退職してから衣

    • [おまつのおまつり2022神戸のお知らせ]

      *申し訳ありません、こちらの催事、諸事情で急遽中止となりました。主催者のわたしもとても残念に思っています。中止連絡と返金作業は全て完了しました。またご縁がありますように。(11/1) *** 身近にある松の木、公園、海岸、邸宅のお庭…。松の可能性を考える催しです。食べたり、飲んだり、染めたりできるのをご存知ですか。知れば知るほど奥深い存在。松と日本人の歴史も長いです。学んだり、遊んだり。秋の神戸にいらっしゃいませんか。 去年の年末からゆっくり動き始めていましたが、2022

      • オリーヴしごと

        日本でオリーヴというと小豆島ですが、実は初めてオリーヴが伝わったのは神戸だそう。最古木は湊川神社にあります。わたしの住むエリア山本通・北野町地区では、オリーヴを育てるのが盛んです。オリーヴの町の復興ともいうべきか。家の前にこんなにオリーヴの植木鉢が置かれている街は珍しいと思います。 パンデミック下で放ったらかしにされた公園のオリーヴ、剪定してあげないと可哀想だなと思い、許可をもらって、少しもらうようになりました。たくさん実があるのですが、アナスタシアにのっとって、落ちたもの

        • 松の内の話

          (最後に写真集があります) 関西でもやっと松の内が終わりました。手作りのお飾りを仕舞うのが寂しい...。 年末のリースからお正月飾りまで、プレゼント含めて八つくらい作りました。あほみたいに、繁忙期に、久しぶりに花鋏を持って。楽しかったです。 今年はウサギとふたりでのお正月、実家には元旦にお節料理をもらいに行って、両親にお年玉を渡しただけで日帰りに。 元旦の朝、あとで実家のお雑煮とおせちを食べるということもありますが、シンプルな松の枝で煮出したお粥を食べました。ウサギに

        わたしのヴィヴィアン・ウェストウッドーパンクの女王、逝ってしまうの、ほんとうに?

          松活の半年

          初めて自分で松をつんだのは2021年6月9日。ロックの日ならぬ記念すべき松の日になりました。 今日12月9日で松活(松の活動を略してこう言っている)を始めて6ヶ月経った。毎日松葉を目にしている。手にしている。日に日にありがとうの気持が増している。 最初は、ヒマラヤ杉との出会い。パンデミック下で散歩が増えて、野草を摘んで染物も少しずつ始めていた。包丁で短く切って刻み、熱湯を入れて飲んだ。不思議な味でも、からだが喜んでいるのか元気になってくる。 SNSで松の愛好家の方のペー

          松活の半年

          成道会におもう由無し事

          12月8日はお釈迦さまが悟りを開いた日として知られる。 もちろん旧暦ですが、12月を中国の「臘月」からとって「臘八摂心」と言われる安居が仏教寺院では行われます。修行者は坐禅三昧をして冬籠りするのですが、わたしの僧侶の友人らは在家者でも出家者でもこの時期に厳しい修行をしています。 いつもなら、外国人の友人らが日本で冬安居のために来日するのですが、今しばらくはパンデミック下で誰にも会えていません。友人らはお寺への行きや帰りに、神戸に寄ってわたしの家に何泊かして、京都や東京を経

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          あなたのレイコンの似顔絵を描く | 山本精一ライヴ評

          山本精一さんのライヴに行って来た。約2年ぶり。間違いなく、奇天烈で、間違いなく、天才。わたしもわたしを取り戻すことができた。蟻蛾十御座今巣。 エレキギターのソロ、弾き語り。関西に居ることの恵みを感じる音楽体験だった。ベアーズも久しぶりだった。道中、色んなことを思い出していた。近づいてくると、ここに黒人が経営してたかっこいい古着屋あったなあ、とか、羅針盤7Daysはムキになり全日行ってたなあー若かったあの頃、住んでた外国から逃げるように戻って一番最初に行かなあかんとおもった場

          あなたのレイコンの似顔絵を描く | 山本精一ライヴ評

          好きな時

          音が途切れて これ以上もう繋がらないという瞬間 まるいベンチに座る3人組の女性のおしゃべりも 終わる 演奏者が大きく漆黒の家具のような楽器を立ち去るその時に あなたたち、 聴いていましたか。 聴いていなかったけれど 音楽と一緒にその空間と時間は在った それが明らかになる瞬間 わたしの好きな時 *** 時は本当に内側にあるのだなあ わたしのこころの深いところを向いている矢印 その方向性と支点の存在が 時間なのだ それは空間なのだ 音はそれを彩っ

          好きな時

          柔らかい鞠のようなお菓子

          生クリームが苦手で、めったにケーキなども買わないので、お菓子は和菓子派なのですが、名前が面白いし、気になって、マリトッツォは時々買って食しています。 まずは、本場イタリアの味からスタートをと、話題のカファレルのマリトッツォを。山本通の本店のみの販売。何度かお店に行くものの、いつも売り切れていて、午前中で完売するとのことで、予約を勧められました。 生クリームのお菓子にわたしが予約?!コロナ禍下も一年をとうに過ぎて、家にいることが多くなり、なぜか料理に砂糖を使う佃煮類や常備菜

          柔らかい鞠のようなお菓子

          からだとこころ、醸すのは?

          在宅勤務の日々が長くなり、食欲があまりわかないのですが、みなさんはどうでしょうか。運動は朝の散歩くらいで、野いちごを摘んだり、なっているビワを頂いたり、そんな感じの朝食なので、何も食べないまま仕事を続けて、気がつくと夕食時間になっていて。 最近はお粥にはまっています。レシピは、モリンガと梅干し、たまに昆布を加えます。あとは、お漬物とお味噌汁。去年の糠床を半分使い、新しい今年の糠を加えて、大根、きゅうり、人参、ナス、なんでも漬けます。古漬けになったら、刻んでサラダにふりかけて

          からだとこころ、醸すのは?

          緊急事態とプレゼント

          今朝は晴れていたので早くから散歩に出て、途中小さな公園のベンチで、買ったばかりのクロワッサンとコーヒーで一息ついていた。わたしに妙になついてくる犬がいて、飼い主の方としばらくお話しした。ご主人を亡くされたとかで、子犬を抱いたままで急逝されたとのこと。しばらくお話を聞いていた。 ご主人が奥様にプレゼントされた犬だったとのこと。この子が居るから生きてられる、とおっしゃっていた。亡くなられても、残していった素敵なプレゼントだとしみじみ思って、そうお伝えした。わたしがパンをぼろぼろ

          緊急事態とプレゼント

          「ぼくは12歳」を読む、聴く。

          note....久しぶりに書く、忘れていた訳ではないけれど、誰が読んでくれているのかな、時々♡がついていて、ありがとうございます! 音楽環境がなんとか整い、レコードをよく買っている。手伝ってもらった近所のレコード屋さんに、音が変わってくるよ、聴くたびに、と言われていたけれど、じぶんの耳も変わっていっているような気がする。 2021年、テーマは没蹤跡(もっしょうせき) 死の中の生/生の中の死、いのちのまわりでぐるぐるまわる、その運動、あるいは、そのデザインとして描かれる空

          「ぼくは12歳」を読む、聴く。

          ご近所、大切に。

          わたしのパン屋さん、この世界の片隅に、本屋さんのように、ずっと、いつもそばに居てください。 *** こうべはパン屋が多い。 全国で一番パンを食べているのは京都だというデータを見たことがあるが、本当かなとおもう。 今日は、本のことや詩のことを書かず、服のことも書かず、パンのことを書こうとおもう。 今回のステイホーム週間(月間)で、いろんなお店が営業自粛していたが、パン屋は本屋と並んで、比較的開いていたようにおもう(2020春、わたし調べ)。 誰しも行きつけのパン屋が

          ご近所、大切に。

          奥行きの批評

           今日は、桜桃忌、太宰治をしのぶ人々が多いことだろう。わたしは「女生徒」が好きだった。制服姿のまさに女生徒だったわたしは近所の本屋さんで太宰治の文庫本を求めた。その本の中の一作品目が「女生徒」だった。学校の自由読書感想文のために選んだ作家だったが、それ以降読み続けることになり、卒業旅行には文学少女の友人と(つまり彼女も女生徒であったが)二人、太宰治を巡る旅を企て「斜陽館」に泊まったことが今でも甘酸っぱいまさにサクランボのような思い出である。わたしの初めての東北体験だった。

          奥行きの批評

          テキスト・タイル

          パソコンでインスタグラムに投稿する方法がわからない…。せっかくスタートしたけれど、拙著新刊『人を着るということ』のことをしばらく書けなかったので、今日は読んでくださった方々の中から一部ですが感想や批評などを紹介しようとおもいます。インスタグラムではテキストがうまく打てないのでnoteに書いてみます。 本を読んで、昔飼っていたという文鳥のことを思い出し、ぶんちゃんという名のその鳥の話を延々と書いてきてくれた友人がいました。それを読んで、この本は成功したように感じたり。というの

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          あ・い の国 に かえってきた

          日本全国の緊急事態宣言が解除されて、外出自粛が緩和された今週。 わたしは在宅勤務が続いていて、今日は雨。早朝からの虚無仕事が一息ついた。 西洋かぶれのわたしは、音楽とファッションに憧れてロンドンを目指していた。 なんども縁があったけれど、2012年晩秋に、日本にかえってきたのだった。 今日紹介するのは、高橋昭八郎『あ・いの国』(私家版、1972年)。 わたしが生まれたこの国のあこがれのすべてがこの本の中にある。 ボール紙の函に三角で折紙された詩片が入っている。

          あ・い の国 に かえってきた