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オリーヴしごと

日本でオリーヴというと小豆島ですが、実は初めてオリーヴが伝わったのは神戸だそう。最古木は湊川神社にあります。わたしの住むエリア山本通・北野町地区では、オリーヴを育てるのが盛んです。オリーヴの町の復興ともいうべきか。家の前にこんなにオリーヴの植木鉢が置かれている街は珍しいと思います。

パンデミック下で放ったらかしにされた公園のオリーヴ、剪定してあげないと可哀想だなと思い、許可をもらって、少しもらうようになりました。たくさん実があるのですが、アナスタシアにのっとって、落ちたものしか拾いません。でも枝に風や光が入らないところはすこし花鋏で切ってあげます。

今年は運営されているグループの方が比較的早くに実を採集していてよかったです。年末の剪定の時に偶然出くわして、少し枝をいただいて挿し木したりしています。家にいるウサギがオリーヴが好きなので、ベランダでウサギ立ちをして葉を食べるのですが、それを見ている時間はとても幸せです。

鳥が食べた後のオリーヴの実を集めておく。それは植える用に。完熟してしまったブラックオリーヴを集めて、わたしは調味料にします。フランスに行くと、お土産でいつも買っていたお気に入りのタプナードを作るため。もうどこにも旅に出られていないので、家にあったストックもすでにないことも理由です。

南仏のレシピはネットなど色んなところで簡単に見つかりそうなので、わたしはあえてTapnade Japonaise として作ってみました。

材料:粗塩(なんでもいい、お気に入りのを、多めに使います)
   オイル(なんでもいい、お気に入りのを、太白胡麻油にしました)
   ガーリック(生、一欠片か二欠片)
   レモン汁(ノンワックス、ゼストも使うので)
   醤油(隠し味なので、ほんの少し)
   ナッツ(これはお好みで、わたしは砕いたアーモンドを少しだけ)

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油はオリーヴオイル、さらにアンチョビやワインビネガーを加えると、フランスのタプナードになりますが、日本風にするために、わたしはイリコの粉末を入れました。さし上げる人に、あらかじめ、ヴェジタリアンでないことを、確かめてから。

オイル以外、全部兵庫県産にしました。地産地消のタプナード。

お塩多めで小さめのガラス瓶にギュッと入れて保存していると、だんだんお醤油みたいな水分とエキスが出てきます。これが美味しい。オリーヴの油分と香りも相まって、最高です。

まあ魚醬にも近いんですが、あそこまでクセがない。塩分も強いし、オリーヴの香りも強くなるので、またわたしは果肉も割と大きめにするので、お料理に使うときは少しで大丈夫です。

使い方は、まずサラダのドレッシングにもってこいです。ただ野菜と和えるだけで地中海風になります。さらに直前にレモンや軽くお塩を加えてもいいかもしれません。

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わたしはもっぱら、目玉焼きに入れます。目玉焼き作るとき、お水を入れて蒸らしますが、そのときに少しタプナードを加えます。黒い汁が十分出ていたら、少しそれも加えます。

お肉やお魚にのせて焼いたり、バゲットの上に乗せて焼くのも美味しいです。

あ、作り方忘れてましたね。オリーヴの実と種を分けます。実をできるだけ細かく砕きます。一緒にガーリックも加えます、一欠片か二欠片で十分。砕くとき、フードプロセッサーとか使ってもいいかもしれません。わたしは1時間くらいひたすら格闘します。琺瑯のバットを使いました。混ぜるのは大きな木箆(へら)でです。なんでもいいです、ご自分のキッチンにあるもので普段使い慣れているものを。

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ある程度細かくなってきたら、レモン汁を加え、お塩を多い目に加えます。そして混ぜ合わせます。また砕きながら、混ぜます。ある程度混ざり合ったら、少しだけお醤油を加えます。わたしはここでイリコの粉末を入れました。フランス風にしたければ、アンチョビを加えるといいでしょう。ケッパーも入っていることが多いです。わたしは酸味はレモン多めにしました。

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お気に入りのハーブや、辛いものが好きなら唐辛子など入れてもいいかもしれません。でもシンプルに作っておいて保存し、料理によってアレンジする方が、わたしは好きです。

このタプナード以外に、よいオリーヴが採集できたとき、ガラス瓶にオリーヴとお塩(大量)を入れるだけの調味料もいつも作っています。冷蔵庫に一年くらい寝かしてから使います。たくさん水分が出るのを待つのですが、黒い色のエキスで、とてもサラサラしていて、香りと油分がどんな料理にも合います。このタプナードを作るときにも加えています。この調味料は、オリーヴを使うたびに、実をほぐして砕く必要があるので(出来上がりも時間がかかるし)、人にあげるときはタプナードがすぐ使えて便利です。

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長くなりましたが、よい生のオリーヴが入ったらぜひ作ってみてください。手作りは愛着も湧くし、何しろ塩分や酸味など自分の好きなようにできるのが醍醐味です。わたしは今年は種から植えてみようと思っています。初めての挑戦で、春が楽しみです。

ちなみに、オリーヴには雌雄があり、一本の木では実がつきません。大体ペアで置かれているのは、それが理由です。雌雄の見分け方はわからないのですが、お店で聞くとわかって売っているようです。

いろいろ気が滅入ることが多い日々ですが、豊かな食生活は健全な肉体と精神を支えてくれます。皆さま、料理を楽しみましょう!食べるのも、作るのも。

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