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緊急事態とプレゼント

今朝は晴れていたので早くから散歩に出て、途中小さな公園のベンチで、買ったばかりのクロワッサンとコーヒーで一息ついていた。わたしに妙になついてくる犬がいて、飼い主の方としばらくお話しした。ご主人を亡くされたとかで、子犬を抱いたままで急逝されたとのこと。しばらくお話を聞いていた。

ご主人が奥様にプレゼントされた犬だったとのこと。この子が居るから生きてられる、とおっしゃっていた。亡くなられても、残していった素敵なプレゼントだとしみじみ思って、そうお伝えした。わたしがパンをぼろぼろこぼすので、バターの香りで犬は近寄ってきてくれたみたい。

子犬に見えたけど、小さな犬種で、11歳とのこと。ご主人がいつ亡くなったのかは聞かれなかったが、抱いたまま亡くなったお話から、とても愛されていたことが容易に想像できる。一人暮らしで犬を飼うことについて色々質問をしていた。わたしも飼いたいなと思っているからなのだけど。

また会いましょうと、奥様と子犬に手を振って、簡単な買い物を済ませた後、近所で人気のショコラティエの前を通る。好きな店でよくお使い物にするけれど、すでに列ができていたので、え?とおもい、時間を確認したら、まだ開店の1時間くらい前だった。

人気店は承知しているが、こんな早くから並んでいるとは知らなかった。いったい何を買うのだろうか、ここ兵庫県は緊急事態宣言が出てるし、2月14日ヴァレンタインディの前でもないし。そう思いながら通り過ぎ、もう一つの用事をして帰り道、お店はすでに開いていたけど、列はさらに長くなっていた。

実は、チョコレートの1時間ほど前、パン屋でも同じ情景に出くわしていたのだ。人気店だとは知っているけれど、こんなに早くから並んでいるのか。日時が迫る、いわば緊急の贈り物の予定があるのだろうか。長い列になるから、待ち時間を少しでも短くするため、先に並んでおくということか。

奥様のもとに贈り物として子犬がやってきた時どんな場面だったのだろう。一緒に長い時間を過ごされて、そして人の命は尽き果てても、プレゼントは残って、送った相手の支えになっている。そんな贈り物をもらいたいし、渡したいとおもう。いま、ここで買わなあかんのかな。美味しいお菓子も緊急で大切なのか。

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