パピヨン

タロット占い師。本が好きです。基本的にはミステリーが好きですが、様々なジャンルの本に挑…

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タロット占い師。本が好きです。基本的にはミステリーが好きですが、様々なジャンルの本に挑戦していきたいです。今後、タロットカードとも絡めて本や映画の感想を書いていけると良いなと思っております。

最近の記事

読書「六畳間のピアノマン」

Amazon.co.jp: 六畳間のピアノマン (角川文庫) : 安藤 祐介: 本 「六畳間のピアノマン」を読みました。 「人と人の関係が紡ぐ、希望と再生のストーリー」と帯に書かれているのでほんわかした感じの小説を期待して読み始めましたが、相当ヘビーでした。 正直、再読はないと思います。 というのも、短編集なのですが、最初の話がブラック企業に勤める3人の営業マンの話で・・・ このブラックぶりがリアルすぎてしんどくなってしまいました。 深夜と早朝に訪問販売を課せられるとか、

    • 読書日記「恋愛未満」

      篠田節子さんの「恋愛未満」を読みました。 中高年の男女の心の機微を描いた短編集です。 中でも、「マドンナのテーブル」がすごく面白かったです。 30代の美佳は一回り以上年上の夫、大介と結婚しています。 息子もいてそれなりに裕福な生活を送っているのですが・・・ひとつ気になることが・・・ 大介は学生時代の仲間としょっちゅう連絡を取り合い、時には仲間同士で遊びにいったりしていますが、その中に「女」がいるのが美佳には許せません。 「女」と言っても浮気だのなんだのというようなことは何

      • 「メタボラ」自由に生きるとは

        メタボラ を読みました。(桐野夏生 作 文春文庫) 相当な厚さの文庫本でしたが、ものすごく面白い! かなり一気読みに近い感じであっという間でした。 登場人物は記憶喪失の「僕」が、なぜか沖縄のジャングルで逃げているところで、「施設」から脱走している最中の宮古島出身の昭光(ジェイク)と出会い、彼から「ギンジ」という名前を与えられます。 そこから、コンビニのアルバイトをしているミカに間借り?させてもらいそこでタオルをちゃみったり(盗んだり)、石屋で働いたりしながら「人生ゲーム

        • 儚い羊たちの祝宴 ブラックな自分を知りたい

          儚い羊たちの祝宴を読みました。 儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫) | 米澤 穂信 |本 | 通販 | Amazon すごい本だという噂には聞いていましたが、なかなか読む機会がなくやっと目を通すことができました。 短編集になってますが、どの話にも「バベルの会」という大学の読書サークルが出てくることでうっすらと繋がりがあります。 この最後の短編「儚い羊たちの晩餐」が好きすぎて何度も読み返しました。 「バベルの会」を除名された鞠絵が主人公。 彼女の書いた日記で物語が進みます。 彼女

        読書「六畳間のピアノマン」

          婚活男女必読「傲慢と善良」

          未だ独身の私にとって「ああ・・・痛い、痛い」となる小説でした。 「傲慢と善良」 これ、これから「結婚したい」「マッチングアプリでもしてみようかな」などと思ってる人はみんな読んだ方が良いと思う。 主人公の西澤は、父親の経営していた会社を継いで軌道に乗せている。 オシャレでかっこいい、いわゆる一軍女子っぽい女友だちもたくさんいて、女性には不自由してなさそう。 「できる男」でなおかつ見てくれも良さそう。 しかし、心から愛した恋人と結婚に踏み切れなかったことをこじらせて、気が付いた

          婚活男女必読「傲慢と善良」

          演劇「歌わせたい男たち」

          http://www.nitosha.net/img/nitosha2022.pdf 先週、「歌わせたい男たち」を観てきました。 12月3日まで、コロナの関係で公演中止だったみたいです。 色々なことが元に戻った感じはありますが、やっぱりまだ影響ありますね。 特に演劇、ミュージカル公演はしょっちゅう中止になってるイメージがあります。 観に行ったのは12月6日。 平日昼にも関わらず、観客席はぎっしりでした。 比較的年齢層高めな感じがしました。 隣に座った60代くらいの女性が「

          演劇「歌わせたい男たち」

          一生分かり合えない人がいる

          「ウチのモラハラ旦那&義母、どーにかしてください! 闘う嫁のサバイバル術」を読みました。  私は結婚してないのに、数年前から夫婦間のモラハラ問題について大変興味があり、こういった書籍をよく読みます。  昔は「モラハラ」なんて言葉がなかったから、本当にこういう妻を馬鹿にしたり、人格を否定したり、生活の様々なところに口だけ出してくる、みたいな夫は多かったのではないでしょうか。  それに理不尽なものを感じながらもなかなか言語化できないままモヤモヤしていた時間が随分長かったように感じ

          一生分かり合えない人がいる

          「大人になったら、」重い恋愛小説

           ちょっと疲れてきたので軽い恋愛小説が読みたい、と思ったら案外重い気持ちになりました。  主人公は35歳独身、チェーン系カフェの副店長をやっているメイ。  この人がまたしょっちゅう「もう、若くはない」「若い時のような恋愛はできない」みたいなことを考えている。  彼女より10ほど年上で未婚の自分は「なんか、すみません」という気持ちになる。  さらに追い打ちをかけるのは「みっちゃん」という親友がいるのだが、この人がなんというか絶対友達になれないタイプだ。 「(婚活を)考えるだけ

          「大人になったら、」重い恋愛小説

          ミュージカル「アニー」

          ミュージカル「アニー」を観てきました。  私はすごい昔、高校生の時、学園祭で「アニー」の脚本、演出をやったことがあります。  演劇部というわけではなく、クラスに1つ演劇をするのが慣習としてありました。(ちなみに演劇部は学校になかった)  普段、休み時間でも本を読んでいるような目立たない陰キャでしたが、不思議とそれは「私の役割」だと思ったのを覚えてます。  その時、ミュージカルも見たし、舞台を作るドキュメンタリーでえらい子供が怒られてるのとかも見ました。  何より2時間の映

          ミュージカル「アニー」

          「生皮」あるセクシャルハラスメントの光景 私は加害者なのだろうか

          「生皮」あるセクシャルハラスメントの光景 を読みました。 小説講座の人気講師に性暴力を受け、7年後に告発した咲歩を中心に、講師の月島、月島の妻、カルチャーセンターの他の生徒など様々な視点から描かれる小説です。  折しも、有名映画監督の女優への性暴力が世間を騒がせているので、とてもタイムリーな物語かと思います。    私は男性が男性であるというだけで女性を見下し、その権力を嵩にかけて卑劣な性暴力をふるうなんて許せない、という思いは勿論あります。  ただ、誤解を恐れずに言うと加

          「生皮」あるセクシャルハラスメントの光景 私は加害者なのだろうか

          結婚について考える

          今日は「結婚」について考えてみたいと思います。 私はいわゆるアラフィフと呼ばれる年齢ですが、結婚してないし結婚したこともありません。 最近、20代の若い人と接する機会が多く、当たり前のように20代のうちに結婚して子供が欲しい、みたいな考えを聞きます。 そんな中、なんで私は結婚してないんだろう、と思ってきました。 理由の第一は、こんなこと言うと「なんと自虐的な」と思われるかもしれませんが「恐ろしくモテない」のです。 20代の頃に行ったお見合いパーティーは「フリートーク

          結婚について考える

          「女王はかえらない」小学生の辛さ

          「女王はかえらない」を読みました。 小学4年生のクラスを舞台にした残虐なストーリー。 クラスではマキを中心に細かな階級制度があり、毎日細かな駆け引きと陰湿ないじめが行われています。 主人公は階級には属さない世捨て人の「オッサン」。 ある時、エリカという転校生が来て、クラスのヒエラルキーに変化が生まれます。それはしかし、さらなる悲劇への一歩でした。 第2部では「教師」の目から見た子供たちの姿が描かれ、第3部では今まで見てきたことが全て反転する驚愕のラストが待っています

          「女王はかえらない」小学生の辛さ

          「正欲」圧倒的に理解できない他人

          「正欲」を読みました。 この本ではいわゆるマイノリティな欲望、水の噴水する様などに性的欲求をかきたてられるといった人々の様子が、様々な視点から描かれます。 利用されるユーチューバーの少年たちとその親、そういった欲望を持つ男性を好きになってしまった人など。 そうか、「水」が欲望の対象になったりもするのか、と思いつつ彼らの持つ絶望的な孤独の描写に打ちのめされます。 自分のような人間がどうして生まれてきてしまったんだ、というような根源的な絶望。絶対に誰にも分かってもらえない

          「正欲」圧倒的に理解できない他人

          映画「鈴木さん」こんなにも美しいところ

          映画「鈴木さん」を見ました。映画館に行かずとも見られます(有料)。 とある「美しすぎる国」。カミサマを崇め奉り、結婚と子孫繁栄が推奨される。 45歳を過ぎて未婚だと市民権を失い、街から出るか入隊しなければならない。 「私やん」と思って見ましたが、終始どんなホラーよりも気持ち悪い映画でした。 主人公のよしこさんはもうすぐ45歳で、経営している介護ホームの存続が危うくなっています。 そこへ、謎の男「鈴木さん」が迷いこんできます。よしこさんは「ここで生きる」ために彼との偽

          映画「鈴木さん」こんなにも美しいところ

          「ダイエット幻想」ダイエットの呪縛から逃れる本

          ダイエット幻想という本を読みました。 ようやくこの本で私は「ダイエット」の呪縛から逃れられたような気がします。 著者は文化人類学の観点から、推進でも批判でもなく「ダイエット」について分析しています。 中国の「纏足」や「血まみれになって頭に線を刻み付けることが大人になる証」とされるヌアー族の慣習などを例にあげ、「人は社会的にきちんとした「何か」として認められるためなら進んで健康を犠牲にします」と述べています。 「痩せてる方がきれい」って誰が決めたんでしょう。どうしてそう

          「ダイエット幻想」ダイエットの呪縛から逃れる本

          読書感想文「未来」

          小学校5年生の章子が大人になった章子から手紙をもらうところから物語が始まります。 とはいっても決してファンタジックなものではなく、子供章子が未来の章子に返事を送る、という体裁で章子の辛い現状が描かれます。 章子をこよなく愛した父は亡くなり、母は精神的に不安定で「人形」の時と「人間」の時があるようです。 勢い章子が家事や母のケアも引き受けることになってしまいます。 担任の先生が心配して2人をフォローしてくれますが、それが思いも寄らぬ方向へと進んでしまいます。 様々な小

          読書感想文「未来」