見出し画像

演劇「歌わせたい男たち」

http://www.nitosha.net/img/nitosha2022.pdf

先週、「歌わせたい男たち」を観てきました。
12月3日まで、コロナの関係で公演中止だったみたいです。
色々なことが元に戻った感じはありますが、やっぱりまだ影響ありますね。
特に演劇、ミュージカル公演はしょっちゅう中止になってるイメージがあります。
観に行ったのは12月6日。
平日昼にも関わらず、観客席はぎっしりでした。
比較的年齢層高めな感じがしました。

隣に座った60代くらいの女性が「私、元々喘息なんで咳をしますが、コロナではないんで安心してください」などと話しかけてこられました。
世知辛い世の中だなあ。
そんなんいいのに。
その女性は観劇中、言われなければ分からないくらいの控えめさで時々ハンカチで口を覆って咳をしておられました。

「歌わせたい男たち」は2008年の学校を舞台に「君が代」の起立、不起立問題を描いた作品です。
卒業式の際、国歌斉唱の際は絶対立たないし歌わない、と言い張る先生とどうしても歌わせたい校長との確執などがコメディタッチに描かれています。

「君が代」と言えば、私が小学6年生の時、卒業式の前に卒業生が集められたことを思い出します。
その際、先生に「今、なぜ「君が代」が問題になっているのか」「過去の侵略戦争との関係」などを説明されました。
「この話を聞いて、歌う、歌わないは自由だけども、他の人がどうしてたかについてああだ、こうだ言ってはいけない」と言われました。
そこでなんとなく卒業生の間で「歌ってはいけない雰囲気」みたいなのができてしまった感じがあります。
それぞれに確固たる信念などがあったわけではありません。
ただ単にそういう「空気」ができてしまったのです。
そして、卒業式の日、なんとなく歌わない・・・みたいな生徒が多数出ました。私も歌ってません。
保護者は「なんでこの子らは歌わんのや」と不思議そうでした。
あれほど先生に言われたにもかかわらず「○○君は歌ってた」と後でひそひそ言ってる子らもいました。

舞台の終盤「内心の自由」について語られますが、自由とはなんなんでしょうか。
自分の考えに素直に従って行動できる自由、と理解しますが。
確固たる信念、自分の意見を持つことができる人はどれほどいるんでしょうか。
なんとなく周りの雰囲気に流されるだけ、叩かれなければ良い、という感じのことがほとんどではないでしょうか。

私は社会に対して自分の考えを持ちたいと思うし、言える方でありたいと思います。
でも、今、何かをそのまま素直に述べたら散々叩かれて傷つくだけな風潮が蔓延しています。
この舞台では「どちらが正しい」とか「意見を述べる」というような話ではなく、国歌というものに翻弄される人々の姿を描いたものです。

それでも今の社会に対して「こういう伝え方もあるよ」という意見の伝え方の一つを示唆してもらえたように感じました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?