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town103
読書感想文「未来」
小学校5年生の章子が大人になった章子から手紙をもらうところから物語が始まります。
とはいっても決してファンタジックなものではなく、子供章子が未来の章子に返事を送る、という体裁で章子の辛い現状が描かれます。
章子をこよなく愛した父は亡くなり、母は精神的に不安定で「人形」の時と「人間」の時があるようです。
勢い章子が家事や母のケアも引き受けることになってしまいます。
担任の先生が心配して2人をフォローしてくれますが、それが思いも寄らぬ方向へと進んでしまいます。
様々な小説を読んで思うのは、「この時点で悩みを誰かに打ち明けていたら、この人は罪を犯さなかったかもしれない」もしくは「死ななくてすんだかもしれない」などと感じます。
とは言え・・・子供には誰に相談すれば良いのか分かりません。
助けを求めるべき社会的支援など、想像できないでしょう。
あとがきでも「子供の貧困」について言及されていますが、「助けて」と声を上げることすら思いつけない子供がどれほどいるかと思うと、苦しくなってきます。
また、経済的に豊かであることが幸せ、というわけでもないことが後半の方に分かってきます。
性暴力を含んだかなりショッキングな描写ですが、実際にそういうことが起きていたという告白も読んだことがあるので、決して大げさに書かれているわけではないでしょう。
最後まで読むと様々な「仕掛け」が最初から用意されていたことが分かりますが、あまりにも内容が辛いので再読するかどうか悩んでいます。
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