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読書「六畳間のピアノマン」

Amazon.co.jp: 六畳間のピアノマン (角川文庫) : 安藤 祐介: 本

「六畳間のピアノマン」を読みました。
「人と人の関係が紡ぐ、希望と再生のストーリー」と帯に書かれているのでほんわかした感じの小説を期待して読み始めましたが、相当ヘビーでした。
正直、再読はないと思います。

というのも、短編集なのですが、最初の話がブラック企業に勤める3人の営業マンの話で・・・
このブラックぶりがリアルすぎてしんどくなってしまいました。
深夜と早朝に訪問販売を課せられるとか、売れなければ朝礼で非人道的な罵声を浴びせられるなど・・・
しかし、少しでも成績を上げればちゃんと「飴」を与えられる時もあり、うまいこと洗脳されていく過程がリアルすぎる。
そして、あまりにも後味の悪い幕切れ。

ただ、ブラックな組織や家族なんかもそうかもしれませんが、事件が起きれば「早く逃げれば良かったのに」とか言う人必ずいるんだけど。
いやいや、逃げられないんですよ。
あまりのしんどさに麻痺して疲れ切っていくと「逃げる」なんて選択肢も湧いてこない。
そういった心境に正面から向き合って描かれているところに何か救われるような思いがしました。

また、一つ一つの短編が絡み合っていて、「この人がここで出てくるんだ!」という発見は楽しかったです。


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