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本棚は段ボール

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読んだ本の感想を述べています。 ネタバレ等ありますので気にする方は気をつけてください。
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#読書記録

本棚は段ボール Vol.12 『ニムロッド』/上田 岳弘

本棚は段ボール Vol.12 『ニムロッド』/上田 岳弘

 昔買った本を、なんとなくどんな話か忘れていて、当時はそんなに刺さらなかったのだけれど、もう一度読んでみることにした。

 現代というものは、何でも知ることができる。何でも知ることができるし、お金があれば"あるものなら"何でも手に入れることができる。
 すべてを手に入れたとして、その先に人間が望むことはなんだろうか。
 何でも知ることができるようになってしまったからこそ、私達は「知らないこと」に不

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本棚は段ボール Vol.11 『いい子のあくび』/高瀬隼子

本棚は段ボール Vol.11 『いい子のあくび』/高瀬隼子

 仕事の昼休み。機嫌の悪い先輩に当たられ、腹が立って、「なんか大人だよね」と、大人に大人の私が笑われたことを思い出して、いろんなことが許せなくて、たぶん私が許せないことたちの殆どに、他の人は気づきさえしなくて、それなのに私はつまずいて止まって、怒って。
 むしゃくしゃして本屋へ行くと、「ぶつかったるって思ってぶつかった。だけど、ぶつかられたのはわたしだ。よけてあげなかったから、結果としてぶつかった

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本棚は段ボール Vol.9 『一人称単数』/村上春樹

本棚は段ボール Vol.9 『一人称単数』/村上春樹

友人に借りてよんだ。
友人は、「謝肉祭(Carnaval)」が1番好きだと言っていた。
何となくそれは分かる気がした。(その友達がどこを、というか何を好んだのか、ということについて)
ただ、そういうことを意識してしまうと、その話は「友達の好きな話」になってしまって、一番好きな話になり辛い部分はあると思う。

「品川猿の告白」は、安部公房氏の影響を受けていたりするのだろうか。名前を盗まれるというのは

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本棚は段ボール Vol.7 『ダンス・ダンス・ダンス 上』/村上春樹

本棚は段ボール Vol.7 『ダンス・ダンス・ダンス 上』/村上春樹

村上春樹さんの作品を、ほぼ初めて読んだ。
「続きを早く知りたい」という感覚を久々に味わった気がする。

出来事の流れと言う意味での物語が面白いと思える本はそうないと思う。人物像が面白いとか、この人がどんな人なのかどんなことをしでかすのか気になるということはあっても、大きな流れとして出来事、出来事でそのひとつひとつが面白いと感じられることはあまりなく、それがこの人のすごいところなのかなと思う。

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