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【短編小説】無条件に愛されるべき存在で理不尽に憎らしい存在【Chat GPTの力を借りて推敲】

 あの子が憎くてたまらない。

 どうして? 片思いのあいつがあの子を見て愛おしげに目を細め、その小さくてふわふわの頭を撫でたから?

 違う。それが私にとって、世界を揺るがす重大事件であったことは認めるが、そんなのは、些細なことなのだ。

 あの子に苛立ってしょうがない。

 どうして? あの子の周囲には絶えず人が集まっているから?

 違う。確かにあの子に周囲が向ける感情は、私に向けられるそれより量も、質もずっと高いことは認めるが、そんなのは、些細なことなのだ。

 あの子を許せそうになくて苦しい。

 どうして? あの子は自分がそれだけ愛されていることに無頓着で、あるいはどこか、自分は愛されて当然、とでも思っていそうだから?

 違う……と言いたいが、これは当たらずも遠からずだろう。自分が血眼になって、体が擦り切れてなくなってしまうほどに地面を這いずって、それでも手に入らないようなものを、まるでおやつでもつまむように消費されたら、腹も立つというものだ。まさに猫に小判。あなたにそれはもったいない、私の方が、その座に相応しい……なんて、こんな思い、口から外に出せばきっと嫉妬に狂った女の叫びのような響きを含んでしまうのだろう。

 至極真っ当(な、はずの)意見を全部「嫉妬」の一色でグラデーションもへったくれもなく染め上げてしまいそうなところも、どうにも許せそうにない。

 そんなことを思いながらも、いつも朝は少し早めに家を出て、早々に通学路を外れてあの子に会いに行ってしまう私自身が、一番許せそうにない。

 どうして、こんなことを毎朝続けているのだろう。惹かれている? 私自身も、あの子に? ……多分、そんなはずはないのだ。そうあってはならないのだ。誰よりもあの子を嫌っているはずのこの私が……なんて、あの子の魔性を自らの身をもって証明するようなものではないか。

 家を出て、最近庭のチューリップ(白と黄色の二色が交互に並んでいる。定規でも使ったみたいにまっすぐ並んだ様子は、家主の神経質さを証明しているみたいだ)が咲き始めた斎藤さん家の角を右に。いつものコース。

 あの子が、まるで私が訪れるのを待っていたかのように、つぶらな瞳をこちらに向けてくる(ただし、多分あの子は私の存在なんて、顔を見るまで忘れている。忘れているくせに私の顔をあんな目で見つめることができてしまうところが、あの子があの子たるゆえんなのだ)のもいつも通り。

 ただ一ついつも通りじゃなかったのは、あの子の前に立つ、ニヤニヤと薄笑いを浮かべた男三人組の存在。男たちはまだ私の存在には気づいていない。自分でもよくわからないうちに恐怖が背骨を尾てい骨の辺りから後頭部までぞわっと駆け上がって、私は咄嗟に身を隠した。

「連れてっちゃおうぜ」

 と、聞こえた。あの子は状況がよくわかっていないとでも言うように、私が消えた角をじーっ、と見つめている。黄色い、細い目だ。

 真っ黒な、ふわふわした頭に男の手が伸びる。片思いのあいつは、どんな顔してあの子の頭を撫でていたっけ。こんな顔では、なかっただろうな。だってあいつ、あの子のこと大好きだもん。

「袋にでも詰めて持ってっちゃおう」
「その後はどうすんの」
「川にでも捨てるべ」

 あの子が、にゃあ、と鳴いた。

 触らせてはいけない、と、思った。

 いつの間にか、私の腕の中にはあの子の小さな体がすっぽり収まっていた。

 ――本当のところ、その三つの出来事がどの順番で起こったのか、私はよくわかっていない。

 たいして足が速くもないくせに、あの子を抱えて逃げる、という安直な方法を取った代償として、私の右足はいつの間に、どこにぶつけたのか痣になっていたし、あの子は立場もわきまえず私の腕の中で暴れるから、制服は汚れるし腕は痛いし(それでも、見たところ制服が破れていないのは幸運だ)、こんな格好、好きな人には見られたくないなあ、と思った。

 それでも、振り向いた先にあの男たちがいなかったという事実だけで万事OK、だと思う。

 あの子を、守りたくてどうしようもない。

 どうして? 理屈とかないし、いらないんだと思う。ただ、あの子は明日も当たり前に人間たちに囲まれているべきだし、私はそれを妬ましげに睨みつけて、心の内でぶつくさと毒を吐いているべきだ。

 それが、この世界のあるべき姿なのだ、と思う。

 あの子が私の手から飛び降りて、鬱陶しげに、みゃあ、と鳴いた。


 Chat GPTに全文投げてアドバイスくれって言ったらいくつか改善点を教えてもらったので、少しだけ参考にした。

 宣伝、 拙作。


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