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主人公はいつも内気で病気がち…なもの

私の本棚の奥には
少し背表紙が色あせた本たちが
そっといる

ある日
大好きな先輩に
やっと話しかけてもらった女の子は
話し始めて
しばらくすると
「コホッ…」と小さく咳き込む
ほんとに小さく…
そのことは
自分以外の誰にも
知られたくないことだから

でも
「コホッ」は
止めようとすればするほど
止まらない
こんなに待っていた時間なのに
先輩に 
「ごめんなさい」と謝り
サッと
その場から立ち去る
そして…涙する

その日から
先輩は
その女の子の姿が見えないことを
避けられていると勘違いして
恋は
すれ違う

でも
その女の子は
ぜん息の発作で入院していたので
姿を見せることが出来なかったからなのに

私は
「コホッ」に…憧れた
元気なのではなく
少し…内気で病気がちなことは
守ってあげたいと
思ってもらえる価値観なのかもと
思った
その頃
やっぱり
私は
誰かに守って欲しかった

ずっと強がっていたけれど
本当は
弱音を吐きたかった
ツラいと言いたかった

それが
病気なら
堂々と
それを言い訳にして
誰かに
とりわけ
大好きな人に
守ってほしかったのかもしれない

病気に憧れるなんて
そんなことは
言ってはいけないこと
今はわかる

そんなことを思っていたせいか
実に
いろんな病気やケガは
襲ってきた

でも
そのことを理由に
守られることもなかったなあと
今は
思う

病気でなくても
守ってくれた人もいたなあと
そう思う

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