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ARCHIVES~最初で最後の手紙…Ep9



A様

大好きだった
本当に泣きたくなるほど好きだったと思います
でも
~「好き」っていう気持ちは
言葉にしなくても伝わる~
ということは
嘘  だと教えてくれました

そうですね…
「信じること」が
信じられなくなりましたが
裏切られても
大丈夫になりました
大人になれた気がしました
その後
時に「悪」というような
そんな私を
私の中に
見つけるようになった時は
あなたを少し恨みました
今…どうしていますか?
お元気ですか?


R様

天の国は
淡い青色の花が
咲いていますか?
本当に
遠いところへ
行ってしまったのですね
私はどんな姿で
あなたの目に
映っていますか?
私は
想いを
飛ばすことができていますか?
「泣かないで」と
言わないでください
涙をこそ
あなたに届けたいです
今…どうしていますか?
お元気ですか?


C様

中学生の時授業中
少し寒がっていた私に
自分の上着を脱いで
私に
かけてくれたこと
覚えていますか?
大人になって
再会した時
そんなことは言えなかったけど
一番先に
思い出しました
私たちは
大人になっていました
大人の恋をしようとしました
でも
私はあなたを見ていなかった
遠くにいることを
望みましたから
今…どうしていますか?
お元気ですか?


H様

今の人との一緒の場面で
出会った時に
私に
「元気にしてた?」と
あなたは
聞きました
私がどんな気持ちで
二人を
ハッと見たと
思うのですか?
ホントに
あなたは
何度も何度も
私を
傷つけました
そして
そうしたことに
気付いてもいなくて…
また傷つきました
もう
笑って話せるほど
月日は過ぎました
そう
笑って話せる余裕を
持てるようになりました
今…どうしていますか?
お元気ですか?

I様

大学のあるバンドのコンサート
後で見返すと
私とあなたは
写真の端と端に
いましたね
私の友達が
あなたのことが好きでした
あなたは
歌を歌うから
いろんな気持ちを
言葉とメロディにして
届けてくれました
初めてもらう宝物でした
私も
英訳して
返したりして
それは幸せでしたね
でも「今」が将来へ続くと
信じているあなたを
冷めていた見ていた私は
どれだけあなたを
傷つけたことでしょう
許されるはずもありません
今…どうしていますか?
お元気ですか?


V様

大都会は
魅力的で
そこは今でも
存在したい場所です
私は
空と風と緑と花よりも
高層ビルが
好きって
知っていましたか?
さよならを告げた時
予想通りのしぐさに
笑うしかなかったです
でも
忘れません
あの街に
私は確実に存在していてことを
それを教えてくれた
あなたのことを
今…どうしていますか?
お元気ですか?


E様

むずかしい数学の問題も
哲学も
化学記号も
よくわからなかったけれど
聞いているだけで
あなたのことを
わかっている気になって
嬉しかった
音楽の話も
理論から感じるって
初めてだったから
音楽を
語ることも知りました
別世界の人…
「好き」と言うより
「憧れ」「尊敬」…
あなたが結婚したと聞いた時
ある意味ビックリ…
そんな普通の日常を
すごす気があったんだと…
でも安心しました
今…どうしていますか?
お元気ですか?

S様

あなたはいつも
ささやくような声で
それは時には
呟くようで
とても心地よかったのです
優しい眼差しは
すべてのものに
注がれていたのに
それを私だけに
向けたかった
無理…は
全てを壊します
心も体も
人との縁をも
切れました
今…どうしていますか?
お元気ですか?


私は
やはり
切れなかった縁を繋ぎながら
こうして
生きています
今…ここにいます
元気にしています

この
「最初で最後の手紙」の束は
私の「ARCHIVES」の銀色の箱へ
しまうことにします

そっと…