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地方貧困育ちが東京に出てワンチャンを感じた話

今日は、地方育ちの方ならみんな思ってるようなことをひとつ。ありきたりな話です。
私は大学進学のとき田舎から東京に出てきた。頭が悪くなかったので、高校の頃から給付型の奨学金をもらって、バイト禁止の学校に隠れてバイトもして、家族の病気で勉強どころじゃない時期もあったけど授業だけは真面目にうけて、大学に行かずに早く嫁に行けという家から逃げるように。国立大学は成績が悪くなければ入学金や授業料が免除される。本当にありがたいことだった。

東京に出て、ガチのお金持ちの存在を知った。地方のお金持ちといえば地元の企業の役員か医者で、たかが知れているとも言えよう。
お受験をしてずっと私立で塾にも行けて実家から大学に通ってバイトもしなくていい、バイトするにしても経験のためにって人がこの世にはいる。なんなら、近くに立派な実家があるのに月8万くらいのマンションを借りて住んでる人もいた。たかが国立大学のために塾に通って浪人させて貰った人も、誕生日に車買ってもらう人も、毎年家族で旅行いくって人もいた。友達のご実家に遊びにいったら、絶対ここ地価えぐいでしょってところの地主さんだった。親は不動産で収入があるから、好きな時にしか仕事してないとか。デパ地下で売ってるケーキを食べさせてくれた。彼は卒業してからは親の持ってるマンションで一人暮らし始めたらしい。もちろん家賃は払わなくていいのだ。家賃払わない世界があるらしい。貯金余裕じゃんか。そんなに恵まれて育って私と同じ大学にしか入れないの?と思わなくも無かったが、とにかく、めちゃくちゃショックを受けた。
この人たちは給食費が払えなくて惨めな思いをしたことが無いのだ。

お金持ちの人は性格がいい人が多い。みんな優しくて友達になってくれた。
ある時、親が土地をもっているという友達とお金の話になって、食うに困った経験があるかを尋ねた。彼は「あるよ!親が海外旅行で1週間不在のときに料理ができなくて〜」と、至って真面目に答えてくれた。唖然とした。普段親がご飯をくれないから基本的に給食で栄養をとっているから夏休みなどの長期休みはかなり困るとか、お肉が買えないからちくわが贅沢品だったとかを「ある」と言うんじゃないのか。彼は彼で親がいない1週間苦労したのだろうけど、話のスタート地点が違う。

小学生の時の話になったときも、制服を着て電車に乗って通っていたらしい。それはシンプルに凄い!都会だと感心した。しかし、やはり環境のギャップはあった。
私が小学生の頃、生活保護家庭の子、毎日同じ服を着てきて臭いと言われる子、片親家庭の子、ある日苗字が変わる子、着替えの時に火傷の跡や痣がある子、お母さんがお水なんだよと噂される子、読み書きができない子、、、そういう子は普通にいた。私もその中の1人だった。友達の家に行っても、1部屋のおんぼろアパートに家族4人で住んでいたり、いわゆるゴミ屋敷状態の家であったりした。もちろん、ゲーム機やソフトは何でも揃っていて出てくるお菓子も美味しくてお母さんが綺麗!みたいな家庭もあったけど。私の家は父親がDVで無職で、母親のパート代でなんとかやってたけど母親が病気して貧困、私は読み書きができない系の家庭だった。
彼は、私の話をきいて、そういう人を見た事がないから興味ある!と屈託のない綺麗な目で言った。なるほど、人のそういう生活は君にとって興味のある存在なのか。

学校の裏山で秘密基地を作ったとか、逆に原宿で遊んでたとか、そういった田舎と都会の生活ギャップはある程度想像していたけど、自分の知らないレベルで育ちが違うことを知った。
というのがびっくりした話。正直、そういう現実にショックをうけて、ずるい!!と思ったりはした。平等じゃない!と不満に思って、恵まれて生まれて来たかったと思った。今もちょっと思う。

現実は変えられない。たが、私はラッキーだった。貧困家庭で育った人達の環境も、お金に困ったことがない人の環境も知っている。ずっと私立で恵まれた子しかいない環境で育った人間には見えない景色を体感と知っているし、あのまま地方に留まっていたら知りえなかった環境を知ることができた。要は、この世の中ある程度ワンチャンはあるのである。私はたまたま国立大学に入れて、そこで余裕のある家庭の友達が出来た。
バイトして家賃と生活費払ってる人間の大学生活と、バイトもせずサークルや勉強に打ち込んでる人間の大学生活はもちろん違ったけど、勉強に打ち込める友達がいるのは有利だった。勉強を教えて貰えばいい。めちゃくちゃ助けて貰った。
友達とドライブ行く時は、車に詳しくなくてもいい車だとわかるかっこいい車に乗せてくれたし、クリスマスや誕生日には自分の知らない世界線の商品をくれた。めちゃくちゃいい香りのする化粧品とか、お返しに苦労したけど。バレンタインもそう、めちゃくちゃ美味しい宝石みたいなチョコレートがあることをそれまで知らなかった。私がなんでも美味しそうに食べるからみんな面白がって色々くれた。海外旅行のお土産とかもそうだし、海外のお土産話を聞かせてくれる人なんて今までいなかったから、とても興味深かった。とにかく知らなかった景色を見せてくれ、体験させてくれた。
友達だけではない。大学の先生もそうだ。自分の研究に興味を持ってくれる学生には喜んで色々教えてくれる。研究のことはもちろん、食べたことない美味しいお料理やお酒の味を教えてもらった。就活のときも、人望ゼロの私に先生のご友人が興味ある業界で働いているからと紹介してくれた。沢山お話をきけて、新卒では無事その業界から内定をもらったし、就職したあともそのご友人にはとても良くしていただいた。

大人になった今もそう。家賃を払わない生活をしている友達の方が貯金貯まってるんだろうけど、そういう友達は余裕があるから相談に乗ってくれたりする。彼らは愚痴をこぼす性格をしてないないので、こちらが愚痴を聞いてあげる必要もないどころか、こちらの愚痴や困り事は面白がって聞いてくれる。ほんとに優しい。
もちろん彼らと同レベルの生活をすることはできないけど、今もここでなんとか生きていけるのは、彼らのおかげだ。少なくとも貧困家庭を飛び出すことには成功している。貧困家庭でもある程度勉強が出来れば、ワンチャンあるのだ。
まぁ今うつ病になって働けてなくてお金もないんだけど。それはまた別の話。とにかく私にはワンチャンがあった。

もちろん、私がとってもラッキーだっただけで、ハードな育ちの人全員にワンチャンあるわけではないのは強く言いたい。誤解のないように。今もワンチャンすらなくハードに生きてる人はいるし、機会の平等が行き届いてるとは思ってない。

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