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ヨミガエル 【詩】

ねじれたり
くるまったり
のびちぢみして
ひらいてとじて
うらがえっては
つるになったり

ここは古池の渚
喫水線が揺れる
苔が静かに呼吸しています

だらだらして
ぴーんとして
ふっくらして
ばくばくして
ぽよよんとして
折りたたまれて
ねじり出す五次元世界
うちゅうがゆがむ柔軟体操

(カエルがヨガをしている)

貪婪なくれないの目ん玉を
ピヨんと木の上に放り投げ
青蛇腹に巻きつけクルリンコ
両脚を天衣無縫に屈伸させる
尻の割れ目から月を覗きます
逆さまの天国を覗いています
あの世のこっちの向こうの左端
聞こえてくるのは玄妙なる楽音
千年に一度の春の訪れ
古代の渚は宇宙のほとりです

(カエルがヨガをしている)

竹林の七賢人がおります
お琴を鳴らしております
涼しげな月風がそよぎます
ポコんポコんと時おりあぶく
(カエルがヨガをしています
美しいのどが開かれて
古池の底から青い歌声
いっしゅんのさざなみ
蛙飛びこむうちゅの国
舌先がお月さまつんつん
脳天からゼリー流れます
七賢人がベロンベロンです
なんてステキな夜でしょう
(カエルがヨガをしています
白いお腹がヨミの国まで
膨らんで ぺったりして
千年に一度の山吹みだれ咲き
春の夜うつろえる常世の琴音

ヨミガエリます
イボの底からお月さまほどにも
ヨミガエリます
ハレクリシュナ宇宙のヘリまでも

カエルがヨガをしております

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