Shiori

精神科医。Shioriはペンネーム。本名での活動は、https://suzuki-ke…

Shiori

精神科医。Shioriはペンネーム。本名での活動は、https://suzuki-keiko.jphttps://twitter.com/keiko_skco

最近の記事

発達障害と女性

R6年3月に読んだ本は写真の2冊だった。『ケアする対話』という本の中に、精神障害者に対しては"疾患特異性の低い丁寧なケアで十分"との文章があり、完全に同感だった。キュアからケアへ。必要なのはケアであってキュア(治療、治癒)ではないと。私を含めこれまでの大勢の精神科医の役割や存在意義とはいったいなんだったんだろう、とは思うけど、それでいい。精神科医が皆、精神障害者を思って頑張って動いていたことも確かで、消えない事実だと思うから。無自覚に非倫理的なことをしていたとしても。時代が過

    • 見ていることを許されているだけ

      R5年12月〜R6年1月に読んだ本は写真の3冊だった。正直で誠実な本だから読み切れた。 今は情報が溢れている。精神科関連の本もたくさん出ている。こういう時にこうすればいい、こうすれば必ず治る、等と書かれた本、指南している感じの本を読むのは苦手だった。ネットの情報や動画を見るのも苦手。分かりやすさは嘘になる。歯切れの悪さ、鮮やかにいかない支援、支援の限界こそ真実だと思う。 発達障害傾向のある人は、目に見える物や分かりやすさに惹かれてしまうから、分かりやすく伝えたり書いたりす

      • 同じだから

        普通になりたい も、人と違っていたい も、どこか同じな気がした。 無難すぎるファッションをするのも、奇抜なファッションをするのも、同じ。優等生をするのも、不良をするのも、同じ。 個々の人間に優劣をつけてる点で。 認められたい、好かれたいと思っている点で。 理想の自己像にこだわっている点で。 他人からどう見られているかの現実的イメージがまとまりあがらない点で。 日々が続いていくこと、この先も生きていくことが前提と思っている点で。 一人だと寂しい も、一人になりたい も、同じ。

        • No coffee,no life.

          R5年9月〜11月に読んだ本は写真の4冊だった。ためになった。特に、内海健先生のASD理解が素晴らしくて感動的だった。自他未分のまま生きるとはどういうことか、ASD者は日々どういう体験のしかたをしているのかをここまで理解して詳述した本を私は知らない。 開業して2年8か月経った。人の話を聴く生活を続けてきて思ったことをここに書く。 不遇体験を持つ人とかACやHSPと自称する人の中に、発達障害じゃない人っているんだろうか。自分は発達障害ではないかと言う人の中に、発達障害じゃな

        発達障害と女性

          透明で、揺れ動く

          生きるとか回復するとは 1と2の間を揺れ動くことを言うのだろうか 1 追求する 白黒つけようとする こだわる 自分を押し通す 万能感 理想化する 完璧を目指す 2 諦める 自暴自棄 冷ややか 迎合する 嫌悪する 感情に蓋をする  頑張りすぎと怠惰の間 好きと嫌いの間 主体性と受動性の間 頑固と流動の間 自分しか見えてないのと他人しか見えてないの間 予定調和と場当たり的の間 感情と理性の間 子どもと大人の間 未熟と完全の間 個と背景化の間 「わたし」は あなた 「わたし

          透明で、揺れ動く

          つ・た・わ・ら・な・い

          R5年5月~8月に読んだ本は写真の3冊だった。内容はどれも刺さる部分があった。言葉が通じる、まっすぐに伝わるとはどういうことかと考えていた。そこから派生して考えたことをここへ書く。 ※1「伝えたいことが伝えられない 助けてが言えない 伝えたいことの1mmも伝わらない 中途半端に伝わり不正確に理解されるくらいなら理解されない方がいい 伝え方が分からない ぴったり完全に自分の思いを理解させる伝え方が分からない だから伝えない 助けを求めない  一番になりたい 一番に自分のことを

          つ・た・わ・ら・な・い

          わたしはlong sleeper. わたしはslow starter. わたしはminimalist. わたしはoutsider. Only when I am alone ,I can recognize myself clearly. わたしは猫を飼っている その猫はぬいぐるみ わたしが大事にしているものを大事にしてくれる人を大事にしたい わたしが大事にしている人が大事にしているものを大事にしたい 誰かを大切にすることは難しいことじゃなかった 相手が見ている世界にとり

          暗さとか死の話題は人との距離を縮めるけど

          死にたい人 いつか死ねることがお守りになる人 ある人を死ぬようにと呪っている人 死が怖い人 このまま死んでしまいそうな恐怖に襲われる人 ある人の死を受け入れられない人 ある人の死でラクになった人 嫌いな人が死んだ後も されたことを忘れられずに苦しんでいる人 死ねと言われた人 死んでやると言われた人 死ねと頭の中で聴こえる人 何事も死ぬ気でやらなきゃと駆り立てられている人 心が死んでしまった人 自分が相手を死なせたと思っている人 誰かの死を報じるニュースで、自分のことのように苦

          暗さとか死の話題は人との距離を縮めるけど

          会話に悩む人の心の中

          話し言葉は流れてく すくい取れない 追いつかない 聞き取るのも返す言葉を選ぶのも だからメモに書く 書かれた紙を見ながらやり取りする 手紙 メール 写真 録音 そういうことで補いたくなる わざわざ形にしたくなる 伝達できたという実感は 形にならないと得られない 正確に伝えたくて詳細に細部まで話す 長くなる 嘘をつきたくない 誇張もしたくない 要約できない 帰宅すればヒトリ反省会 終わった会話を反芻し再検討 相手にどう伝わったか予想 答えは出ない それでも考え続ける 会話の正解

          会話に悩む人の心の中

          AIにはできないことを

          分かりあえなさは続く 核のことも虐待のことも  G7 は広島に来てくれたけど まだ核を手放さない 発達障害について浸透しつつあるけど まだ毒親、愛着障害、HSP、繊細さんという言葉が本屋を席巻し 子に故意にひどいことをする人間がごろごろと実在するかのように粉飾する 生きづらさを自分視点からだけ最大限に語る 分断が起きる 分かりあえない  変われない 変わらない たくさんたくさん悲しみや怒りを吐いた後にだけ到達する状態はどんなだろう 求めてはだめ 分からせようとしてもだめ

          AIにはできないことを

          自分がないこと−−−解離・共依存・ASDについて

          R5年1月〜4月に読んだ本は写真の3冊だった。発達障害と解離の関係に興味を持つようになり、それについて書いてありそうな本を読んだりした。自己感が乏しい現象はトラウマによる解離症状と考えるのかASDの中核的な特性と考えるのか。また、発達障害や共依存についての本も色々読んでいるが、カサンドラ症候群になっている側の人にも発達障害傾向がありそうなこと(あくまで私見)に言及している本にまだ出会えていない。関係性の問題として考えるのか個人の特性として考えるのか。 解離とは、自分がないと

          自分がないこと−−−解離・共依存・ASDについて

          small world

          言ってはいけないことはだいたい正しいとも言う 誰かに過去に言われた あなたの声は面白い あなたは不思議 天然 世間知らず挫折知らずのお嬢様 偽善者 何かを身に着けるのが遅い人と それらはきっと真実かも それでいいよ 傷つかない 自分が取った過去の言動 疑問だらけ  なぜあんなことしていたんだろう なぜ受け身過ぎたんだろう なぜ歩くと足が側溝に何回も入ってたんだろう なぜ両足が浮いた感じがしたんだろう なぜディズニーランドで目が開けれなくなったんだろう なぜ授業と電車で寝っぱ

          small world

          Automatic Theater

          自分を嫌いすぎるってことは、自分を好きすぎるってこと 自己肯定感、自尊心、自己愛 なさすぎるのは肥大しているのと同じ 自分を許せないってことは、理想の自分しか受け入れないってこと 他人に同調しすぎるってことは、他人から必要とされている実感を持ちたいってこと、他人の目に映る自分像を理想の自分像に固定したいってこと、他人の感情や言動を自分がコントロールできると思っているってこと でも理屈なんてあとづけにすぎなくて 本当は全部Automaticに起きるから 気をつけられないみたい

          Automatic Theater

          このままで

          知れば知るほど 自分にも他人にも優しくなれたらよいのに その逆のこともある 知ろうとする過程はいきいきして楽しい つかの間の生きている実感 知った先には希望を感じる劇的な物語はなく このままなんだよという静かな凪 このままなんだよずっと結局 人の一生は自然の大きな力に比べたら微々たるもの このままで生きてく 生きてくという意識すらいらない  ギャラリー(観客)はいらない 透明なままの自分 自分 他者 生 死 愛と支配 正常と異常 定型発達と非定型発達 性 精神障害 現実と妄想

          このままで

          神社に行ったら

          神社に行ったら手を合わせ ありがとうと心の中で言う お願いごとはしない どんなことが起きても見守ってくれるから どんなことが起きても受け止められるから 受け止めるしかないと思えるから どんなに悲しいことが起きても生きていくから 私の心は簡単には壊れないし 壊れてもまた再生するから 神様はいなくて 心の中の本当の自分が神様みたいなものだから 結局自分との闘い 自分との約束だから 背伸びはしないから 理想の自分像はないから 今が既に幸せと思えたから 今がありがたいから 一人ひとり

          神社に行ったら

          it

          それを克服する日は来ない そう自分自身が一番よく分かっている だからその制約の中で生きることにした 私はそれが怖いんじゃなくて嫌悪しているだけ それは今後の人生に必要ない 皆が普通に受け入れているそれを私は受け付けない 誰にも理解されないだろう話を持っていた もし誰か理解者が現れたらその人にしがみつくか関係を破綻させるかだろう お金を払って労力をかけてまで傷つきには行きません と思っていた自分が こうして話を聴く仕事をしているという矛盾 核心を話さないまま 断片だけ話すだ