会話に悩む人の心の中

話し言葉は流れてく すくい取れない
追いつかない 聞き取るのも返す言葉を選ぶのも
だからメモに書く 書かれた紙を見ながらやり取りする 手紙 メール 写真 録音 そういうことで補いたくなる わざわざ形にしたくなる
伝達できたという実感は 形にならないと得られない
正確に伝えたくて詳細に細部まで話す 長くなる 嘘をつきたくない 誇張もしたくない 要約できない
帰宅すればヒトリ反省会 終わった会話を反芻し再検討 相手にどう伝わったか予想 答えは出ない それでも考え続ける 会話の正解を求めてる 
あるいは自分なりにその会話に意図があって 相手にその言葉を言わせるには?と思案する

明日の会話はどうなるんだろう
マニュアルや台本が欲しい 
臨機応変にその場で返答や質問ができないから 
擬態する どうしたらいいか分からない時は笑ってみたり 相手に言われたワンフレーズをそのまま返す
脳内の引き出しに会話パターンを詰め込む 
明日もまた知らない会話展開があったならそれを詰め込むつもり
パターンは膨大になり 引き出しからうまく選び出せない
分からない やっぱり分からない 最初から分からなかった 受け身で通してた

人に興味がないのに何を話しかければよいのか 
興味ない話をどうやって聴き続ければよいのか 
興味ない話を聴いている時間とか天気についての雑談に意味を感じない
いつだって会話にも形や意味、意図、方向性が必要
つまらなそうにしたらはじかれると知ってから擬態が始まった
調節が苦手ゆえに相手に完全同調するやり方になった
自分が誰だか分からなくなった 自分は相手と=(イコール)なのか
もともと自分がない 自他が分からない

マンガやドラマ、映画のセリフ、どんどん覚えてく
その作品が好きなだけじゃなく 会話パターンを集めて備えたいのかも

大人しいからよく誤解されるけど 恥ずかしがり屋とかあがり症とか、か弱いとか優しいというのとは違う
頑固だし (予め準備したものを一方的に話すのはできるから)人前で普通に発表できるし 知らない人の中にいるのはそんなには怖くないから 
これから関係が続く人と新しい状況設定で会話するのが怖いだけ
ごくたまにしか会わない人とは結構話せる 例えばバーのカウンターで店員さんと話すとかはできる
継続する関係の中では 自分のキャラ設定に毎回縛られてく
空気を読み合うのが苦痛
読めたと思っても読み間違えていたり 
相手の感情が入ってくるのが苦痛
相手にいつのまにか同調
嘘も社交辞令も謙遜も嫌味も建て前も 後になってから気づく
嘘や陰口は嫌 嘘をついたほうがいい時もつかない
陰口は言わない 不満を直接張本人に言うほうがいい
海外に行ったほうが会話はラク
英会話のほうがシンプルでストレートだから

会話に悩む人は 言葉をいつも吟味し哲学しているから 文系の何かを研究する道がよいのかな 文学者やライターとか
絵やデザイン、写真、音楽などの言葉以外の表現を伸ばしたらいいのかな 芸術家とか
すれた大人ではなく まっすぐなコミュニケーションをする子どもや動物に関する仕事がいいのかな
海外や英語に関する仕事がいいのかな 
他人の感情や街の音、SNSなどの情報過多から抜け出して 自然の中で活動するのがいいのかな
仕事をリモートにしたらいいかな 仕事を週3回にとどめたらいいかな 複雑な会話をした一日の終わりにぐったりするから
それともそれとも なんだろう 生きやすい道は 
話し言葉よりも別な何かを足がかりにしてみたらいい
社会通念からずらしたらいい

これは、会話に悩む不器用な人達を思って書いた文章
カウンセリングで聴いたたくさんの話からインスピレーションを受けて書いた
私は自分にもそういうASD傾向があるからこういう人達の話を興味を持って詳細に聴くことができたのかもしれないし 職業柄やっと少しだけ分かったのかもしれないので 世間の大半の人々が分からないのは当然なんだろうと思って 少しでも理解が広まるようここへこうして書いた
会話が得意な人達、定型発達の人達はどこまで理解してくれるだろう ここに書いた気持ちを



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