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夫の転勤により、母子3人の生活へ ― わたしの転機をふりかえる #9

「わたしの転機をふりかえる」というテーマで連載をしています。
今日は、夫の海外転勤をきっかけに母子3人暮らしになり、たくさんの人に支えていただきながら過ごした日々を振り返ります。

前回はこちら:

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2021年の秋、第2子となる次男を出産しました。

コロナ禍のため家族の立ち会いや面会は一切禁止、出産時もマスク着用必須、約一週間の入院中に来訪者はゼロ……という異例づくしの出産でしたが、赤ちゃん自身は元気に生まれてきてくれました。

そこから約1ヶ月後のこと。次男を寝かしつけ、自分もひと寝入りしようと思ったタイミングで、夫に声をかけられました。そしてその場で、中国への転勤が決まったことを告げられました。

渡航予定は、翌年の春。その時点ですでに数ヶ月ほどしかありませんでした。コロナや私の仕事をどうするかといった問題もあり、とりあえず夫だけ先に中国へ渡航して、残りの3人は東京に残ることになりました。

そして2022年4月、夫が中国へ出発しました。

夫を見送った成田空港からの帰り道、京成線の窓に映る自分たちの姿を見て、いよいよ母子3人になったことを自覚しました。

そこからの日々は、控えめにいってもかなり壮絶でした。なんといっても相手は3歳と0歳。長男のほうは自我が芽生え、ところかまわず自己主張してきます。0歳の次男からはとにかく目が離せません。毎秒ごとに散らかる部屋、エンドレスに発生する家事。夜は授乳、そしてすきま時間に仕事の原稿。まともに睡眠もとれないなか、疲労が蓄積し、体にも影響が出てくるようになりました。

「このままでは、母子3人で共倒れしてしまう……」

さすがに危機感を覚え、生活を抜本的に見直すことにしました。

まずは家事からテコ入れしました。思い切って家事の水準を下げ、「ヤメ家事」も実践してみました。多少はマシになりましたが、やはり限界はあります。そこで慣れないながらも、少しずつ人を頼ってみることにしました。

家事を頼ってみる

まずは体の負担をすこしでも減らすため、家事を頼ってみることにしました。家事代行マッチングサービスの「タスカジ」やシルバー人材センターに登録し、月に数回のペースで掃除や洗濯等をお願いしてみました。結果、体の負担が軽減されただけでなく、素敵なサポーターさんたちとの出会いにより心に潤いが戻りはじめました。

子育てを頼ってみる

つぎに、子育ても少しずつ頼ってみることにしました。まずは家に人を招いてみました。義母や友人、ベビーシッターさんや見守りボランティアさんなど。すると子どもたちに少しずつ笑顔が戻ってきました。以前は毎晩のようにお父さんを思い出して泣いていた長男も、カレンダーを眺めては「次○○さんが来たらこんなことするんだ~」と楽しそうに思い描くようになりました。

親子の孤立を防ぐ

また社会からの孤立を防ぐため、地域とのつながりを深めていきました。幼稚園の保護者さんたちと積極的に交流したり、児童館に通ったり。町内会や地域のイベントにも積極的に参加しました。そうするうちに顔見知りが増え、街を歩けば必ず誰かが声をかけてくれるようになりました。

夏休みには、少し遠出して旅行へも行きました。千葉・館山にあるLiving AnywhereCommons(LAC)というシェアレジデンスに宿泊し、他の宿泊者の方々と交流してきました。北条海岸のようにきらきらと輝く親子の夏の思い出ができました。

そんなある日、ふと振り返ると、これまで随分と多くの方にお世話になってきたことに気づきました。

ご近所の皆さん、幼稚園の先生方や保護者の皆さん、家事サポーターさん、ベビーシッターさん、ボランティアさん、旅先で出会った方々、遠くから見守ってくれている友人や家族……。少なく見積もっても、100人を超える素敵な方々に支えていただいていることに気づいたのです。

もちろん、100人が毎日実際に集まって子育てをすることはできません。でも、毎日少しずつ助けていただいたり、一期一会のご縁をいただいたりした結果、気づけばこれだけの人数になっていました。まさに年間通してみれば百人力です。

ひとり子育ての日々は、真っ暗なトンネルを走り続けているような日々でした。それでも、きちんと振り返ってみればこれだけ多くの方々に支えていただいたことに気づきました。

そして子どもたちにとっても、このことが財産になればと強く思いました。100人に育てられた記憶があれば、大人になってからも幸せな人生を歩んでいける気がするからです。

親とはいえ、ひとりの人間にできることには限りがあります。「母は強し」と言われますが、決して万能ではありません。でも私はせめて、100人に育てられた人生の記憶を子どもたちにプレゼントしたい。不完全な私にできることがあるとすれば、それが一つではないかと思っています。

そして、ただ助けていただくだけでなく、きちんとお返しもしたい。今はまだ余裕がなくて一度にたくさんのお返しをすることはできないかもしれないけれど、長い目で少しずつお返しをしていけるような人生をこれから親子で歩んでいきたい。今、そんな思いを新たにしています。

つぎの投稿では、100人で子育てをしてみてよかったことや、思い出などを振り返りたいと思います。

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「チーム育児」や「脱・弧育て」などのテーマについて考えるウェブメディア「100人で子育てをすることにしました。」をゆっくりと更新しています。


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