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「オンライン留学」に関する疑問への回答④【卒業およびその後の人生について】

皆さまこんにちは。

先日私のnoteで「オンライン留学」に関する疑問・質問を広く募集しました。

その後、多くの方々からたくさんのご質問をお寄せ頂きました。誠にありがとうございました。前回に引き続き、一つひとつ回答していきたいと思います。

最終回となる今回は【卒業編】として、卒業およびその後の人生に関する質問等にお答えします。

なお本稿で初めてご来訪くださった方のために概要をお伝えすると、本企画はオンラインで海外大学を卒業すること(以下「オンライン留学)に関する様々なギモンに対し、経験者である私が過去の体験を元にお答えしていくという企画になります。そのため回答内容はあくまでも筆者個人の体験が元になっています。主観的な内容も多分に含まれていますので、あくまで参考程度に捉えて頂ければ幸いです。

それでは早速参ります。

【学位について】

1.オンラインで取得した学位は通学型の学位と何か違いがあるのでしょうか?また、オンラインで取得した学位は現地で学位を取るのと同じくらいの評価を企業から得られるのでしょうか?

まずオンラインと対面型で得られる学位に違いはあるのかという点についてお答えすると、私が通ったUCLに関しては、一切違いはありませんでした。また、学校探しをしていた当時に私が見ていた他の大学に関しても、違いを設けていない大学の方が多いという印象でした(※分野が偏っているため一概には言えませんが)。

ご参考までに、私の学位証明書の実物をお見せします:

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ご覧の通り、学位証のどこにも「オンライン」という記載はありません。よって学位証明書を見ただけでは、本人がどのような受講方式で修了したかがわからない形になっています。

ちなみにUCLの場合、受講方式によって生徒のステータスが分かれているわけでもなく、記載のしようがないというのが現実ではないかと思います。イギリス在住だろうと日本在住だろうと、学籍登録上はみな同じ扱いです。そもそも対面かオンラインかというのは非常に流動的なものであり、授業単位あるいは週単位など、その時々によって各自がフレキシブルに受講方法を選択しているというのが現状です。現地在住者でも場合によってはオンライン主体で授業を取ったりしますし、国外在住組であっても、半年~一年くらいサバティカルを取って現地に一部授業を受けに行ったりする人もいました。そういう意味では、オンラインか対面かというところの境目は、もはやなくなってきつつあります。

ただし仕事や家庭の事情により全課程をオンラインで履修したい生徒については、オンラインで最後まで履修し続けて卒業に至るという形です。完全オンラインだからといって何かが変わるわけではありません。そのため、学位に違いがないのはある意味当然のことと言えます。

二つ目の「オンラインで取得した学位は現地で学位を取るのと同じくらいの評価を企業から得られるのか」という点については、あいにく私自身が評価する側の立場にいないため、何とも申し上げられません。

しかし前述の通り、学位の価値としては全く対等であり、かつ学位証明書上も違いがないわけなので、本人が申告しない限りわからないのではないかと思います。自ら履歴書に何らかの形で付記したり、面接の場で先方に伝えたりしない限り、判別しようがないと思います。

では申告すべきかどうか?という点については、個人的にはご本人の自由だと思います。私などはオンラインで受講したことを誇りに思っているため、こうして公にしています。また面接の場などでもむしろ積極的にアピールしています(少なくともメディア・教育関係の業界では好意的に受け止められることが多いです)。しかし仮に申告しなかったとしても、個人的には特に後ろめたいことはないと思います。学位の価値としては変わりがないからです。オンラインで取得した学位は立派な学位であり、誰に対しても誇れるものです。それは実際にご経験をされるとお分かりになると思います。

恐らくご質問の背景には、「オンラインと対面で得られる学びの価値は同等なのか?」というご不安があるのではないかとお察しします(そしてそのご不安はごもっともです)。個人的な感想としては、オンライン留学と現地留学の両方を経験した立場から言うと、オンラインだからといって学術的に何か劣るということは一切ありませんでした。もちろん私の立場から全ての大学について一般論的に語ることはできませんが、少なくとも個人的経験からはそのような感想を抱いています。

また教室内での学びが全てと思うこと自体にも、ある種の危ぶまれるべき点があります。もちろん教室で先生や生徒と膝を突き合わせて学べる環境が貴重であることは疑いようがありません。一方、教室での学びはあくまでマイルストーンであり、本来の学びは社会の中で実践していくものではないでしょうか。教室でのインプットや気づきをいかに利用し、いかに実社会の場で成長していけるかが肝要なことだと思います。

よって、もしもご質問者様が今後オンライン留学という道をお選びになる場合は、ぜひご自身の選択に自信を持ち、胸を張って学んでいかれることを願っています。

【オンライン留学の効能について】

2.求められる成果は得られるのだろうか?では、自分が参加するとしたら何が得たいかというと、
・英語を利用したコミュニケーションがとれる
・自分の視野を広げる
・仲間ができる

英語と仲間づくりについては過去の記事で回答しているのでそちらをご参照頂くとして、「自分の視野を広げる」ことができるかどうかという点については、間違いなく広がると思います。

大学院に限った話ではありませんが、学位課程や資格試験など、体系的に何かを学ぶことのメリットの一つはここにあると思っています。一定のガイダンスに従って体系的に本を読んだり経験を積む過程を通して、思いも寄らない知識に出会えたり、今まで知らなかった自分自身の一面に気付けたりして、視野が広がるということです。

何かを学びたいとき、自分自身で本を選んだり、ネットの海を彷徨ったりという方法もあります。しかしそれのみでは知識が偏ってしまう危険性があります。一方、体系立った形で学問を積むことで、バランスよく知識を吸収し、さらにそこから興味関心を無限に広げていくことができます。そうやって視野がどんどん広がっていくことが大学等における学びの醍醐味だと思います(これは大学に限らず、一般的なオンラインコースや資格試験等にもあてはまります)。

3.現地に行かなくても留学できたと思える効果があるのか?(費用対効果の面が気になります)

これは質問者様が何を求めているかによって、答えが変わると思います。

今回のアンケートは、海外大学の授業をオンラインで履修し卒業するという前提のもと、質問を募集しました。この前提でお答えすると、オンラインでも対面に劣らない学びが得られると思います。これは私自身がオンライン留学と現地留学の両方を経験した立場から、自信を持ってそう言えます。もちろん全ての大学について一般論的に述べることはできませんが、きちんと厳しい目で大学選びをされたならば、学びの質はある程度保証されていると考えて良いと思います。(※ただしもちろんディプロマミル等は論外です。そこは注意して大学選びをして下さい)

一方、ご質問者様の第一目的が「海外に行くことそのもの」であるならば、そこは残念ながらオンライン留学では代替できません。その場合は別の選択肢を検討されたほうが良いと思います。ワーキングホリデーや現地家庭へのホームステイ、あるいはビジネスならば海外駐在など、様々な選択肢が考えられると思います。(もちろんコロナの脅威が過ぎ去ったあとの話にはなるかと思いますが…)

ご想像のとおり、「オンライン留学」は基本的にリモートで学ぶ前提なので、海外現地の生活からは切り離された体験となります。今回私の方で「オンライン留学」と勝手に呼んでいるのはキャッチ―さなども考慮してのことですが、あくまで主眼は学業(=大学での学び)のほうにあります。「留学」という言葉から想起される異文化体験や国際交流などは、どちらかというと副次的なメリットという位置づけです。(このあたりがクリアでなかったようでしたら申し訳ありません。)

オンラインで大学院を目指すには、時間も労力もコストもある程度かかります。ご自身の目的をあらかじめクリアにされた上で、ご自身の目的と照らし合わせながらご判断されるのが良いかと思います。

4.留学の醍醐味は知識が増えることの他、異文化と交流を通して知見が広がることや、違う国で暮らすことでどこでもやっていけるという潜在的な自信をつけることにもあると思っていて、オンライン留学は知識が増えるだけにならないか、というところは関心があります。

仰せの通り、海外留学には学業以外に様々な効能があると思います。「違う国で暮らすことでどこでもやっていけるという潜在的な自信をつけることにもある」という点は、全く仰る通りです。私自身、過去にフランスの大学院に留学をしたり北米に滞在していた経験上、海外生活そのものから得られる学びの価値については筆舌に尽くしがたく感じており、その点については全く同感です。

異国に暮らすことで得られる体験は、異国に暮らしてみないと得られません。これはもう、それを望むなら実際に体験してみるしかないでしょう。コロナの脅威が落ち着いた後、ぜひ挑戦してみて頂きたいと思います。それが可能になる日々は、必ずまた戻ってくると思います。(ちなみに私がフランス在住時に学んだことや感じたことについては、以下の記事にまとめています。)

一方、「異文化と交流を通して知見が広がること」については、オンライン留学でもある程度代替できるかもしれません。例えば私が通ったUCLでは、世界中の津々浦々からクラスメイトが集まっていました。先生方もイギリスだけでなく、シンガポールやアメリカ、日本など、国籍豊かな講師陣が揃っていました。実際ほとんどのクラスにおいて、日本人は私ひとりだけという状況でした。世界中から集まったクラスメイト達と毎週授業を通してコミュニケーションを取ったり、プロジェクト等を通してコラボレーションする中で、オンラインという前提の中で異文化体験や国際交流をある程度経験できたと思っています。言ってみれば留学の疑似体験のようなものだったかもしれません。

もちろん、コミュニケーションは肌で感じるものが大切だと私自身も考えています。実際に膝を突き合わせ、腹を割って接することにより生まれるものも多いと感じています。一方オンラインのコミュニケーションは「ゼロ」なのか?というと、そうではないというのが私見です。環境や状況により、多くの人にとって1~100までのどこかのバランスに落ち着くのではないかと思います。

5.オンラインラーニングの良い点、悪い点、イメージと違ったところを教えて下さい。

実はまさにこのテーマで過去に記事を書いていますので、そちらをご覧いただくのが良いかと思います。

要約をお伝えすると、オンライン留学のメリットとしては①距離・時間を気にせず学べること、②コストを抑えられること、③言葉のハードルが下がること(読み書き中心になるため)、④学びがよりオープンになること(課題や意見を仲間とシェアしやすい)などが挙げられます。

一方デメリットとしては、①IT環境の影響を受けやすい、②モチベーション管理に工夫が必要、③人とのコミュニケーションに工夫が必要ということです。あとは繰り返しとなりますが、海外での生活体験を代替するものではないので、そこは期待できないという点です。

ちなみにメリットについていくつか個人的な体験を補足すると、私の場合はオンライン留学後に昇給したり、昇進の打診を受けたりしました(ただ私自身は管理職よりも専門職としてのキャリアを希望していたため、会社側と交渉しスペシャリストとしてキャリアを積ませてもらうことになりました)。仕事での役割も増え、いくつか重要なお仕事も任せて頂けるようになりました。またフリーランスとしてのお仕事にも直結しました。大学院で教育について専門的に学んだ経験を活かし、外部メディアで教育ライターとして執筆のお仕事を頂いたり、講演の依頼を頂くようになりました。フリーランスとしてのお仕事はすべて、オンライン留学なしには起こりえなかったことです。あと地味なところでは、机に座って学ぶ習慣を取り戻しました(学部を卒業以来ほぼ失っていました)。キャリアが複雑化する人生100年時代において、学び続ける習慣は何にも増して大切なことだと思っています。

ただ私にとっての最大の収穫は、もう少し本質的なところにあったと思っています。少し大きなお話になってしまいますが、それは今後の人生を生きていく上での基盤となる、自分自身との信頼関係です。日々の仕事をこなしながら、大学院レベルの知的試練に立ち向かうというハードな日々を過ごす中で、精神的にも随分と鍛えられました。様々な種類の試練にもぶちあたりました。それらを乗り越えて得たのは「あれだけハードな日々を乗り越えることができたのだから、この先どんなことがあっても絶対に大丈夫」という自信です。自分自身を信頼し、自分とよりよい関係性を築けるようになったことこそが、私にとっての最大の収穫だったと思います。

デメリットに関しては、私の場合オンライン以外に選択肢が無かったせいか、正直あまり考えたことがありませんでした。強いて言えば、良くも悪くも全ては自分の責任ということでしょうか。モチベーション管理などは確かに工夫が必要です。また学習の習慣づくりやペース配分も工夫が要ります(基本的におしりを叩いてくれる人はいません)。あとコロナ禍以降気になるのが、メンタルケアの部分です。授業がオンラインになり、孤独感を感じる学生が増えている点はとても危惧しています。社会人の場合は職場や家庭など何らかの居場所を持つ人が多く、若者に比べてリスクは低いかもしれませんが、このような社会ですし、何がきっかけでメンタルに不調を生じるか分かりません。どうかあまり一人で抱え込まず、学業との両立に行き詰まった時などは身近な人に相談するなどして孤立を避けるようにしてください。過去記事の人間関係編なども参考にして頂ければ幸いです。

【卒業後のキャリア・進路について】

6.卒業後の進路はどうされているのでしょうか?

私はオンラインでUCLの大学院を修了後、フランスの大学院で一年間研究留学を経て、2017年に日本に帰国、現職に復帰しました。現在はフリーランスとして様々なお仕事にチャレンジしています。主に執筆、講演、翻訳などを行っています。これ以上についてご興味をお持ちいただけなら、こちらの簡単なプロフィールをご覧頂ければと思います。

ちなみにオンライン留学の経験をフリーランスとしての活動にも活かそうと思ったのは、実はごく最近になってからのことです。具体的に言うと、コロナ禍以降の話です。それまではずっと、オンライン留学での経験を本業で活かすことのみに注力し、満足してきました。多くの人にとってはそれで良いと思います。

しかし私の場合、女性かつ母であるという点で、特にこのコロナ禍以降、少しばかり苦労をしました(そのあたりはこちらこちらでお話しています)。そのような経験から、これまでの学びを社外でも活かしてみようと思い立ち、今に至ります。結果として、収入面ではごくわずかな変化に留まっていますが、何よりも精神的な安心感・充足感がかなり改善されました

これからオンラインで大学院を目指される方は、まずは本業で成果を出すことがプライオリティかと思います。もちろんそれだけで十分だとは思いますが、将来的にもし余裕が出てきたら、社外で活かすことについても検討されてみてはと思います。もちろん、複業という形でなくても構いません。ボランティアや地域活動、あるいは趣味サークルのようなサードプレイス活動でも良いと思います。せっかく時間も労力も注ぎ込んで学ぶのであれば、人生の様々な場面において活かすことを検討されてみてはと個人的には思います。

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以上、皆様から頂いたご質問の中で、卒業およびその後の人生にかかわる質問にご回答しました。私の拙い説明でどこまでイメージして頂けたか分かりませんが、何らかのご参考になれば幸いです。

4回にわたってお伝えしてきた「オンライン留学に関する疑問への回答」シリーズは、今回で完結となります。ほとんど認知されていないテーマであるにもかかわらず、予想以上に多くのご質問を頂き、私自身とても驚いております。同時にコロナ禍のような非常事態においても、これほどまでに多くの方々が学ぶ意欲を保っておられることに深く胸を打たれました。改めまして、皆様ご協力を誠にありがとうございました。

今回「オンラインで海外大学を卒業する」ということについて、私自身の経験を元にできるだけ詳しく説明できるよう努めてきたつもりです。しかし至らぬ点も多々あったことと思います。説明が至らない点については、お詫び申し上げます。

なお、最後に皆様にお伝えしたいメッセージがあります。

大学院を修了することは、決してゴールではありません。むしろ始まりです。

これだけ大学院での学びについて語っておきながらこう言っては何ですが、大学院の修了証を手にしただけでは、多分何も起こらないと思います。
ただチケットを手にしただけの状態にすぎないからです。
そのチケットを持ってどこに行くか、そしてどのように行くかが最も大切なことです。

大学院の修了証は、青春18きっぷのようなものかもしれません。そのきっぷを手にしただけでは、自分が果たしてどこへ行けるのか、あるいはどのようなルートで行けるのかもわかりません。

しかし歩き出せば必ずどこかへ行けます。目的地へ行けるかもしれません。元々の目的地よりももっと素晴らしい場所か、あるいは想像すらしなかったような場所へ辿り着けるかもしれません。全てはその後の行動にかかっています。そのためのチケットを手に入れるのだと思います。

大学院が終わった後も、学びは一生続きます。その旅路が楽しく実り多きものであることを、陰ながら願っています。そして今後皆様がどのような決断をされるにしても、その決断を陰ながら全力で応援しています。

岸 志帆莉 拝


【過去の回答内容はこちら】

●「オンライン留学」とは?
現地に渡航せず、日本にいながらオンラインで海外大学に学び卒業することを、筆者が勝手に「オンライン留学」と呼んでいます。主にオンラインのコースウェア(Moodle等)を利用してリモートで授業を受けるため、日本に暮らしながら現在の生活スタイルを変えることなく海外の授業が履修できるなどのメリットがあります。

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このたび、私のnoteで連載してきた「オンラインで海外大学院に行こう!」マガジンが書籍になりました。

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