【文学フリマレポ】無名の一般人の本は売れたのか。(3558文字)
5/29(日)、文学フリマ東京に出店側として初参戦してきた。
文学フリマとは
かなり雑な表現をすれば、「コミケの文学版」。
作り手が「文学」と信じるものなら出品可能であり、作品の幅がとにかく広い。純文学からエッセイ、詩集、マニアックなジャンルまで何でもある。足を運べば高確率で自分好みの文学作品に出会える。そんな素敵なイベントなのだ。
Dear 過去のわたし(迷える子羊へ)
レポを書くにあたり、誰に届けたいかを考えた。
やはり、
「文学フリマ出店に興味はあるけど不安...」と二の足を踏んでいる方に向けて書くべきだろう。
私も初出店にあたり色々調べたのだが、「無名の新参者が出店したらどうなるか」に関してはとにかく情報が少ない。Twitter等で著名な方の「文フリ開始から〇時間で完売しました!」といった投稿を見つけては、ひょえぇ〜と冷汗をかいただけだった。
というわけで、一般人視点でありのまま感じたことを記すので、どこかの誰かの参考になれば幸いです。
販売したもの
お品書きは以下の通り。
・ショートストーリー集:短編14篇を収録
・栞:お気に入りの文章を引用した手作り栞
・短歌カード:最近はまってる
結果発表
まずは結果から。
12:00~17:00の5時間粘ったところ、これだけお買い上げいただいた。
・ショートストーリー集:15冊
・栞(単品):13枚
・短歌カード:5枚
総評としては、
「人生そんなに甘くねえ!!! でも楽しかったー!!!」
といったところだろうか。
人脈も知名度もない自分の本が飛ぶように売れるなんてことはまあ無い。
でも、自分が作ったものをお金を払って買っていただくその瞬間、何にも代えられない喜びを感じることが出来た。
(人間の三大欲求なんて比にならない快感かも……笑)
嬉しかった瞬間
いくつか印象的な瞬間を挙げておく。
これが文学フリマの醍醐味かもしれない。
「note見ている/Twitter見ている」と会いに来ていただけたとき。
純粋に嬉しすぎてテンションがあがる。文字だけで繋がっていた方に直接お会いするのは少し不思議な感覚。その方の輪郭がくっきりと浮かび上がり、文章と人柄が結びついていっそう深みを増す感じ。
(何言ってんだ?)
noterさんでは、ひつじ渚さんや、師走さん、小柳とかげさんにお会いすることが出来た。皆さんとんでもなく魅力的な方だった。
怜久井さんについてはおそらくあの方かな、とは思うものの確証は持てず。是非もう一度お会いして確かめたい。
見本誌を読んだ後に購入していただけたとき。
ほとんどのブースには「見本誌」が置いてあり、自由に試し読みが出来る。「ご自由にご覧くださいね~」という声かけをして、通りかかった方が見本誌を手にとる。その瞬間から出店者の心臓はもうバクバクである。気に入っていただけるかしら……と平静を装いながらも祈るような気持ちで待つあの数分間の長さよ。そのあと、「これください」と言ってもらえたときはもう、天にも昇る気持ちである。
とりわけ嬉しかった瞬間
特に印象的な出来事がある。
「栞の青年」(勝手に命名)との出会いだ。
私はペンネームの通り本に挟む栞が大好きで、今回出品した手作り栞にはショートストーリー集と同じくらい思い入れがある。
自分が気に入った文章を大好きな栞に乗せて誰かに届けられたらいいな、という思いがあり、よなよな栞を手作りしていた。(一番しんどかった)
開場から2時間くらい経った頃だろうか。「栞の青年」がブースにやって来て、ショートストーリー集をお買い上げしてくれた。1冊につき栞を1枚プレゼントしていたため、「よければお好きなものを選んでください」と声をかけた。
栞は全24種類。目についたものをパッと選ばれる方が多い中、かの青年はかなりの時間をかけて栞を吟味してくれた。
そしてぼそっと「いいですねえ……」と呟いた。
彼はこのつぶやきがどれだけ私を喜ばせたか知らないんだろうな。
さらにそれから30分ほど経った頃、なんと栞の青年は再び現れた。
「あの栞、部屋に飾ってもいいなと思って」と言い、またも彼のThinkingタイムが始まった。一枚一枚栞をめくり吟味した末、さらに3枚もお買い上げいただいた。
どんなお買い上げの仕方でも勿論めちゃくちゃ嬉しい。ただ、栞の青年がくれた言葉は「これだけ沢山の魅力的な作品があふれている中でも自分の言葉が響くことがあるのだ」と実感させてくれた。
創作が嫌になったときにきっと思い出す言葉になると思う。
ありがとう!!!青年!!!
反省点もあった……!
○もっと表紙にこだわれ
すでに知名度がある場合はそのブースをめがけてやってくるお客さんが多いが、新人には会場で「おっ?」と目に止めてもらえるかが何より大事。いわゆる「パケ買い」をどれだけしてもらえるかどうかだ。
私はイラストやデザインに疎く、内心(表紙づくりだるい...…)と思ってしまったので、今回印刷をお願いした「しまや出版」さんの表紙指定サービスを利用した。
数百もの絵柄から選ぶので「まさか被ることはないだろう」と思っていたが、なんと当日違うブースで同じ表紙を見つけてしまった(笑)
全ブースを見て回るお客さんは同じものだと気がついただろうし、新鮮味は失われてしまったはず。
なにより、猛者たちの作品のデザインのクオリティが高い、高すぎる。内容が分からなくとも思わず手に取りたくなる作品ばかり。これこそ無名の新人が頑張るべきポイントだったのでは?
恋愛でも、外見の第一審査を通過した者のみ中身を見てもらえることが多いですしね。
2作目を作ることがあれば、ココナラ等を活用してこだわりの表紙を作ってもらおう。苦手なことはつべこべ言わず課金してプロにお願いするべし。
○ひとり参戦の厳しさ
私はひとり行動がわりと好きなので、売り子なんてひとりで余裕じゃい!と単身で東京会場に乗り込んだのだが、ひとり参戦の難しさというものに直面した。
① 席を外している時間=販売できない時間
当たり前だが、ブースに居なければ作品を売ることはできない。
お手洗いに行く時間(必須)、他の作家さんのブースを回る時間(必須)等を考慮すると、5時間という限られた時間のうち1時間ほどは不在になる。
圧倒的デメリット!!!!
もしかしたら興味を持ってくださった方がいたかもしれないのに、その機会をみずみず逃すこととなるのは惜しい。
② 声を張り上げるのは思いのほか難しい
文学フリマの出店者の皆さまを見ていると、まず多いのがサークル参加の方々。大学の文化祭みたいで和気あいあいと楽しそうである。個人の場合はご友人に売り子をお願いしている方が多いように見受けられた。
そんな方々が前を通るお客さんに向かって元気に「見ていってください!」と声を掛ける中、Shyガール・枝折は近づいてきてくれた方にボソボソ話しかけるにとどまっていた。やはり集団の力は強い。あるいは私のコミュ力が低すぎる。いずれにせよ仲間がいる心強さはやっぱり大きいように思う。
③ ブースを十分に見て回れなかった後悔
文学フリマに参加される方は出店者である前に文学作品が大好きな方だと思う。つまり、約1000ブースにあふれる多種多様な作品はまさにご馳走。目の前にご馳走があるのに手を出せないというフラストレーションが半端なかった。ぐや”じい"……
まとめ
「文学フリマ出店に興味はあるけど不安...」という方へ。
大丈夫です! いっぺん出てみましょう!
絶対に、
新しい発見や心躍る出会いがあります。
めちゃくちゃ楽しいよ!!!!!
仮に本が売れなくたってなんだい?
死にゃあしないよ!
ちゃっかり宣伝:通販始めました。
短くまとめたかったのにいつの間にか中々の文字数に。申し訳ない。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
そんな優しい皆様に甘えて、最後に宣伝させてください。
文学フリマで販売したショートストーリー集の通販を開始しました。
栞をはさんで、離さんで。 | 枝折
【通常配送】
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匿名配送も可能ですのでよろしければ是非……♡
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