枝折(しおり)

ショートストーリー・短歌・エッセイらしきもの。 日常のありふれた瞬間を切り取るのが好…

枝折(しおり)

ショートストーリー・短歌・エッセイらしきもの。 日常のありふれた瞬間を切り取るのが好きです。 BOOTHにて現代短歌集を販売中→ https://shiori23150.booth.pm/

マガジン

  • こころを覗くお話

    登場人物たちの感情の揺れ動きをお楽しみください。

  • 文学フリマまでの道のり

    2022/5/29文学フリマ東京、2023/2/26文学フリマ広島に出店しました。 出典までの道のりや、当日のレポなどをまとめています。

  • 気ままなエッセイ

    色んなことを自由に書いております。

  • 5分もあれば読めます。(1000~2000文字)

    どん兵衛にお湯を注いだそこのあなた。 どうぞよろしくお願いします。

  • noterさんとのコラボ

最近の記事

  • 固定された記事

《アリエルさんコラボ漫画》 プレイ ウィズ ライフ

北米にお住いの才能の塊、アリエルさんが、先日書いたSS「プレイ・ウィズ・ライフ」を漫画化してくれました。 とんでもなく素敵な作品となっておりますので、まずはお楽しみください。 ***  *** WOMAN WOMAN Ⅱ *** MAN MAN & WOMAN 《 The End 》 *** ハイテンション感想文いかがでしたかー!? 先ほどアリエルさんから原稿をいただき、大興奮のままにこの文章を綴っている枝折です。 ここからは私の感想文Partになりますの

    • くすりゆびと憂鬱(5869文字)

      ※ずっと前に「指」というテーマで書いたものです。 1. 紗絵 男というものは口紅の色や、ネイルの柄や、髪型の変化にはてんで気が付かないくせに、女がどこか美しくなったという変化にはひどく敏感なのである。 だから紗絵の夫の淳也も、彼女が以前より美しくなったことには勿論気がついた。 「紗絵、最近綺麗になったね」 「そう? 嬉しい」 「いやほんとに......見せびらかしたくなる。連れて歩きたいもん」 嬉しいと言ったものの、紗絵の心は全くと言っていいほど弾まない。以前はあん

      • 【嬉し嬉し日記】ゆみさんからの素敵なプレゼント(607文字)

        先日、メル友()のいとうゆみさんから 「オーストラリア行きの餞別を送ったよ!」 という趣旨のメールを頂いた。 わくわくしながら待っていた私のもとに先ほど荷物が届いた。 なんとゆみさんのハンドメイド作品!!! きゃわいいフレンチブルドックのポーチと、オートクチュール刺繍とビーズのアクセサリー。 添えられていたお手紙には 『お守り代わりにお供に持っていって頂けると嬉しいですがムリだったらお留守番に。』 と記載されている。 もちろん持っていかせていただきますとも! 「ポーチ

        • 【文学フリマ広島レポ】第2回!無名の一般人の本は売れたのか。(3126文字)

          ◎文学フリマレポ 広島くいだおれ旅日記を書き終えたので、やっとこさ文学フリマ広島レポをば。 2/26(日)文学フリマ広島に参戦してきた。 1度目のレポはこちら。「文学フリマとは?」みたいなことはこちらに記載しているので今回は割愛させていただく。 今回は前回の文学フリマ東京との違いをメインに感想を書いていきたい。 販売したもの ・短歌集 ・ショートストーリー集 ・短歌ポストカード 結果発表 とにもかくにも結果から。 11:00~16:00の5時間でこれだけお買い上

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          【エッセイ】広島くいだおれ放浪記(後半)2028文字

          前半はコチラ↓ <2日目> 2日目の朝。 窓の外から差し込む日差しで目が覚めました。 清々しい。いや、ちょっと眩しい。 ホテルの自慢の朝食バイキング「焼きたてパンとごちそう野菜の朝ごはん」を堪能した後、昨晩の友人と合流し宮島へ向かいます。 * 島に上陸。時刻は AM 11:00。 朝食でハッスルしすぎたためにすでに腹八分目に達していましたが、それがどうした。「くいだおれ放浪記」の名に恥じぬよう奮闘してきました。 今のところ食べている描写しかありませんが、ちゃんと島の

          【エッセイ】広島くいだおれ放浪記(後半)2028文字

          【エッセイ】広島くいだおれ放浪記(前半)2237文字

          文学フリマに参加するついでに広島旅をしてきました。 なんと今回、三泊四日ものゆったり旅です。 どうせなら広島を満喫してやろうと。 写真多めのゆるゆる旅日記Start~♪ <1日目>  お昼前に広島駅に到着。 まずはホテルに荷物を預けます。 4日間お世話になったのは「ホテルインターゲート広島」さん。 このホテルの魅力は宿泊者なら自由に使えるラウンジ。 時間帯ごとに珈琲やらお茶菓子やらお茶漬けやらが提供されており胃を休める暇を与えませんが、特筆すべきは夕方からのハッピーア

          【エッセイ】広島くいだおれ放浪記(前半)2237文字

          2/26(日)文学フリマ広島に出店します【え‐22】

          先日人生初のよもぎ蒸しに行ってきた枝折です。 サウナで熱波師に陰部を集中的にあおがれるようななんともシュールな感覚でしたが、身体はポカポカに。 個人的には好きでした。 それはさておき、今月26日の文学フリマ広島の準備が整いましたので少し宣伝させて下さいませ。 ◎イベント詳細 ・2023年2月26日(日) 11:00〜16:00(最終入場15:55) ・入場無料 ・広島県立広島産業会館 東展示館 第2・第3展示場 ・開催案内:https://bunfree.net/eve

          2/26(日)文学フリマ広島に出店します【え‐22】

          【SS】沈んで、浮かぶ(3981文字)

           宮古島の食材をふんだんに使用したフルコースを前に、新婚旅行の最初の晩、琴音は静かな絶望を味わっていた。この先、目の前で黙々と咀嚼を続けるこの夫と、気の遠くなるような年月を添い遂げなければならないのか。 「……海ブドウってこんなにプチプチしてるのね。美味しい」 「うん。海ブドウは美味しい」  夫の優人は一世代前のロボットのように同じ言葉を繰り返した。琴音は一瞬、呼吸を止める。溢れ出そうなため息を閉じ込めるためだ。そのまま何も言わずにくいっと口角を押し上げ、泡盛がベースのカクテ

          【SS】沈んで、浮かぶ(3981文字)

          【中編】この痕が消えるまで(10180文字)

           数か月前、「美月! 聞いて!」とキミコから彼氏ができたことを打ち明けられたとき、私は哀しかった。この感情はそんな一言で表せられるものではないけれど、強いて言えばその時の感情に一番近いように思われた。  キミコはとにかく美しい。その可憐な外見にそぐわないあけっぴろげな性格も、固定観念に囚われない自由さも、どれもが自分とは正反対だ。人は自分にないものを持つ人に惹かれる。私がキミコにどうしようもなく惹かれたのは必然だったのだろう。  数分前、大好きな男の子の元へ走り去っていったキ

          【中編】この痕が消えるまで(10180文字)

          【エッセイ】快楽と禁欲(1179文字)

          さて、久々にnoteを開いて何を書こうかな~と考え、ふと思いついたこちらのテーマ。今回ゆるーく主張したいのはたったひとつ。どん! 快楽と禁欲は敵じゃない。マブダチだ!!!! 快楽と禁欲、それらは文字通りとらえれば相反するものですが、禁欲(我慢)の末に真の快楽が待っているというのは周知の事実でしょう。 人間の三大欲求を例にとってみても、 「断食後の味噌汁が体に沁みわたって天にも昇る気持ちだ」 「徹夜明けに貪る惰眠は最高!」 「焦らされたあとの刺激はなんて気持ちいいの……

          【エッセイ】快楽と禁欲(1179文字)

          【ピリカ文庫】あの子と口紅(2560文字)

           ああ、あの子を見ているとイライラする。 「なにあれ。うける」「ね」「ブスが頑張っちゃって」  人の容姿を貶す権利が自分たちにはあると信じて疑わない友人たちの言葉に曖昧に頷きながら、彼女らの視線の先――クラスメイトの中島きなりに目を遣る。注目を浴びることを恐れない彼女らの声は大きい。ただし体育の授業のあとの着替え中など男子の目がないところに限られるが。  声が聞こえたのだろう。きなりは手に持っていた口紅をそそくさとポーチにしまい、うつむきながら更衣室を出て行った。  

          【ピリカ文庫】あの子と口紅(2560文字)

          【エッセイ】メンズ服を着る女(1816文字)

          突然ですが、私はメンズ服を着る女です。 今の時代、珍しいことではありませんね。 「メンズ服」と検索すれば、予測変換に「メンズ服 女子」と出てくるほどには一般化しています。 そのままネットサーフィンをしていると、「メンズ服を着る女の心理とは?」なんてYahoo知恵袋に出会いました。 なるほど、世の中にはメンズ服を着る女性の心理を知りたい人もいるのか。 というわけで、メンズ服を着る女子を代表し、自分の心理を考えてみました。(先入観を持たないように例の知恵袋の回答は確認せずに

          【エッセイ】メンズ服を着る女(1816文字)

          【SS】ありがちな夏(2343文字)

           都市部から車で約2時間、星が綺麗に見えると評判のコテージに小旅行に来た。先月退職した会社の同僚が誘ってくれたのだ。十数人の集団が小さな木の小屋になだれ込んだ。夜の飲み会用の大量のお酒や、バーベキュー用の肉と野菜が運び込まれる。  到着して早々、コテージの横を流れる大きな川で水遊びをすることになった。水着に着替える。足の毛はしっかりと剃ってきた。川に降りる前にみんなで写真をパシャリ。大好きな掛本さんが私の後ろに立ち、私の頭に手を置いて、顎を載せてくる。掛本さんは高身長なので

          【SS】ありがちな夏(2343文字)

          【SS】チェンさん(2091文字)

           チェンさんと出会ったのは一人で中国に行ったときでした。  ある晩、バーのカウンターで声を掛けられました。私は中国語はめっきり駄目なので、首を振りました。チェンさんは構わず私の横に座り、私の分と合わせて二杯、サイレント・サードを頼みました。今思えばぴったりのカクテルでしたね。私たちの間には常に沈黙が漂っていましたから。共通の言語が存在しなかったのです。彼は中国語、私は日本語と英語しか話せませんでした。  ですが、私はその目に惹かれました。丸顔で背も低く、決してハンサムでは

          【SS】チェンさん(2091文字)

          愛と青春の短歌(275文字)

          それっぽいのが溜まってきたので放出。 どどん! 最後にしようだけど気づけば横にいて 安いレモンサワーの味がした ひとりとひとりが繋がって 分け合ってるいや奪い合ってる 唇に降る雨だけが繊細で だからねキスは気持ちいいのね ゆらゆらと揺れるカーテン ふらふらとしてる僕みたいだあれ違う? てっぺんのお部屋をタッチありがとね 今日のわたしはプリンセスだね 意地悪な瞳で見下ろす君睨み 敢えて方言で嫌がってみる 優しいね親が子を見るときの目ね ねえうなじの毛まで剃ったのよ

          愛と青春の短歌(275文字)

          【SS】あの痕が消えるまで(5901文字)

          「首、赤いよ」  Nintendo Switchの画面から目を離さずにショータローが言った。 「え、かぶれたのかな。最近おかしいくらいあっちーし、あせもだったりして。やだなー」  あたし、キミコは内心ちょっと焦ってる。後ろめたいことがある人間は口数が多くなるというのは本当みたいだ。あたしとショータローは普段同じ部屋にいても無言でおのおの気ままに過ごしていることが多い。だから今日はあたしの口数の多さが余計に目立つ。 「そう」  ショータローがいつもと寸分も変わらぬ低い声で言う。

          【SS】あの痕が消えるまで(5901文字)