塩見直紀(Local AtoZ Maker/半農半X研究所/総務省地域力創造アドバイザー/美術博士)

著書⇒半農半Xという生き方【決定版】(ちくま文庫)他 /近著⇒『塩見直紀の京都発コンセ…

塩見直紀(Local AtoZ Maker/半農半X研究所/総務省地域力創造アドバイザー/美術博士)

著書⇒半農半Xという生き方【決定版】(ちくま文庫)他 /近著⇒『塩見直紀の京都発コンセプト88~半農半Xから1人1研究所まで』(2023)『半農半X的 これからの生き方キーワードAtoZ』(2023)/●noteコンセプト⇒みんなが持つ宝物系メモやcardの交換、社会資源化の模索

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siomemo657「半農半X的 これからの生き方キーワードAtoZ」

2023年6月26日頃より、書店に拙著が並びます。AtoZマニアが書いた初めてのAtoZ本です。10年ほど前より、古典的編集手法AtoZにひかれてきました。本書は「これからのキーワード」をAtoZで26、抽出したものです。 タイトルは『半農半X的 これからの生き方キーワードAtoZ』、版元は農文協です。現代農業増刊号『青年帰農~若者たちの新しい生きかた』(2002)で甲斐良治編集長から原稿依頼があり、初めて6000字ほどで半農半Xを詳述させていただいて20年。思いがけないこ

    • for serendipity1057 「やせ細った言葉の先にある希望」

      木原善彦さんの『実験する小説たち-物語るとは別の仕方で』(2017)より。「やせ細った言葉の先にある希望」。僕らが向かっている先にあるものを言語化したようななんだか気になることばです。

      • siomemo1037 教えない授業 美術館発、「正解のない問い」に挑む力の育て方

        「月に1冊以上はアート系の本を」に加えて、「Local AtoZ」や「アイデアブック」(地域資源から新しいアイデアを生み出す問題集)などをつくってきたので「教材開発」の視点から、気になっていた『教えない授業』(2019)をようやく拝読。特に驚いたのは、小学校での「対話型鑑賞」の授業の素材に、車椅子のおばあさんが御柱祭りを拍手しながら見ているような写真(篠原久仁子《95歳の御柱祭り》2011年)も使っておられたことでした(51p)。作品をみんなで「みて」、「考え」、気づきを「話

        • ★noteでワークショップ149「実験小説を書くなら」

          自分の「ミッション」「X(エックス)」を見つめたり、確認したり、新たな切り口やインスピレーションと出会うきっかけづくりのために、noteでワークショップができないか。そんな小さな試みを週1でおこなっています。 世界のさまざまな実験小説を紹介した木原善彦さんの『実験する小説たち-物語るとは別の仕方で』(2017)、大変刺激的な本でした。小説を書きたい人も、人生創造に、何か新たなアイデアの種を欲しい人にもおすすめの1冊。 今週はこの本からの発想です。あなたが小説を書くなら、ど

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        マガジン

        • コンセプトに関するお宝系のことば(塩見直紀選)
          87本
        • 塩見直紀の試行100(コンセプトなど)バックナンバー②
          50本
        • 塩見直紀の「noteでワークショップ」バックナンバー
          20本
        • 僕をインスパイアし続けることば集(塩見直紀選)
          20本
        • 塩見直紀の試行100(コンセプトなど)バックナンバー①
          50本
        • 塩見直紀インタビューアーカイブ集
          9本

        記事

          for serendipity1056 「事典形式の小説」

          世界のさまざまな実験小説を紹介した木原善彦さんの『実験する小説たち-物語るとは別の仕方で』(2017)「第8章 事典からあふれる幻想:パヴィチ『ハザール事典』」より。以下、目次をつけておきます。 第1章 実験小説とは 第2章 現代文学の起点 第3章 詩+註釈=小説:ナボコフ『青白い炎』 第4章 どの順番に読むか?:コルタサル『石蹴り遊び』 第5章 文字の迷宮:アビッシュ『アルファベット式のアフリカ』 第6章 ト書きのない戯曲:ギャディス『JR』 第7章 2人称の小説:カルヴ

          siomemo1036 「武者小路実篤 自分の歩いた道/思い出の人々」

          大正7年(1918)、武者小路実篤の提唱で宮崎県の山村に生まれた「新しき村」。そういえば、「新しき村」に関する本は未読。検索してみると、武者小路実篤の研究者である大津山国夫さんの『武者小路実篤、新しき村の生誕』(2008)の存在に出会い、2024年4月、拝読。いまも「新しき村」から学べることは多いと実感。以来、関川夏央さんの『白樺たちの大正』(2003)など関連本を読んできましたが、シリーズ「作家の自伝」7『武者小路実篤』(1994)と出会い、今年の後半より拝読スタート。20

          siomemo1036 「武者小路実篤 自分の歩いた道/思い出の人々」

          for serendipity1055 「アルファベット式のアフリカ」

          木原善彦さんの『実験する小説たち-物語るとは別の仕方で』(2017)では、世界のさまざまな実験小説を紹介されています。古典的編集手法AtoZを探究してきた僕としては、ウォルター・アビッシュの実験小説『アルファベット式のアフリカ』(1974)にひかれるのでした。文中で使える単語は「aがつくもののみで書いていき」→次章は「aとbがあるもののみ」→さらに「aとbとcのみ」という感じに制約を緩めていき、AからZまですべて使えるところまでいくと、また制約を逆にかけてていき、「aがあるも

          siomemo1035 「センスの哲学」

          千葉雅也さんの『現代思想入門』(2022)が世に出たのは2年前のことなのですね。再読したいと思いつつ、まだできていません。2024年4月に出た『センスの哲学』。ドゥルーズの「哲学とは概念の創造」の観点から読ませていただきます。

          for serendipity1054 クロポトキンの『相互扶助論』の村があった

          『宮本常一と民俗学』(2021)より。 第二次世界大戦前、宮本常一は師である渋沢敬三の指示でトカラ列島の宝島に調査に行きます。当時の戸数は96戸。島外との交通は月に2、3便しかない。島にはわずかだが水田もあり、畑では穀類や野菜も植え、牛馬も飼っていた。周囲の海から魚も容易にとれるので食料は完全に自給できていた。夜にあかりをもって浅瀬を歩けば、イセエビが手づかみでとれた。潮水をくんで煮詰めると塩もでき、砂糖はサトウキビを植え、茎をしぼってつくっていた。衣類さえも湿地に生えている

          for serendipity1054 クロポトキンの『相互扶助論』の村があった

          siomemo1034 農の原理の史的研究-「農学栄えて農業亡ぶ」再考

          宇根豊さんの『農本主義のすすめ』(2016)、綱澤満昭さんの『農本主義という世界』(2019)、大石和男さんの『「豊かさ」の農本主義』(2023)など、農本主義に関する本をこの1年くらい読んできました。未読だった藤原辰史さんの『農の原理の史的研究』(2021)、ようやく拝読です。

          siomemo1034 農の原理の史的研究-「農学栄えて農業亡ぶ」再考

          for serendipity1053 「自然に対して謙虚な作品」

          藤田令伊さんの『「わからない」人のための現代アート入門』(2024)より。中之条ビエンナーレ2021に出品された喜多村徹雄さんの作品《雨を待つ。少しずつ頂く。取りすぎないこと。返すこと。》に対する著者・藤田令伊さんの評(258p)。「自然に対して謙虚な作品」。僕たちもつくっていきたいですね。

          siomemo1033 「あいたくて ききたくて 旅にでる」

          山の村や海辺の町を歩いて、民話を求める旅を50年も続けて来られた「民話採訪者」・小野和子さん(1934年生まれ)の本『あいたくて ききたくて 旅にでる』(2019)に出会い、拝読。『宮本常一と民俗学』を読んだあとで、良書リレーに。哲学者・内山節さんの本のなかで、昔はお金に困った人がいたら、山の中で暮らさせて、山には食べものも豊富にあり、資源を換金化し、お金を得て再生できる話が載っていて驚いたことがあります。この本にも「里では食えなくても、山では食える」「食えなくなったら、里の

          for serendipity1052 「一隅を照らす」

          伝記を読もうシリーズの『中村哲-命の水で砂漠を緑にかえた医師』(2023)にある中村哲さんが好きなことば。中村さんは生前、講演でこんなことを話したそうです。 一隅(いちぐう)を照らすというのは、一つの片隅を照らすということですが、それで良いわけでありまして、世界がどうだとか、国際貢献がどうだとかという問題にわずらわされてはいけない。世界中を照らそうとしたら、爆弾を落とさなくちゃいけない。それよりも、自分の身の回り、出会った人、出会ったできごとの中で人としての最善をつくすこと

          siomemo1032 「宮本常一と民俗学」

          年に1冊以上は民俗学者・宮本常一に関する本を読んでいく。2023年は門田岳久さんの『宮本常一 〈抵抗〉の民俗学』(2023)と出会うことができました。玉川大学出版部の「日本の伝記 知のパイオニア」シリーズ(全12巻)の1冊である『宮本常一と民俗学』(2021)。若い世代にこんな本を渡せたらいいですね。

          for serendipity1051 「アランが美しいと考えるのは、芸術家の構想が、物質の持つ抵抗や法則に出会って、それとのぎりぎりのやり取りの中でついに実現したものです」

          川瀬智之さんの『東京藝大で教わるはじめての美学』(2024)「第1章 絵画は想像力を抑えるのか?アランの想像力論」より(34p) 『幸福論』で知られるアラン。『芸術論二十講』(1931)の建築に関する章で石造のアーチ橋の例を挙げているそうで、アランはどこに美を感じるのか。「アランが美しいと考えるのは、芸術家の構想が、物質の持つ抵抗や法則に出会って、それとのぎりぎりのやり取りの中でついに実現したものです」。人間の構想だけでは美しくない。大変興味深いです。

          for serendipity1051 「アランが美しいと考えるのは、芸術家の構想が、物質の持つ抵抗や法則に出会って、それとのぎりぎりのやり取りの中でついに実現したものです」

          siomemo1031 「中村哲 命の水で砂漠を緑にかえた医師」

          中村哲さんの伝記(2023)に内村鑑三の『後世への最大遺物』のことが載っていますよと、宮津の友人がメッセンジャーで教えてくれて、僕も読んでみました。以下、その個所をメモしておきます。  中学生の時に、哲(てつ)は自分の人生に大きな影響をあたえるものと出会います。学校がキリスト教の教えを広めることを目的としてつくったミッション・スクールだったので、生徒たちはキリスト教と向き合うことになり、哲は、洗礼をうけてキリスト教徒になりました。ただ、それは、キリスト教の教えに心からひかれ