言葉の持つ力を信じたい。『本日は、お日柄もよく』を読んで。
この小説に出会えてよかった。
それが僕の正直な気持ちです。
僕の心は終始高揚していました。
心を打つスピーチの数々。
僕は実際その場にいる一聴衆だった。
思わず拍手する。
目頭が熱くなる。
そして目の前で世界が変わっていく様子を目撃する。
心温かくなりました。
言葉の持つ力を信じていたいと思いました。
希望を捨てずにいたいと思いました。
今回この文章はあくまでも自分の備忘録的なものなので、そんな感じで読んでもらえたらなと思います~
原田マハさん著『本日は、お日柄もよく』のあらすじはこんな感じ。
(気を付けますが、以下ネタバレを少し含むので、まっさらで読みたい方は一時停止を!)
出会い
前触れもなく突如訪れた、一つの「人との出会い」で人生が動いた主人公こと葉。
人との出会いってやっぱり人生の面白さの1つなのかなと思いました。
色んな人に会ってみよう、そんな機会に飛び込み続けよう。
改めてそう思いました。
政治
そして個人的に政治という話題が絡められていることがスパイスだなと感じました。
「言葉」がきっかけで起こる人の中の変化や流れというものが、選挙で当選する人・政権交代などの形としてバシッと可視化されており、より言葉の力を感じることができたと思いました。
良い方に変わるなら変わる方が良い。
その変化は私たちに希望を与えてくれる。
政治に対しての距離を少しでも縮めてくれるようなものだと感じましたし、現在の社会状況的なことや私たちが大切にすべきマインドと通じるものもあるので今読んでみるのもアリかと思います!
また、選挙に出馬する人や政治家の目線から演説内容がどういう意図をもって練られているかということが見られました。
意識しないと持てない目線かなと思ったので発見でした。
まあ、「政治」と言われると自分から距離があるものと感じてしまうこともあるかと思うのですが(僕はあります…)、もっと小さく言い換えれば、「自分の手が届く範囲のせかいを良くするもの」なのかもしれませんね。
それならやっぱりしっかり考えたいかもなぁ。
話すために聞く
話すために聞くという視点はかなり僕の中で大きな発見でした。
少し不透明な部分もあると思うので補足すると、本小説曰くスピーチライターは自ら原稿を書くのではなく、あくまで話者が自分の言葉でスピーチを作り上げる手助けをする。
そのため話者となる人の話に耳を傾け、人柄や背景を踏まえたうえでスピーチを作り上げる。
これが話すために聞くということ。(おそらく)
作品中で伝説のスピーチライターの異名を持つ久遠は5分でだいたいその人のことが分かるという。
あくまでこれは1つの指標に過ぎませんが僕はそんな短時間で相手を何となくも理解できない。
いや、そもそも自分は話を聞くということに全力を注げていても、そこから何かを拾ったり、観察/推測をするのが苦手だなと感じます。
「ただ聞く」ということは実践できるようでありつつも、話を聞いた後に何かを生むためという意味で、もっと発される情報に敏感であってみようと思いました。
問題解決方法の実行の方向
詳しくは書きませんが、厚志は自らの身を持って社会的な問題となっていることに直面しました(深刻です)
そこで自分の今までの甘さを悟り、自分事として、最大限の覚悟をもって問題の解決に向かいます。
このように問題だといわれていること、例えば環境問題などの社会問題は沢山あると思うのですが、彼のように自分事として本気で取り組めている人ってなかなかいないんじゃないかなと思いました。
恥ずかしながら僕もその一人です。
もちろん解決のため取り組んだほうがいいことを理解してはいるのですが、やはり実体験がない限り完全な自分事にはなり切らなくて、自分事にする方向は少し難しかったりもするかなと。
それでも自分事にしようとする努力はやめないとして、同時に取り組めそうだなとふと浮かんだことがあります。
それは「その問題を自分事として本気で取り組んでいる人のため」という意味で、必要とされる解決方法に協力することです。
例えば、プラごみ問題を解決したい○○さんのためにごみを減らす買い方をするみたいな。
この方法だと誰かのためになっているという意味を自分で確認しやすいため、取り組みやすいのではないかと感じました。
どちらにせよ自分にどう関わるかや取り組んでいる人を「知る」という過程は存在するので、その入り口やきっかけづくりに「言葉」が役割を果たすのかなと。
そのために出来ることはないか考えてみたいと思いました。
おわりに
そしてこの小説の魅力の一つは、主人公こと葉のまっすぐさなのではないかと思います。
目の前のことにまっすぐ。
心の向かう方に飛び込んでいく。
そんな姿勢は多くの人の心を打つのではないかと思います。
そして少しでもそんな風に生きられたらなと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました!
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