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ロシア美女たちが起こした奇跡

人生で、あれは奇跡だったな〜!と思った経験はありますか?

この記事は、先日書いた旅で起こった『プチ奇跡』5選」の続編?です。
「奇跡」をテーマに世界のトモダチが教えてくれたエピソードをご紹介。

今回は旅に限らず、2つ取り上げていきます!
気軽に聞いたけれど、「奇跡」って何なんだろうと思わせてくれる物語です。


夢の力が叶えた奇跡

ロシアのサラトフは、ソ連時代以来の工業、文化、教育の中心となっている人口約90万人の地方都市。そこに家族と慎ましく暮らす28歳のNinaには輝かしいストーリーがありました。

子供の頃、不幸にも両親が離婚。幼かったNinaは簡単には現実を受け入れられず、大きなストレスによって0.1を下回るほどに視力が酷く低下してしまいます。

しかし、彼女には夢がありました。いつも世界を旅することに憧れ、いまだ知らない面白い場所を訪れたいとずっと願っていたのです。

大きくなった彼女は、「これだ!」という仕事を見つけます。それはキャビンアテンダントでした。確かに、キャビンアテンダントなら、飛行機に乗ってあらゆるところを飛び回り、いろんな土地のいろんな人と出会って、知らなかったたくさんのことを学べます。

ところが、夢の前には大きな壁がいくつも立ちはだかりました。
一番はやはり身体の問題でした。まずは視力。コンタクトレンズを着用して一定以上の視力を保てれば良いとされるものの、成長しても依然重度の近眼だった彼女にとって大きな不安材料でした。

また、身長の問題もありました。Ninaはロシア人としては非常に小柄な158cm。一方、キャビンアテンダントになれる基準は通常165cm。その差は小さくありません。そして、身長は視力とは違い矯正ではどうにもなりません

しかし。こうしたハンディがあってもNinaがキャビンアテンダントになる夢を捨てることは一度たりともありませんでした。それだけ彼女の夢は強く、大きかったのです。

なんと、彼女は視力矯正手術を受けることを決断しました。永遠に視力を失ってしまうかもしれない恐怖に襲われながらも、思い切って手術したのです。結果、神は味方してくれ、Ninaは健常な視力を再び手にすることに成功しました。

でも、身長はどうしたものでしょう?やはりだめ?
いえ、ここにも神様が用意してくれた思わぬ道がありました。
アエロフロートのような大手航空会社では厳しい基準をクリアしなければなりませんでしたが、実はローカルな航空会社の基準はそこまでではないことを知ったのです。

「サラトフ航空」。サラトフ中央空港からロシア国内に36、アルメニアとウクライナへ2路線を運航するこの航空会社が、ボクらの小さなNinaを迎え入れてくれました。

もちろん、乗務する前には、半年間の難しく厳しい研修がありました。飛行機やキャビンアテンダントの業務に関する細かな知識、規則、業界基準、法律、マナーなどなど…身に付けるべきことは山のようにありました。しかし、彼女はすべて完璧にやってのけたのです。

「絶対に叶えたい夢があれば、なんだって頑張れる」
鮮やかな制服に身を包み、キラキラと目を輝かせて小気味よく動き回り、乗客たちから笑いを誘うNinaの姿は、はたから見れば不利な条件ばかりが揃った彼女が起こした「奇跡」でした。彼女だけは自分を見捨てず、信じることを決してやめなかったのです。

とはいえ、人生に不運はつきもの。

2018年2月11日、あってはならないことが起こってしまいます

この日の午後、モスクワのドモジェドボ空港を離陸した国内線サラトフ航空703便が、離陸から間もなく墜落。乗客65人と乗員6人の計71人全員が死するという惨事でした。

幸いにもNinaは乗務していませんでしたが、同僚と職場を失いました。この事故が打撃となりサラトフ航空は5月末に全面運航停止となったのです。

サラトフ航空を去った後は、ロシア航空へと翼を変えて再び持ち前のホスピタリティと高いプロ意識で仕事をこなしました。

2つの航空会社で活躍

数ヶ月バリバリと働き、1ヶ月ほどの休暇を取る直前のフライトが彼女の最後の乗務となりました。その頃彼女は素敵な人生の伴侶を見つけ、彼と暮らすために家庭に入ることを選択したのです。

そしてその時の彼女の選択もまた一つの奇跡といえるかもしれません。退職して間もなく、コロナの猛威により、ロシア航空も減便を余儀なくされ経営危機を迎えることになったからです。

Ninaはこの時もまた難を逃れ、新たな幸福の一歩を踏み出すことに成功したのでした。オーロラちゃんという、天使のようにかわいい愛娘にも恵まれて。


砂の中のダイヤモンド

どこまでも広大な地平が続くロシアの東にイルクーツクという都市があります。人口はサラトフよりも少ない60万人。「シベリアのパリ」と呼ばれる美しい街並みが自慢のこの都市に、長年のトモダチKsusha(クスーシャ)はいます。

Ksushaはボクと同じように、アプリで世界のいろんな人と知り合って英語でコミュニケーションするのが好きでした。彼女とは、言語交換アプリTandemで知り合い、その後WhatsAppやInstagramでつながりながら地元イルクーツクや旅先のモスクワの写真や動画でエアトラベルを楽しませてもらって来ました。

しかし、こうしたアプリにつきものなのが礼儀知らずの男たちです。外見だけで彼女を品定めして露骨に言い寄ったり、不適切な写真を送りつけて来たり。あまりの多さに、この世はなんと不快な連中に溢れているのかと絶望的になったこともありました。

でも、悪いことばかりではなかったのです。彼女には何人かの「まともな」会話相手もいました。その中に、ブルガリアのある青年がいました。

気の合った二人の間には互いに励ましあったり、慰めあったり、称え合ったりしているうちに、いつしか特別な感情が生まれたのです。国境を超えた甘い会話は数年続きました。

しかし、思わぬ事態が。そう、ロシアのウクライナ侵攻です。

当初は国内の様子や彼女の歴史観などを聞いたボクですが、どうにも西側(そして日本の報道)とは相入れない内容で、色々議論したものの埋めきれない深い溝があることに気づいていく中、ある日突然音信不通になってしまいました。

出会ってからそれまでのチャットはなぜかすべて消去されてしまいました。とても性格がよく会話上手で知識豊富だったので、失うにはかなり惜しいトモダチだったとがっかりしたものです。

ところが、今年1月。Instagramで彼女が彼氏の国ブルガリアを訪れているこのを見かけて、久しぶりにDMを送ったところ反応が

連絡が途絶えて心配したよと話すと、なぜかボクの方から連絡を絶ったと思っていた!と予想外の返事。やっぱ政治の話はダメよね…あなたは本当にいい人だったから寂しかったよというではありませんか笑

これを機に無事連絡再開となって近況を聞いたところ、彼女の人生には大きな進展が。。。

昨年末、二人はトルコのイスタンブールを訪れていました。それが二人の晴れての初対面です。しかも、なんとそこでプロポーズされたというのです。

窓辺から美しいイスタンブールの街並みを臨む瀟洒なレストランで、真っ赤なバラの花束を幸せいっぱいの表情で抱えるKsushaは、これまでで一番キラキラ輝いていました。

その後二人はフィアンセの祖国ブルガリアの首都ソフィアに滞在。夏にはKsushaの地元イルクーツクに移って同棲するといいます。

最終的にはモスクワに新居を構えたいという夢を持つ二人はいつもプレゼントを送りあったりして、実に仲睦まじい日々を送っているようです。

ブルガリアの一コマ

「これまで一番ハッピーだった奇跡の物語はって、あなたは聞いたよね?」Kushaは言います。

「私、ああいうSNSに特に何も期待してなかったの。ただチャットして異文化のことを知れたらいいなと軽く思ってただけ。嫌な思いを何度もしたわ。だけどね、運命によって、理想の旦那さんはもちろん、あなたのような才能に溢れた優しい友達ができた。それこそ、最高の奇跡よ!


今回はいかがでしたか?

誰しも、その人生の一幕に「奇跡」と呼びたくなる瞬間があるもの。いやいやそんな映画みたいな話はないよというあなたにも。

この星のこの国に生まれ落ち、運命を恨んだり受け入れたりしながら誰かと出会い、平凡な日常の中でもやりたいことを見つけ、平穏な暮らしを営めている。。ただそれだけで、それは奇跡と呼べるのではないでしょうか。

まだまだトモダチからの「積もる話」は届いて来ていますが、今日はここまで。おやすみなさい。

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