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#予測不能の時代 の「変化の理論」を経営理論から分析してみた

本記事は、DX関連の個人的な学びのアウトプットです。

ある大手食品メーカーの経営企画の方から、今年の今の所の一番、と教えてもらった「予測不能の時代」を読み始めました。日立でずっとウェアラブルデバイスを用いたピープルアナリティクスをやられている矢野和男さんの著作。2020年7月についに、事業を分社化しハピネスプラネット社として「企業経営にハピネス・マネジメントを」届けることに取り組まれています。

これまでの本書のまとめ

予測不能の時代に企業の進化を阻む4大ルーティンとは #予測不能の時代 まとめ1
幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2
対話におけるうなずきって大切なんだなぁ #予測不能の時代 まとめ3
幸せのスキルと新事業開発って似てるんだな #予測不能の時代 まとめ4
心の資本を高める簡単習慣3good #予測不能の時代 まとめ5
予測不能の時代のシナリオプランニング  #予測不能の時代 まとめ6
自由・格差・エントロピー #予測不能の時代 まとめ7

第8章 予測不能な人生を生きる

今回で、本書の最後の章となります。最後は圧巻でした。「幸せとは"状態"ではなく"行為"である」とし、予測不能と向き合う最古の方法は「易」であるというのが本章の趣旨です。

以下、Wikipediaの「易経」からいくつか抜粋します。

中心思想は、陰陽二つの元素の対立と統合により、森羅万象の変化法則を説く。/「易」という語がもっぱら「変化」を意味し、また占いというもの自体が過去・現在・未来へと変化流転していくものを捉えようとするものであることから、何らかの点で “変化” と関連すると考える人が多い。
引用:Wikipediaの「易経」

易は英語ではBook of changes、つまり「変化の書」であり、その中では未来の変化が64のパターンに体系化されているといいます。それを六十四卦(ろくじゅうしけ)というようです。これが興味深いことにデジタル技術と同じ2進法でコード化されているといいます。

実際に六十四卦のwikipediaに行くと、以下のようにスマホアプリなどのメニューボタンみたいな横3本の線が「ー」だったり「--」だったりのパターンによって8×8=64のパターンに体系化されています。

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出典:Wikipediaの六十四卦より

変化の理論:易経のエッセンスを16パターンに

ここから矢野氏は易経のエッセンスを独自に16のパターンに凝縮したものを変化の理論としてまとめてくれています。そのうえで、いかにその理論を日々実践するか、までを解説しています。

体系化の軸は大きく2つです。1つは対象です。変化をとらえる対象として「私(Me)と私たち(We)」×「表出(Visible)と内面(Invisible)」の2軸で整理しています。

もう一つの軸は変化のタイプです。変化のタイプとしては「探索と深化」「果敢と着実」の対があるとして、これらをとらえる変化の対象に対して、とるべき変化として掛け合わせて、16のパターンを以下のように描出しています。

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経営理論から読み解く「変化の理論」

「深化と探索」のが両利きの経営を彷彿とさせます。「世界標準の経営理論/入山章栄」の中では、それぞれを以下のように定義しています

exploration(知の探索)
自分の現在の認知の範囲外にある知を探索し、それを今持っている知と新しく組み合わせること
exploitation(知の深化)
新しい組み合わせを試す中で生まれた知を何度も活用して磨き込み、収益化すること

知の探索」はいわゆる新結合です。このイノベーションの種をビジネスで使えるものにするのが「知の深化」です。この新しい知を求める「知の探索」と今持っている知をそのまま活用する「知の深化」の両方をバランスよく行う経営が両利きの経営と呼ばれるものです。

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また、同じく「世界標準の経営理論」の中で紹介されている、組織の知識創造理論(SECIモデル)で、知識が創造されるプロセスの中に「表出化」と「内面化」があり、矢野さんの変化の理論の「私・我々・表出・内面」と非常に共通点の多い概念になっていると感じました。

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図:世界標準の経営理論をもとに篠崎作成

矢野さんからの提案

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変化の理論は経営理論から考えても非常みよく整理されたフレームワークだと思いました。そして、本書の最後の矢野さんからご自身がずっと取り組んでいることが提案されます。

それは、毎日、この16パターンからランダムに一つを選び、その日の自分の行動に対して、そのパターンからの示唆を得て、実行してみる、と言うものです。

私の人生の転機となった出来事とも関連

私は以前、「自分を強くする」という書籍を読んで、その中で、これからは変化耐性をつけることが非常に重要であり、そのために毎日どんな小さなことでもよいので、Do Something New(これまでやったことない新しいこと)にチャレンジする、ということを数ヶ月取り組んだことがありました。

これは、「行動を変えると、価値観が変わる」という順番が大事だということでもありました。これは、2012年私にとって人生の転機となった以下の記事で書いたできごとから得た学びでもありました。

また、良い機会をいただいたと思って、「変化の理論 16パターン」からランダムで一つの選んで、その日の行動の示唆を得て、実行することにチャレンジしてみようと思いました。

書籍には巻末に、16のパターンの一つ一つに対して、解説が設けられており、それを読むことで示唆を得られやすくなるような構成になっています。自分もやってみたいと思った方は、ぜひ書籍を手に取ってみてください。

おわりに&本書のまとめ記事一覧

今回は「第8章 予測不能な人生を生きる」のまとめにトライしました。これで、「予測不能の時代」のまとめは最後となります。以下に、本書のまとめ記事の一覧を再掲しておきます。某食品企業の経営企画の方が、2021年上期のベスト本と教えてくれたのも納得の充実の一冊でした。

予測不能の時代に企業の進化を阻む4大ルーティンとは #予測不能の時代 まとめ1
幸せな組織の4条件FINEとリーダーシップ理論とチームマネジメントの工夫 #予測不能の時代 まとめ2
対話におけるうなずきって大切なんだなぁ #予測不能の時代 まとめ3
幸せのスキルと新事業開発って似てるんだな #予測不能の時代 まとめ4
心の資本を高める簡単習慣3good #予測不能の時代 まとめ5
予測不能の時代のシナリオプランニング  #予測不能の時代 まとめ6
自由・格差・エントロピー #予測不能の時代 まとめ7

DXについての記事や私のマネージャーとしての学びをまとめた記事は以下の「DXのマガジン」と「新任マネージャーの心得のマガジン」にストックしてますので、併せて覗いてみてください。フォローや「スキ」を押してもらえると励みになります。

ということで「形のあるアウトプットを出す、を習慣化する」を目標に更新していきます。よろしくお願いします。

しのジャッキーでした。

Twitter: shinojackie

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