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就活に失敗した私が出版社に定期採用で転職する話|光文社新入社員KBの出版就活

私は光文社が2社めだ。大学卒業後、デザイン会社で約3年働き、その間出版社の定期採用に再チャレンジ。今年の4月に入社した。
出版社のナイスなところは、採用が「新卒採用」ではなく「定期採用」なところだ!例えば、光文社は就業経験にかかわらず、30歳まで応募できる。私のように「就活出遅れた」「就職したけどやっぱり編集者になりたい」という人の参考になりますように。

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1.やばすぎる大学時代の就職活動

大学3年3月から就活を始めた。仲の良い友達が留年などで全く就活をしていないこともあり、なんとかなるっしょという謎の楽観視をしていた。「海外の工場とか行ってみたいな〜。あとあんま働きたくない」という夏休みの予定みたいな志望動機と、自分がどんな人間かは一切無視して書き上げた自己PRもとい嘘PRを、化学・重工業系の業界に送りつけた。

だが選考が進むと、嘘PRに限界がくる。面接で詰められると全然答えられないし、詰められるとわかって対策しても嘘であることに罪悪感を感じ始めるのだ……。
やっとこのままではまずいことに気づき、自己分析をやり直し、自分の軸は「面白いことを見つけて伝えたい」、だと気づく。幸いこの時点(5月くらい)でいくつかの出版社がまだESを受け付けており駆け込み応募。しかし、自分の軸を見つけたことで満足してしまい、自己分析のさらなる深掘り、OB訪問、企業研究、ESを人に見せる、などな〜〜んにもしなかった。もちろん受けた出版社は、一次面接であっけなく全落ちした。

もう一年やろうか……。しかし、精度が上がってきた自己分析によると、私には逃げ癖があるから、来年に先送りしたとて、うまくいく気はしない。やりたいことは一旦置いておいて、根性を叩きなおすために一度会社に入ったほうがいい……。

その結果、出版社の販促をたくさんやっているデザイン会社に「面白いことを見つけるより、どう伝えるかに興味があります」と少しだけ志望動機をチューニングして入社した。この会社では、「どう面白く見せるか」に特化して考えるのが仕事。「面白いことを見つける」のはクライアントの仕事だった。その企業自体はとても魅力的だったので、やりたいことの半分を殺してでも、入社したいと思ったのだ。恋愛でいうと、タイプじゃないけど結婚したら絶対幸せになれる人って感じの会社だった。

2.やっとスタートラインにたてた社会人時代

入社したデザイン会社は出版系のデザイン・販促に強く、出版業界に関われる!と思って入社した経緯があった。しかし、私は希望の出版系の部署ではなく、販促・Web系の部署に配属となった。最初は残念だったが、良い同僚に恵まれて成長を後押ししてもらい、Webの知識も得られ、しかも直属のマネージャーがイケメンで、今思うと最高の配属だった。この会社で働くことで初めて、「働くこと」に対して抱いていた様々な固定観念から解放され、「自分にとっての仕事がどういう存在か」がわかり始めてきた。(多分、そのためにインターンというものがあるのだ!)

働いて2年が経つ頃、やりがいのある大きい案件を任せてもらえたり、クライアントから評価されることも増えてきて、意外なことに仕事がすごく楽しかった。しかし、楽しさが増す一方で、「なんか物足りない」と感じることがしばしばあった。
真面目な私は「まだ2年めだし、辞めると決めるのは早すぎるでしょ〜〜軟弱この上ない。大体の物足りなさは、きっとこの先できることが増えていくことで解決するはず!」と思っていた。しかしそれとは別に、面接でチューニングした「こんなに面白いことが世の中にはある、と見つけて、伝えたい」自分の気持ちは、この仕事では満たされないような予感がしていた。

そんなとき、Webデザインのまとめサイトで、ある出版社の採用サイトを見つけた。働いていても応募できた。ES締め切りまであと1週間あった。
とりあえず応募しておこう。応募してから考えよう。受かるとは到底思えないけど、あの就職活動の時の後悔を成仏させられると思うし、自分の物足りなさも具体的にわかる。やりたいことが明確になるのは、今後、今の職場でキャリアを積むにしても絶対役に立つはずだ。一石二鳥!

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社会人になると仕事の忙しさが食欲アップに貢献。食べる悦びに目覚められたのはよかったものの、就職してからの3年間で10kg太った。

3.ギリギリの転職活動

その時点で応募できた3社にエントリーした。もちろん転職活動をしていることは会社には秘密だった。
仕事をしながら就活をする私の課題はこちら↓

①超繁忙で就活対策の時間の捻出が難しく、途中であきらめる可能性があった
②直近ニュースを全く見ておらず筆記試験がやばい
③仕事がある中での面接日程の調整

①超繁忙で就活対策の時間の捻出が難しく、途中であきらめる可能性があった
これに関しては、人と会う予定を決めると準備せざるを得なくなるので、とにかく先に予定だけでもいれるようにしていた。
また、OB訪問を通して、親身に面倒を見てくれるTさんと出会った。Tさんは、共通の知人が多かったこともあり、就活の進捗報告や相談をさせてくれたり、面接練習に付き合ってくれたり、OBを紹介してくれたりした。
当時、仕事が忙しく(1日最低12時間は働いていた)、一度失敗した不得意な就活を新卒にまじってするというのは、肉体的にも精神的にかなりきつかった。そんなできない言い訳はいくらでもできる状況下で、Tさんの存在が無言の圧力となって逃げを封じてくれた。
私みたいに自律が苦手なタイプの人は、誰かに深く見てもらって就活するのが良いと思う。新卒の時は、一人で就活していたのが悪かったと思う。

②直近ニュースを全く見ておらず筆記試験がやばい
年末から4月いっぱいは仕事の忙しさが尋常じゃなく、仕事と関係ないニュースはほぼ見れていなかった。なので、筆記試験までの1ヵ月は頑張って勉強した。
筆記試験の会場でも、周りの受験者が精神統一する中、私は試験が始まる直前まで文学史を暗記した。もちろんトイレ休憩でも暗記に励んだ。

筆記試験対策でやったこと
・『朝日キーワード』をノートに書き写して丸暗記
・文春の今年の『論点』を読む
・↑で追いつけない最新のニュースは、「2019年X月のニュースまとめ」を読む
・SPIは念のため解法を覚えてない箇所だけやり直す

③仕事がある中での面接日程の調整
幸い、出社時間が自由な職場だったので、朝一に面接をお願いすることで、大体の面接は受けられた。とはいえ、仕事の約束は面接が決まるより前に入ってしまっていることが大半で、何度か採用面接とクライアント訪問が被りかけたことがあった。光文社では事情を伝えると、面接に来られるように時間帯の調整をしていただけて、すごく助かった。(万が一、仕事と面接が被ってしまったら、仕事を優先せざるを得なかったと思う)
ただ、光文社の最終面接の朝、護国寺駅で目の前から同僚がやってきた時は、とっさに柱の陰に隠れた。自分史上最高に漫画みたいな瞬間だった。面接の後には、「護国寺にいい皮膚科がある」という言い訳を考えて会社に向かった。

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忙しいと言いながらも、GWは面接のネタ作りを口実に、和歌山にパンダの赤ちゃん(彩浜)を見に行っている。(もちろん『朝日キーワード』持参)その後辛いときはこのパンダの写真を見て頑張った。可愛いすぎて吐きそう。

4.【まとめ】人生は一度だし、出版社に入るチャンスは何度もあるし

転職活動を通して、今の仕事と自分の想いについて、たくさん考えた。いろんなことを天秤にかけた結果、やはり「面白いことを自分で見つけて、伝えたい」というのは、ゆずれなかった。
編集の仕事は、一旦編集者にならないと転職することが難しいこともあり、キャリアにおける早い段階で編集をやる必要があった。さらに、ちょうどその時期に受けた癌検診で、要精密検査の結果を受け取った。(再検査の結果は問題なかった)やべー!うかうかしてると人生が終わる!と思った。
だから、もしも出版社の選考に通らなければ、編集職のバイトなどに応募することまで決めた。セミナーにも通った。

内定の連絡をもらった時は、すごく嬉しかった。と同時に、すごく緊張した。就活は終わったけど、「やりたいことをやる」のは、やっと今から始まるのだ。絶対調子に乗らない。

これからの時代、20代での失敗はだいたい余裕でリカバー可能だと思うので、やりたいことがあるのなら、やったほうがいいよ、と言いたい。
まして出版社で働きたいということなら、新卒の就活に失敗しても、戦略立てて鍛え直して、また応募できる。
私も新しい業界への挑戦は怖いけど、やったるぞ!

光文社同期の就活体験記はこちらから読めます↓



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