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エッセイ

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日々のゆるいエッセイ📓
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#コラム

天敵

天敵

今年も夏フェスの季節が終了した。
昨年と一昨年はライブがかなり少なかったけれど、今年はだいぶ戻ってきた感じで素直に嬉しい。
もちろんまだまだ気が抜けない状況ではあるのだけれど。

フェスといえばもうこれは完全に虫との戦いである。
虫というか、僕の場合はほとんど名指しでブヨだ。
もし自分のプロフィールに「天敵」という欄があればそこには間違いなく「ブヨ」が入ることになる。

「彼ら」には何度か痛い目(

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コーヒー道

コーヒー道

先日、図書館でコーヒーについての分厚い本を借りてきた。
コーヒー好きではあるが、ただ飲むのが好きなだけで詳しくはないという気楽なスタンスを貫いてきて早20数年。
40歳にもなったので(関係ないけれど)、ここいらで少し知識もつけておいた方がいいかなと思って、自分の夏の課題図書としてその本を手に取ってみた。

なるほど、わかってはいたがコーヒーは奥深い。
だって豆の種類から始まり、原産国、農園、焙煎方

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ターニングポイント

ターニングポイント

先日40歳になった。
やはり40歳というのは大きな節目なのだと思う。

以前もこのエッセイで触れたかもしれないが、村上春樹さんのとある短編に出てくる「35歳を人生の折り返し地点と決める」という話が好きなのだが(主人公が水泳をやっていて、35歳で「人生のターンをする」という考え方を持っている。そして35歳になって人生の後半の1日がスタートするところから物語が始まる)、実際には現代の日本人男性の平均寿

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架空の可能性

最近、1日10分くらいピアノを練習している。
子供が習い始めた時に使うような楽曲集(超初心者向けのクラシックや童謡などが載っているやつですね)をただ弾いているだけなのだが、
何を隠そう音楽の仕事をしているにも関わらず全然ピアノが弾けない。
こんなことを書くと仕事が減るかもしれないけれど...
毎回ピアノや鍵盤のレコーディングには本当に(ほんとーーーに)時間がかかっている。

なんとなく毎日練習する

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仕分け人

この家に引っ越してきてそろそろ一年が経つのだが、いよいよ部屋に物が溢れてきたので模様替えがてら断捨離することにした。
でも断捨離と言いつつ、狭いこの仕事部屋に新たに一人用ソファを置きたいという思いに駆られてしまって、さてどうしたものか。

とにかく、まずソファを置くことは決定事項とした。
最近は仕事より...いや仕事と同じくらい休憩時間に重きをおいているので、快適な休憩空間は必須なのである。

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空白の数年

一番心が無になれるのは車の運転をしている時だと思う。

散歩をしたりコーヒーを飲んでいる時もぼんやりとはしているが、結構次から次へと考え事が浮かんでくる。
「あの仕事、そろそろ手をつけないとな」
「あの曲、続きの展開をこうしようかな」
「そろそろペーパーフィルターのストックが切れるな」
「あれ、今日何曜日だっけ、まあ何曜日でもいいんだけれど...」

車を運転していると、多少の緊張感もあるせいかあ

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自力の美学

年末年始に実家で親と話していた時に、初めて買ったギターの話になった。それは中学2年生の時で、買ったのはLUNA SEAのギタリストINORANさんモデルの紫色のギターだった。黒から紫色に変わるグラデーションが綺麗で、たしかピックアップはSSHだった。

記念すべき初ギターだったが、どこで買ったのかがなぜか思い出せない。親に聞いても全く思い出せず、それよりもギターを買った数日後に左手首を骨折したなぁ

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揺れるハンドドリップ

自宅でコーヒーを飲む時は自分でハンドドリップで入れる。
やかんにお湯を沸かし、豆を挽いて、ペーパーフィルターに折り目をつけてドリッパーにセットする。豆はいつも何種類かストックがあるので、その中からその時の気分に合うものをチョイスする。
と書くとすごくコーヒー通みたいだが「浅煎り」「中煎り」「深煎り」くらいの選択肢しかない。

ドリッパーも一応2種類あるけれど、正直そこまでの厳密な違いをわかっている

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東京散歩

散歩をするのには東京は本当に楽しい場所だと思う。
もちろん他にも歩きがいのある街はたくさんあると思うけれど(地方へツアーに行くと、ライブの翌朝に近所を散策して朝ご飯を食べるのが楽しみだったりする)、しかしながら東京はそういう興味深い街がいくつも結びついて連なっている。

今でも都内に仕事に出て時間が余れば適当にふらふらと歩いたりするが(例えば六本木から青山一丁目に抜けて絵画館の側を通って国立競技場

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7ヶ月ぶりのライブ

この週末は実に7ヶ月ぶりのライブでした。たしか自粛期間前の最後は二子玉川ライズでの坂本美雨さんとのクリスマスライブ。まさかその後半年以上ライブが出来なくなるなんて思ってもみませんでした。(もちろん世界中の人が同じ気持ちだと思いますが)

久しぶりにお客さんのいるステージに立ってみて(大半座ってたけれど)、そこにいる人たちの表情を見たり拍手を頂いたり、今まで当たり前だったことがとても新鮮に感じられま

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麦茶

6月ということは東京にももうすぐ梅雨がやってくるわけだ。なんともはっきりしない雨の降りかたをする日がすでにちらほら。いつもは頭痛にはあまり縁がないのだが、運動不足のせいか曇りの日が来るたびに自分の頭の中にももやもやと雲が居座ってしまう。

6月生まれとしては梅雨が好きでいたいところだが、なかなかそうもいかない。湿気というのはとかく忌み嫌われがちである。べたべたするし、カビが生えるし、そう、楽器がう

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自分の中にある器

東京も二ヶ月近くに及んだ緊急事態宣言が解かれて、これから少しずつ日常を取り戻していくことになる。

と書いてしまうと物語のエンディングのような「めでたしめでたし」という雰囲気がつい流れてしまいそうになるが、現実はやはり物語とは少し違う。日常とはなんだろう、というところに立ち返ってしまう。新しい日常、とでも表現すべきなのか。うーん、しっくりくる言葉は見つからない。

言葉の持つ力というのは思っている

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交差する偶然

外で知り合いにばったり遭遇することってありますね。
「おお、久しぶり」とか「あら、こんなところで」とか。
職業柄、ライブを観に行ったりするとミュージシャンの知り合いが結構いたりして「どうもどうも」と世間話になったり、週末の新幹線でも地方に演奏に行く同業者を目撃することはよくあることだ。

でも仕事とは関係のないところで偶然会ってしまうと、お互い気を抜いていて焦りますね。僕はなぜか駅のトイレの入口で

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もう一人の厳しい自分

昨日買い物に行くために車を出そうとしたらエンジンがかからない。二週間も車をほったらかしてしまったため見事にバッテリーが上がってしまったのだ。とほほ、と思いつつ保険会社のロードサービスに電話すると、一時間もしないうちに駆けつけてすぐに直してくれてた。

とても助かったし保険内のサービスで無料だったこともありがたかった。しかしそれ以上に、その駆けつけてくれたスタッフの方の仕事ぶりがとても「きちっ」とし

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