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【ミカタをつくる広報の力学】 #21 カスタム出版をPRに活用する

今回は新年1回目なので、少し変化球で「カスタム出版」について書いてみようと思います。

カスタム出版は自費で出版する方法ですが、プロの編集者がつくるメディアなのでPRにも効果的です。自費出版との違いや上手な活用方法についても書いていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。


カスタム出版と自費出版の違い

カスタム出版について、まず簡単に説明したいと思います。

書籍や雑誌といった出版物は通常、編集部で企画を立てて著者を選定して制作していきます。コストは出版社が負担して、著者には執筆料や印税が支払われます。この場合、著者にあたるのはライターや作家といったプロの書き手になります。

これに対して自費出版やカスタム出版の場合は、出版社ではなく一般の企業や個人、著者などがコストを負担します。
主に「プロの作家ではないが自分の作品を本にしたい」という人が利用します。

では、カスタム出版と自費出版の違いは何か。
主な違いはマーケティング、つまり「読者を意識するか否か」です。

自費出版の著者はプロでない場合が多く、自分が書きたいものを表現しているので、売れる売れないにかかわらず、自己負担で出したい本を出します。読者のインサイトは関係ありません。
なので負担するコストの大半は、本という形にするための製造費です。

一方でカスタム出版は、読者を意識して、読まれるために出します。
そのため、編集や執筆にはプロが関わり、出版社側も部数が伸びる工夫をします。
「出版物を使ったマーケティング」に費用を支払うと考えると分かりやすいかもしれません。


カスタム出版はPRメディア

先ほど書いたように、カスタム出版は「出版物を使ったマーケティング」です。言い換えると「メディアを使った情報コミュニケーション」ということになるので、上手に活用するとメディアリレーションと同様の効果が得られます

最も分かりやすい例は、コンサルタントや士業の人たちがビジネス書を出すケース。

プロの書き手ではないものの、もともと実績やノウハウを持っているので、プロの編集者のアドバイスがあれば読み応えのあるビジネス書が完成します。その本が著名な出版社の名前で出版されればブランディング効果は抜群ですよね。

カスタム出版は書籍だけでなく定期刊行物でも存在します。
つまり雑誌にしてくれるということ。

広報誌や社内報を、プロの編集者の手でつくって多くの人に手に取ってもらう。

いわば「一冊丸ごとペイドパブリシティ」です。

雑誌タイトルとしてのネームバリューはありませんが、使い方によってはかなりインパクトのあるコミュニケーションが可能になります。

ジャンルについては社史・年史などの堅めのものから雑誌タイプのカジュアルなものまで、出版社もビジネス系だけでなくファッション系や業界系など多岐にわたって展開されています。


PRへの効果的な活用方法

カスタム出版の効果的な活用方法についても、少し触れていきましょう。

編集してもらう出版社は、どこでも良いわけではありません。
ここが自社のブランディングやPRに最も関わってくる部分です。

メディアプランを立てるときと同様に、情報を届けたい読者への訴求力が高い出版社および編集部を選定しましょう。

その理由しては、読者のインサイトを理解していることも当然ですが、読者傾向が集中している出版社を選定することで、書籍の広告掲載やオピニオンを発信するときに効果的だからです。

書籍の販売する場合の書店流通に関しては基本的に出版社サイドで考えてくれると思いますが、書店で手に取ってもらうのを待っていてはもったいないので、積極的に発信していきましょう。

ビジネス書の場合はセミナーと絡めるケースが多いですが、マーケティングなどと絡めるのことも可能です。

消費者イベントやインストアで自社商品と関連付けて書籍を販売したり、プロダクトの導入マニュアルとしての活用や、フリーペーパーとして配布するなど、様々な使い方が考えられます。

雑誌のような定期刊行物として発行する場合にはオウンドメディアとして位置づけ、ホームページやSNSと連動して長期的なプロジェクトに活用すると効果的でしょう。

契約によりますが、出版権を出版社が持つ場合や書籍コード(ISBN)を取得している場合には、配布やマーケティングへの活用が自由に出来ないケースもあるのでご注意ください。

PRへの活用範囲を考えて、出版社の担当者と相談しましょう。


おわりに

今回は書籍を使ったPRの方法をご紹介しましたが、最近は電子書籍マーケットも広がってきているので様々な活用ができると思います。

カスタム出版の相談を通じて編集部の人とつながることで、メディアリレーションの促進になることもあるかもしれません。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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