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【ミカタをつくる広報の力学】 #23 年間広報計画をつくろう

今回は、首相の施政方針も発表されたということで、年間広報計画について書きたいと思います。
前回の雑誌の企画でも少し触れた「季節もの」や、社会・政治などに関連するものなども含め、マーケティング活動と連動させたスケジュールの立て方についても書いていきます。


※初めての方は、「#00 イントロダクション」をお読みいただくと、コンセプトがわかりやすいかと思います。

※このコラムでは、一部図表を含みます。ご了承ください。


なぜ年間広報計画を立てるのか

まず、年間広報計画を立てる理由について書きます。

広報活動の中でも、IRには通常、法定開示や適時開示などタイミングの決められたものが存在し、四半期ごとに決算短信を出したり、定期的に株主通信を発行していることと思います。

採用広報でも、大体の入社時期が4月となっているので、毎年同じスケジュールで動くことが多いのではないでしょうか。

ところがマーケティングPRになると、ローンチなどのタイミングに合わせてスケジュールを組む必要があったり、コーポレートコミュニケーションになると、社会の動きに合わせた取り組みが必要になってきます。

様々なデータを参考にして、どんなメディアにどんな情報を流せば良いかを、一年を通じて計画しなくてはなりません。

それゆえに、日本パブリックリレーションズ協会が実施しているPRプランナー試験(3次試験)でも、広報計画の実作問題として年間計画が組み込まれています。やはり広報の仕事としてはマストなのでしょう。

年間広報計画を立てるために必要なのは、一年を通じた世の中の出来事について把握することです。
なぜ必要かというと、ほとんどのメディアがその出来事を中心に記事を構成するからです。


歳時記とエポックと社会情報

世の中の出来事を把握するのに役立つ3つの軸が「歳時記」と「エポック」と「社会情報」です。

まずは「歳時記」。これは毎年繰り返される季節ものの定番イベントです。
お正月とか、バレンタインとか、新生活とか、夏休みとか、クリスマスとか・・・。
その季節が近づくと何かと話題に上り、メディアを賑わすネタになります。

次に「エポック」。これは限られたタイミングでしか発生しないイベント。
周年だったり、施設のオープンだったり、スポーツ大会の開催だったり・・・。
その年にしか発生しませんが、何ヶ月も前からカウントダウンするようなイベントです。

最後に「社会情報」。これは報道と密接な関係にある社会ネタです。
新制度の施行や法改正、政府や協会が発表する統計データなど。

社会に影響を及ぼすような発表に関しては、それに伴って関係業界などの取材が多くなります。最近でいうと、消費税の軽減税率などがそれに当たり、当時はカフェの取材がかなり増えたのではないでしょうか。

新法が施行される場合は、法案可決から一定の猶予期間を経るので、年間計画に組み込むことが出来ますし、冒頭に書いた施政方針は、これからの社会環境に大きく影響してきます。

統計データは調べるハードルが少し高いですが、「レポート一覧」とかで検索かけるとたくさん出てきますよ。

これらの出来事と絡めてファクトをつくることで、メディアが取材しやすい情報になっていきます。


年間広報計画をつくってみよう

上記のような「世の中の出来事」も重要ですが、もちろん一番大切なのはメッセージです。

情報を届けたい相手を想定して、そのターゲットにメッセージを届けるために、一年を通じて季節ごとにコミュニケーションを変化させていくのが年間広報計画です。

なので計画書をつくるときには、横軸にタイムスケジュール、縦軸にコミュニケーションの種類を設定します。

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横軸には、1月から12月だったり、4月から3月だったり、一年間のスケジュールを配置。
縦軸には、広告やSNS、イベントやプレスリリースといったコミュニケーションツールを配置します。
そして一番上には「世の中の出来事」を配置して、そのタイミングに合わせてコミュニケーションを組んでいきます。

年間広報計画を立てるコツとしては、最もコミュニケーション濃度を高めたいタイミングに向かって、徐々にテンションを上げていくようにスケジュールを組むことです。


おわりに

今年はコロナ禍ということもあって、不透明なVUCA時代の中でも特に計画が立てにくい一年だと思います。

そういうときには毎年変わらない「歳時記」に合わせた計画が一番頼りになるかもしれませんね。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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ではまた次回お会いしましょう。



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