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《メダイユ オ ショコラ》パリの名店『ジェラール・ミュロ』のショコラトゥリー(チョコレート工房)で働いた経験を基に…

シェフの進藤です。

怒涛のクリスマスが終わり、そのままの勢いでお正月へ突入。そして、そこから半月あまりが経ち、ようやく繁忙も落ち着き始めた今日この頃。
しかし息つく間もなく、次はバレンタインデー!
毎年この時期は、急流に流されているような、溺れないようにとにかく必死で泳がなければ、な感覚。簡単に言えば、とっても忙しいんです(笑)。
と、そんな言い訳もしつつ…

大変お待たせを致しました!
一昨日より、当店冬の大人気商品『メダイユ オ ショコラ』シリーズの、今年度の販売を開始しました!


『メダイユ オ ショコラ』とは当店冬の大人気商品で、
・チョコレート及びトッピング材料の選定・配置
・型に流すチョコレートの量・厚み
・ドライフルーツのカット方法から下処理の仕方etc…
細部にまでこだわりにこだわった、当店オリジナル〈メダル型板チョコレート〉の事です。
パリの名店〈ジェラール・ミュロ〉のショコラトゥリー(チョコレート工房)で働いた経験を基に、とびっきり美味しいチョコレートを作りました。
毎年〈バレンタインデー〉〈ホワイトデー〉時期のみの販売になります。

種類は全6種類
・マンディアン
・ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ
・ミルクチョコ×キャラメル×カシューナッツ
・スイートチョコ×レモン×オレンジ
・ホワイトチョコ×ベリー2種×ピスタチオ
・ルビーチョコ×3種のドライフルーツ×ピスタチオ

それら1つ1つに、開発するにあたって試行錯誤した〈それぞれのオリジナルストーリー〉があり、そのままでも十分美味しい商品ですが、その〈開発過程や思い入れ〉を知ってから召し上がって頂くと、更に味わい深い物に変わると思います。
ですので、召し上がる際に是非ともご一読頂ければ。

〈召し上がる際〉と言えば、この〈メダイユ オ ショコラ〉シリーズはチョコ・ドライフルーツ・ナッツの美味しいマリアージュを追及した結果、チョコ部分が少し厚めになっています。
なので、無理にかじると口の中をケガしてしまう可能性があるので、あらかじめ手で割って、1/4くらいの大きさにしてからお召し上がり下さい。宜しくお願い致します。

ではまず、各チョコレートの説明の前に、皆さんに〈チョコレート〉について少しお勉強して頂こうかと(笑)。
「そんな話は結構」という方は、目次に戻って〈各チョコレートの説明〉へ飛んで頂ければ(笑)。

何のお勉強かと言うと〈チョコレートの良し悪し〉についてです。
とはいえ〈良し悪し〉のモノサシには色々な項目があり、例えばカカオの産地であるとか、そのビーンズの種類であるとか、チョコレートブランドorビーントゥバーであるとか。
そういった細かい話ではなく、ここでお話するのは、製菓専門学校で〈製菓実習・製菓理論〉を教えていた時にも学生達に話していた様な、もっと基本的な事。私もこの職業に就くまでは全く知らなかった事なので、皆さんにも知って頂きたくて。

〈カカオバター(ココアバター)について〉

チョコレートの良し悪しを語る上で欠かせないのが、チョコの原料であるカカオ豆の中に含まれている《カカオバター》や《ココアバター》と呼ばれる油脂の存在です。
以下は《カカオバター》で統一します。

このカカオバターが物質的に凄い〈オンリーワン〉な特性を持っていて、何が凄いかというと、個体から液体への変化が僅か2~3℃の間で完結するんです(融点が34~36℃)!
よく分からない?
分かりやすく説明すると、32℃くらいまでの常温では石の様に固い個体であるにも関わらず、口の中(36℃)に入れた瞬間に溶けて水の様な〈サラサラの液体〉に変わるんです。

素早く溶ける=非常に口溶けが良い

という事ですね。その他の油脂は個体から液体へ移行する温度帯が広いので、口に入れても溶ける(完全に液体になる)までに時間がかかり、口の中で必ずもたつきます。

因みに、私の大好きな『明治ミルクチョコレート』の原材料表示を見ると、油脂は〈カカオバター〉しか入っていません。
流石ですね、口どけ良好なのが一目瞭然です。
たまたま売り場の隣にあった別のチョコを見てみると、カカオバターの左隣に〈植物油脂〉(カカオバターの代用油脂の事)と書かれているので口どけに関してはイマイチとわかります。
とっても残念なのは、日本で販売される大手製菓メーカーがつくるチョコの大半には、カカオバターでは無くその〈代用油脂〉が使用されていて、日本人はそれを子供の頃からたくさん食べている事。
人の感覚はしばしば

〈懐かしい=美味しい〉

なので、世界基準で美味しいと評価される物が、日本人には素直に〈美味しい〉と感じられない可能性があります。
本当に残念です。

大手菓子メーカーがその〈カカオバター〉をメインで使用しないのは、カカオバター自体の価格が単に高いという金銭的な理由と、もう1つ。製造に当たって〈カカオバター〉には〈扱いづらい〉という欠点があるんです。

では、その〈扱いづらさ〉とはどのような物なのか?

市販されているカカオバター入りチョコレートは、出荷に際して必要な温度調整が既になされていて、カカオバターが〈分子レベルで綺麗な結晶の状態〉で売られています。実はその状態でなければ、先程書いた〈素晴らしい口どけ〉は得られないんです。
で、ここからがその問題の部分。
一旦それ〈カカオバター入りチョコ〉を完全に溶かし(→結晶を融解)、そして、それを単純に冷却しただけでは、チョコが固まる事は固まりますが、元のカカオバターの綺麗な結晶になって固まる事は〈絶対に!〉ありません。
要するに、結晶を溶かしてしまったカカオバターは〈元通りの綺麗な結晶の状態に自力で戻る事ができない〉んです。
それをそのまま放置すれば、結晶が不揃いなまま固まり、結果〈ブルーム〉と呼ばれる縞模様がチョコの表面に出てきてしまいます。この状態のチョコは見た目が悪い上に、口溶けが良くありません。

では、元の綺麗な結晶の状態に戻すにはどうすれば?
『答え』はスイートチョコなら、まず

《チョコ全体を50℃に溶かし、次に27℃まで温度を下げ、それを更に31~32℃まで上げる》

一見単純なこの一連の温度調整を経ると〈あら不思議〉。素晴らしい口どけを得られる〈綺麗な結晶の状態〉に戻す事ができるんです。正確には、使用するチョコの包装の何処かに〈調温作業に必要な温度管理表〉があるか、無ければネット検索すれば見つかりますので、指示された温度を守ってもらえれば。

参照:カカオバリー社 ミアメール
この場合は45~50℃に溶かしてから27℃に降温、その後31~32℃に昇温したのち20℃の室温で固める様にとの指示。


このカカオバターの綺麗な結晶を作り出す一連の操作・作業の事を、製菓の世界では

《テンパリング》

と呼んでいます。
面倒ですが、ミルクチョコ・ホワイトチョコはそれぞれ、スイートチョコとは違った温度帯にテンパリングする必要があります…。

なので『今でしょ!』で有名な林先生が毎年この時期になると「手作りチョコはやめましょう」と言うのは、「手作りチョコを作る時に、カカオバターが入っている市販品を使った場合〈綺麗なカカオバターの結晶〉を自ら溶かしたにも関わらず、それを元の綺麗な結晶の形に戻す事ができないなら、むやみに溶かして作業するのはやめて」ってことなんです。素晴らしいチョコを、粗悪品に作り変えてプレゼントする事になるから。因みに、先程〈カカオバターではなく、違う植物油脂が日本で売られる大部分のチョコに入っている〉と書きましたが、そのカカオバターの代替油脂であるパーム油やヤシ油は、口どけこそ〈カカオバター〉には敵いませんが、温度調整せずとも溶かして固めるだけで元の結晶に自力で戻ります。
なので、確かに難しい選択ですね。
〈素晴らしい口どけを得る為に、面倒で値の張るカカオバター〉を取るか、〈口どけはイマイチだが、扱い易くて安価な代替油脂〉を取るか。
勿論、進藤洋菓子店はサッと前者のカカオバターを取ります(笑)。その為に、テンパリング作業習得を含めたきついパティシエ修業を乗り越えて来たんですから。

また折に触れて、チョコレートのアレコレやその他の製菓材料についてもお話したいと思います。今回はこの辺で。

では、そろそろ商品紹介へ(笑)。
このシリーズを作る発端にもなった〈マンディアン〉から、その詳しい説明を。

・マンディアン

このシリーズ人気NO.1 のマンディアン

当店の大人気オリジナルチョコ商品『メダイユ オ ショコラ』。そのラインナップの中でも群を抜いて〈思い入れ〉が強いのが、この〈マンディアン〉です。
低糖の最高級チョコレートに、しっかりと香ばしく焼いた〈アーモンド・ヘーゼルナッツ・ピスタチオ〉や、厳選したドライフルーツ〈オレンジ・レーズン・アプリコット〉をトッピング。どこにでもある〈マンディアン〉に見えますが、

〈他店と同じ“マンディアン”と思うなかれ〉

フランス パリで働いていた頃の事。
1件目の修業先《シュクレ カカオ》を辞め、次に働けるお店を探していた時、シュクレカカオで同僚だった女性から「ジェラール ミュロのショコラトゥリーで働いてる友人が辞めるので、入れ替わりで入りませんか?」と打診がありました。
ショコラトゥリーに入ってチョコを本格的に勉強したいと思っていたので、《渡りに船》と2つ返事でOKしました。
憧れの名店です。
断る理由がありません。

そして働き始めて数週間後、〈マンディアン〉(チョコの上にナッツやドライフルーツを乗せて固めた定番チョコ菓子)の作り方を教わった日、その作業終わりに「ヒサシ、食べる?」と、シェフショコラティエのジョンリュックが作りたてのマンディアンを1枚くれました。
正直なところ、元々〈マンディアン〉はそれ程美味しい物と思っていなかったので、メルスィー(ありがとう)とは返したものの、そこまで嬉しくなかったというか…(笑)。
そして、その日の帰り道。
セーヌ川を横目に歩きながら貰った〈マンディアン〉を何気なく一口食べました。
その瞬間、雷に打たれたような衝撃を受けて…。

〈めちゃくちゃ美味しい…。全ての素材が強い主張をしながら、絶妙に調和している…〉

今までの修業先で作っていたマンディアンや、有名パティスリーで買って食べた事のあるマンディアンは、チョコにとりあえずナッツやドライフルーツを乗っけただけの、バラバラ感が強い物だったのですが、これほどの一体感とは…。
マンディアンに対する印象が180°変わった瞬間でした。
進藤洋菓子店ではオリジナリティーや差別化に強いこだわりを持ち、殆どが自作のレシピに基づいた商品を提供していますが、この非の打ち所の無い『マンディアン』だけは、当時と同じブランド・同じ種類のチョコを取り寄せ、上に飾るナッツ・ドライフルーツも当時と同じ種類のみ。形だけタブレットからメダル型に変えて販売しています。

〈私が受けた衝撃を、皆さんにも味わって欲しくて…〉

あ、そのマンディアンを食べる際、守って頂きたい《2つのお願い》があります。

1つ目は、この〈マンディアン〉は必ず、少しお腹が空いた頃に召し上がって頂きたいという事。6種類のラインナップの中、この〈マンディアン〉のみ低糖のチョコを使い、散りばめたドライフルーツで甘味を補っている性質上、少しお腹が空いた時に食べて頂くと最高に美味しく召し上がれます。本当です。満腹時や甘いものを食べた直後に食べると、美味しさが半減してしまうのでご注意を!

2つ目は、1枚を一人で食べきって欲しいという事。乗せたトッピングの何が口に入るかによって、味わいが全く異なります。なので1枚を一人で食べて、味の変化をしっかりと堪能して下さい。
宜しくお願い致します。

・ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ

2つ目は『ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ』。

この〈ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ〉の組み合わせは私にとって、フランス滞在中の〈思い出の味〉なんです。
1度目の渡仏(アヌシー)でフランス語習得の重要性を痛感して帰国した私は、2度目の渡仏ではまず、フランス第2の都市リヨンで7ヶ月間、フランス語だけをしっかりと勉強する事から始めました。
更にその期間は、ホームステイでフランス人家庭にお世話になり、フランス人と生活を共にする貴重な時間でした。後から思うと、その時に素晴らしい家庭に当たった私はとてもラッキーだったと思います。
ワインカーブに連れて行ってもらったり、皆でレストランに行ったり。息子2人に連れられてディスコに行ったり。いつかまた、その時の話もしたいと思います。

話を戻して。
その期間中、好奇心旺盛な私は時間があればリヨンの町のあちこちを散策・探検しました。リヨンには〈フルヴィエールの丘の大聖堂〉や〈ベルクール広場〉、〈旧市街〉や〈テットドール公園〉等見所がいっぱいあり、そういった所の観光は勿論の事、もっと生活に密着した場所の探検も実に面白く、スーパーで売られている珍しい食材や生活雑貨等もとても興味深くて。
そして、それはお菓子売り場も例外ではありません(笑)。
私は元々チョコが大好きなので、スーパーの棚に陳列された様々なブランドの気になるチョコを片っ端から試し、最終的に衝撃的に美味しいチョコを発見してしまいます。それが《ボンヌ ママン》というフランスでは定番ブランドの〈ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ〉の板チョコでした。ミルキーで少し甘めのミルクチョコに、大粒のヘーゼルナッツが丸ごとゴロゴロとトッピング。

〈めちゃくちゃ美味しい!〉

結果、リヨン滞在中は2~3日に1枚は必ず食べていたのではないでしょうか…(笑)。
そんなに大好きになってしまった商品なのですが、強いて言えば少しだけ不満がありました。ナッツの空焼きの問題です。

〈もう少しナッツを香ばしく焼いてくれたら…〉

このメダイユシリーズの『ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ』作成に当たり、チョコレートはあのボンヌママンに使われていた物に似たミルクチョコを、百数十種類のチョコの中から見つけました。
トッピングは勿論、たっぷりのヘーゼルナッツをゴロゴロと。そして私は、〈ナッツの空焼き〉には並々ならぬこだわりがあるので、じっくりと時間をかけ、しっかりと芯までヘーゼルナッツを焼いています。
これで私にとって“ストレスフリー”な究極のチョコが完成しました(笑)。

〈メダイユ オ ショコラ〉シリーズの中でも、万人受けする初級編はこの『ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ』か『ミルクチョコ×キャラメル×カシューナッツ』だと思うので、とりあえず最初にどれを買うか迷う方は、まずこのチョコレートからお試し頂ければと思います。本当に美味しいので騙されたと思って食べてみてください。私がそうだったように、病みつきになってしまっても責任は取れませんが(笑)。

・ミルクチョコ×キャラメル×カシューナッツ

香ばしく焼いたカシューナッツにキャラメルミルクチョコ

3つ目は『ミルクチョコ×キャラメル×カシューナッツ』のご紹介。

私はこれまでパティシエとして働いてきた20数年で、様々な〈ブランド〉のチョコを使ってきました。
最初のお店は確か〈スシャール〉と〈ヴェイス〉。次の店は〈カカオバリー〉〈ヴァローナ〉。で、その次が〈大東カカオ〉〈ベルコラーデ〉あと〈カルマ〉も、フランスでは…。
今の文章の中に出てきた〈 〉は全て〈チョコレートメーカー〉の名前です。勿論まだまだあります。
それらの〈チョコブランド〉1社1社が、独自にスイートチョコやミルクチョコを3~4種類、ホワイトも2種類くらい、それぞれ異なるテイストで作って販売しています。
もうお分かり頂けたと思いますが、各メーカーから販売されている〈製菓用オリジナルチョコレート〉は、合計すると軽く100や200を越える数があり、 それを使うパティシエには〈選ぶ楽しさ〉があると同時に、多過ぎるが故に〈選択の難しさ〉もあるんです。
一般の方が知り得ない所だと思うので、なんとなく〈そんなに多いんだ~〉と思って頂ければ。

そんな数多くのチョコの中から、今回のメダイユシリーズ作成に当たってどうしても使いたい〈ミルクチョコレート〉がありました。それは、フランスの最高級ブランドである某社から発売されている〈キャラメルを練り込んだミルクチョコレート〉です。
初めて食べた時、その美味しさとオリジナリティーにビックリ。香り豊かで少し甘めなミルクチョコレートに、キャラメルが素晴らしいバランスで入っているんです。
これぞ絶妙。
シンプルですがこれまでに無かった味わいで。こんなに美味しいチョコがあるなら使わない手はありません。

次はベストマッチなトッピング探し。
先に出来上がっていた、前述の『ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ』はフランス菓子テイストの強い物なので、差別化の為に〈フランス菓子ではあまり使わないナッツを〉とあれこれ考え、2週間ほど経った頃〈フッ〉と答えが頭の中に降りてきました。

〈カシューナッツ!〉

中華やタイ料理等で多用される私の大好きなナッツですが、フランス菓子に使われているのを見た事がありません。早速取り寄せ、じっくり時間をかけて芯まで空焼きし、あのキャラメルミルクチョコに合わせました。そして、一口食べての感想。

〈うわー、めちゃくちゃ美味しい!〉

私のレシピ開発者人生でも1~2位を争う程の一発合格。イメージを遥かに上回る出来に、ニヤリと静かに笑ってしまいました。

1番目にご紹介した『マンディアン』は味の構成が複雑な上級編。
一方、万人受けする初級編は絶対にこちらだと思うので、ビターチョコに抵抗のある方はこのチョコか、1つ前にご紹介した『ミルクチョコ×ヘーゼルナッツ』からご購入頂ければ。
本当に美味しいので、まずは騙されたと思って食べてみてください。
他のメダイユと同様に、この商品もチョコとナッツの美味しいバランスを考え抜いた結果、チョコ部分が結構厚めになっています。かじり割ると口の中をケガしかねないので、手で割って1/4程度の大きさにしてからお召し上がり下さい。


・スイートチョコ×レモン×オレンジ


外側4つがレモン、内側3つがオレンジ

4つ目は『スイートチョコ×レモン×オレンジ』。

この商品は私が大好きなフランスショコラ菓子の定番

《オランジェット》と《シトロネット》

を、贅沢にも1枚で味わえる様にしたものです。
《オランジェット》はオレンジの皮の砂糖漬けをスイートチョコにくぐらせた物。《シトロネット》はレモンの皮の砂糖漬けをスイートチョコ(店によってはミルクチョコ)にくぐらせたものです。
どちらも大好きなので1つにしちゃえっていう単純な発想です。
すみません(笑)。

主役の一つは、私が多くのチョコレートの中から厳選したフランス産の高級スイートチョコレートです。この商品には〈マンディアン〉とは打って変わって、濃いめのコーヒー・紅茶に合うように少し甘めのものをチョイスしています。
その厳選したチョコレートに、もう一つの主役、国産のレモンラメル(砂糖漬け)とフランス産のオレンジラメル(砂糖漬け)を合わせました。
ある意味〈定番〉な組み合わせですが、〈至高のマリアージュ〉だと思います。

味のアクセントに、わざわざひと手間をかけてレモンに少し〈酸味〉を持たせるのが進藤流(結構面倒なひと手間なんです)。
配置は、円の外側がレモン。真ん中がオレンジになっています。スイートチョコメインですが、とっても食べやすく仕上がっていると思います。是非とも。


・ホワイトチョコ×ベリー2種×ピスタチオ

ホワイトチョコはやっぱり白が映える!

5つ目は『ホワイトチョコ×ベリー2種×ピスタチオ』。
主役はなんと言っても〈ホワイトチョコレート〉。私は大好き。他のチョコレートには無い、圧倒的ミルク感を存分に味わいたい。
一部のパティシエの中には

「ホワイトチョコはチョコレートではない」

なんておっしゃる方もいます。
確かにチョコの原料→〈カカオ豆〉の大部分である〈カカオ(茶色)〉を全く使わず、少しだけ含まれている〈カカオバター〉のみを使って作るので、そう言いたくなる気持ちも分かりますが、パリの〈シュクレ カカオ〉でもアントルメの飾りにホワイトチョコは使っていましたし、〈ジェラール ミュロ〉でも使っていました。なので、
「そんな事言わないで仲間に入れてあげてよ!」
って思います(笑)。

勿論、この商品を作るに当たっても数多くのホワイトチョコの中から私が厳選したフランス産高級ホワイトチョコを使用。
私が昔から愛して止まない、ミルキーで少し甘めの物をセレクトしました。
そこに、結構試行錯誤をした結果、ベストマッチな〈柔らかで酸味の効いたドライクランベリー〉と〈豊潤なアロマのドライストロベリー〉、そしてアクセントに〈深煎りピスタチオ〉を合わせました。
甘味・酸味・アロマの素晴らしいマリアージュが表現出来ていると思います。ホワイトチョコ好きな方には勿論、そうでない方にも美味しい!と言って頂ける商品だと思います。
是非とも!

追伸
ただの〈マイルール〉の話ですが、私はこういった〈チョコをダイレクトに味わう商品〉を作る時には、チョコをブレンドして使う事はしない様にしています。
複数のチョコを混ぜ合わせるパティシエもいますが、企業で商品開発をしていた経験から、そのチョコに込められた開発者の思いを汲み取り、それをそのまま最大限に活かす商品作りをしたいと思います。そのチョコの開発者と、製造者の方々に敬意を表して。


・ルビーチョコ×3種のドライフルーツ×ピスタチオ

鮮やかなピンク色が特徴の、第4のチョコレート〈ルビーチョコレート〉

最後は『ルビーチョコレート×3種のドライフルーツ×ピスタチオ』のご紹介。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、遡ること6年前の2018年1月、スイスにある世界有数のチョコレートメーカー〈バリーカレボー社〉から、スイートチョコ・ミルクチョコ・ホワイトチョコに次ぐ、新たな第4のチョコレート『ルビーチョコレート』が発売されました。

その特徴は色と酸味。
見た目はその名の通り鮮やかなピンク色。ルビーカカオが持つ天然の色との事。
味の特徴は、フルーティーな天然由来の酸味(苦味はありません)。原材料表を眺めるとホワイトチョコレートと共通する点が多い事もあり、〈酸っぱいホワイトチョコレート〉と言ったところです。
美味しいです。
ホワイトチョコ好きには好意的に受け入れられるのでは。想像するのは難しいと思いますが、色から連想するようなベリー系の味がする訳ではありません。
開発者としては、やはりそのきれいなピンク色に創作意欲を掻き立てられます。
とはいえ相変わらずの私らしく、新商品開発に取り掛かってから完成までに2年近くかかってしまいました。進藤洋菓子店に課したテーマ〈ここにしか無い物、ここにしか無い味〉が中々厄介でして。ですが、時間はかかっても、その分出来た物はいつも《素晴らしい出来》であるという自負はあります。
土台は先ほど述べたルビーチョコレートになります。日頃は多くのチョコレートブランドの中から楽しく悩みながらセレクトするのですが、〈ルビーチョコ〉はバリーカレボー社唯一無二の商品なのでチョイスの必要無し。
その次の段階、その上にトッピングするベストマッチな食材探しへ。あれこれ試行錯誤しましたがかなり難航。
ルビーチョコが優しい味わいなので、それをマスキングすることなく、トッピングしたそれ自身も生きる食材探し。ベリーメインで合わせるのは単純過ぎて嫌なのでNGに。

そして、ようやく辿り着いたのが〈ドライレーズン〉!

時間はかかってしまいましたが、生かし生かされる素晴らしいパートナーを見つけました。
商品開発の過程は大体いつもそうなのですが、中心になるペアリングが決まってしまえば、後は雪崩れの様に他のパーツが次々とはまりだします。
ドライレーズンと仲良しな黒イチジク。黒イチジクはプチプチ食感がたまりません。それプラス、ルビーチョコの酸味と相性の良いドライストロベリーを忍ばせて。更に、私の大好きな深煎りピスタチオで、ナッティー感と緑色を加え…完成!!

ルビーチョコレートを既に食べ慣れている方はぜひとも。この機会に初めてルビーチョコを食べる方にも、とても食べ易い仕上がりになっているので強めにお勧めしたいと思います。

以上になります。
少人数で丁寧に手作りしている商品なので、おまとめ買いが続くと種類によっては売り切れが出てしまう事もあります。ご了承下さい。なるべくそうならない様に努めますので。
更に今年は〈BASE〉のオンラインショップでも積極的に販売致しますので、そちらも覗いて頂ければと思います。
宜しくお願い致します。


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至福のスイーツ

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