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仕事をする上で大切にしている3つのルール

フリーランス・デザイナーの井上新八です。

主にブックデザインの仕事をしています。
20年くらい1人でこつこつと仕事しています。
ありがたいことに忙しくさせてもらっています。

ひと月前くらいにnoteをはじめてから、
「こういうことを書いて欲しい」
というようなことをちょいちょい言われるようになった。

大半は自分でもよくわらないことが多いから答えようがないのだけど、
少し前に
「どうやってたくさん仕事を取ってこれるのか知りたい」
と言われて、
「そんなのあるならこっちが知りたいよ!」
って思ったのだけど、
うーん、そんなものがあるなら、
確かにそれは知りたいな…と思って、ちょっと考えてみた。

ぼくは自分の仕事の営業というのをしたことがない。

最初のデザインの仕事は半分冗談のような形で
飲み屋で頼まれたものだったし、
その後どこかのデザイン事務所で働いたわけでもないから、
コネも横のつながりもない。

編集者として4年間、新聞社に勤めはしたけど、
その関係でもらった仕事は一個もない。

だから始めた当初はそんなに仕事は多くなかった。
いやむしろ全く仕事はなかった。
新聞社を辞めてから1年くらいはほぼ無職だった。

そこから小さな仕事をもらうようになって、
それがきっかけで少しずつ仕事が増えていって、
年に5冊くらい本のデザインの仕事がくるようになった。
それが徐々に増えていって月に5冊になり、
10年くらい経った頃には年間100冊になっていた。
今、多いときは年間200冊くらい。
本当にありがたい話だ。

たぶんもらった仕事を一個一個しっかりやってきただけなのだけど、
続けていく上で自分の中で守っているルールのようなものはある。

それが質問の答えになるかは分からないけど、
心がけてやっているシンプルなこと
今回は書いてみようと思う。

いや、ほんと当たり前で、バカみたいな話なのだけど…
それが時として大切な場合もあるとは思うので。

○守ってることはすごくシンプル

ぼくが守っているルールはすごくシンプル

・早くやる
・たくさんやる
・なんでもやる

この3つだけ。

でもちょっと違う。
もう少し足してみてこういう感じ

・早くやる、鬼速で早くやる
・たくさんやる、超大量に作る
・なんでもやる、あきれられるくらいやる

この言い方の方がしっくり来る。
ようは「過剰にやる」「やりすぎる」ということだ。
今やっている仕事でも、新しいことを始めたときも、
全部このルール。

早くやる、鬼速で早くやる

何でも早くやるのはすごくいい。
「すぐやる」はあらゆることにおいて正義だ。

まず「締め切りを守る」ことに結びつく。
これは当たり前だけど、
仕事は締め切りさえ守っておけばあとは何とかなる。

そしてこれを過剰にやることで
いい結果に結びつくことがある。

仕事を始めたころは、
スピード感が信頼につながることが多かった。

フリーランスでデザイナーを始めた頃に、
飲み会での出会いがきっかけで
情報誌のデザインの仕事をしばらくやっていた。

それまで独学で書籍のデザインをしていたけど、
デザイナーとしては圧倒的に経験不足だった。
わからないことだらけだった。
仕方ないからDTPのスクールにでも行こうかと思っていた時期だ。

雑誌なら同じ誌面で自分以外の人もやっているわけだし、
何かわかるかもしれない。
そう思ってやってみることにした。
結論としては自分のやり方が正しいかどうかはよくわからなかった。
だけど、ここでの学びはそれなりに大きかった。

初めてのことだったし、とにかく修業だと思っていたので、
かなり無茶なスケジュールでも引き受けてやっていた。

仕事はページ単位のデザインの依頼で
最初は特集の8ページみたいな仕事だった。
クオリティはどうだか分からないけど、
とにかくスピード重視で、
圧倒的な早さでやる
ことにした。

締めきりが3日後と言われたら2日で送る。
2日後と言われたら翌日には送る。
とにかくスピードで勝負してみた。

情報誌のように時間に追われる現場では
これがとても重宝がられたのではないかと思う。

そうして続けているうちに、頼まれるページが増えていった。
そのうちに表紙のデザインも頼まれるようになり、
そのうちにまるごと一冊デザインすることになった。

当時の

さすがに1冊全部は大変で、
まる1日フル作業して、
追加ページの打ち合わせに行けるのが夜中しかなくて、
タクシーの中で作業しながら移動して行って、
帰りはタクシーで仮眠しながら帰って、
そのまま作業に入ってその日の夕方までに仕上げるみたいな
メチャクチャなスケジュールだった記憶がある。
とても1人で続けられる作業量ではなかった。

さすがにキャパオーバーで長くは続かなかったけど、
早くやることで仕事が増えていく貴重な体験だった。

その数年後にデザインした書籍
「なぜ、「できる人」は「できる人」を育てられないのか?」
早くやることで大きな飛躍につながった仕事だったと思う。

これが初めてのいわゆる「ビジネス書」の仕事だった。
初めてのジャンルでどういう雰囲気が好まれるのかよくわからなかったので、
「まずはやってみます」と打ち合わせで伝えて、
作業場に戻ってそのまますぐにデザインに取りかかった。
やり直しになるなら早めに戻してもらった方がいいなと思って、
その日のうちにデザイン案を送った。

そのまま採用された。
編集者は打ち合わせの数時間後に
デザインが送られてきたのは人生で初めて
だと言ってものすごく驚いていた。
この本自体も売れて、シリーズ化されたので、
「鬼速デザイナー」みたいな形で話が広まった。

「時間がないときはこの人に」という、
喜んでいいのかどうか分からない依頼も増えた。
良い悪いは別として、肩書きになるような圧倒的な何かは、
武器になるのは確かだと思う。

たくさんやる、超大量に作る

今はあまり「早さ」自体は求められることもなくなったと思うけど、
やはり早く作ることにしている。
今、早くやる理由は「おいて寝かせる」を習慣化するためだ。

すぐ作って、いったん寝かせて、練り上げて、
またゼロから作って、これを締め切りまで繰り返して、
締め切りの直前で、それまで作っていたものを無視して、
もう一回新しいものを作るようにしている。
作って、練り上げて、ぶっ壊す、というプロセスだ。
これをするためにできるだけ早く作り始めるようにしている。
詳しくは2回目のnoteを参照

ようするに、たくさん作るようにしているのだ。

たくさん作る。量で圧倒する。
出し惜しみしないで出し切る。

これも仕事をし始めた頃から大事にしていることだ。

今は1冊の本のデザインに対して
10パターンくらいを目安に作っている。
もちろんそれより全然少ないときもあるし、
もっと多くなる場合もある。
新しさが必要な場合は可能性を色々考えて
20パターン以上送ることもある。

年間200冊デザインしているので、
毎年2000パターンはデザイン案を出していることになる。
それが多いのか少ないのかはわからない。
ただ、捨てている案もたくさんあるので、
それをふくめればけっこう大量な量を作ってるのではないかと思う。

僕の場合、デザインの勉強もしてないし、
どこかで修業したりすることもなく、
いきなり仕事として始めたこともあって、
基礎というのがまったくない。

才能なんてものがあるのかは知らないけど、
そんな頼りないものに期待してもしょうがない。
だからとにかくムダに思えるくらいたくさん練習する。
ひたすら数を作る。そうして修練を積み上げていく。
極めるなんてことは、たぶんないと思うから
ずっとこうして磨いていくしかないだろうなと思っている。

たくさん案を出すと受け取る側の迷いが増えるだけだし、
それによって思いも寄らぬ意見が出て、
無用な仕事を背負い込むこともある。
「ベスト」と思うものだけを1つ出した方が良いのではないか?
そう思った時期もあった。
でも結果としてそれはやめた。

「図解 モチベーション大百科」(サンクチュアリ出版)で紹介されている
「マルチトラッキング 」という実験(150ページ)。

どういう実験かというと。

仕掛け人の依頼主が、被験者のデザイナーに広告バナーの制作の依頼を出す。

Aチームは1パターンの案を提出させて、依頼主から6回修正が入る。
Bチームは3パターンの案を提出させて、依頼主から1回修正が入る。

結果作るパターンはそれぞれ6パターンなんだけど、
依頼主もデザイナーも仕事の満足度が高かったのはBチームの方で、
更に出来上がったバナーのクリック数もBチームの方が高かったという。
(サンディエゴ大学 認知科学者スティーヴン・P・ダウの実験によるもの)

つまり1案出すより、複数の案があった方が、
依頼する側も提案する側も円滑に仕事が進み、
結果的にも良い成果が生まれやすいということだ。

それで無用な仕事が増えても、
それが円滑に進む手段として有効なら何の問題もない。

これを読んでからは安心してたくさんデザイン案を出すようになった。
ま、あまりにも大量に送りすぎるのは悪いので、
少し減らすように心がけているけど。

○なんでもやる、あきれられるくらいやる

ぼくはあまり「これはやらない」みたいな決めごとをしていない。
もちろん犯罪になりそうなことは最初からやらないけど、
面白そうなことは何でもやってみたいと思っている。

体は一個しかないので、何でもやるというわけにはいかないけど、
別の人から続けてお勧めされたことは大体やるようにしている。

映画もこのジャンルは見ないというのがない。
ホラーは正直苦手だけど面白そうなら見に行く。

アニメとかドラマも好き嫌いで見ない。
とりあえず見れるものは何でも見る。

朝のルーティーンでやっている
「SIXPAD」や「HIIT」といった筋トレはお勧めされて続けていることだ。
去年からプロテインも人に勧められて飲み始めて、
もう300日近く毎日続いている。
1回目の投稿参照

そういう細かい習慣から、
毎日企画を一個考えるという少し面倒なことや、
「どうぶつの森」をやるということでも、
とにか全力で取り組むようにしている。

それは仕事だろうが、好きなことだろうが、
そんなにやりたくないことだろうが、
なんでも、とにかく「やりすぎ」なくらいやる。
何でも本気でやらないと楽しくならないと思っているからだ。

仕事に関係ないことだと例えばこんなこと。

何年か前にやった高校の同窓会。
その学年の全クラスの合同同窓会をやることになって、
その幹事の1人になったのだけど、ここでも色々やった。

・専用サーバー管理
・メーリングリスト作成
・名簿と出欠の管理
・同窓会通信の作成
・ホームページ作成
・DMデザイン
・全員の当時の写真入りの名札作成
・当日のプロジェクター用画面デザイン
・当日のビデオ撮影
・終了後に当日のイベントレポート作成
など…
仕事以上に全力で色んなことをやってみた。
恐らく仕事で頼まれていたら断るくらいの作業量だったと思う。

当時の2

思いつきで色々出てくることを実現するためには、
何が必要でその小さなことを実現するのにどのくらい作業が必要になるか、
細々したことまでやることで見えてくるものがたくさんあった。
とてもありがたい機会をもらったなと思っている。

親孝行も全力だ。以前投稿したこれなんかは仕事以上に仕事してる。
(この記事が母親に見つかって気まずい感じもあるが…)

たぶん、こういう何の得になるのかわからないことを
全力でやるのがいいのかなって思っている。

「どんなことでも手を抜かない、過剰にやる」
この姿勢が何か次を引き寄せている気がする。
少なくとも一見無意味なことを手を抜かずにやってみて、
それで損したと思ったことは一度もない。

今で言えばnoteもそうだ。

たぶん過剰に書いている。
かなり周囲にあきれられている。

でも大事なのは、周囲に引かれるくらい過剰にやること。
このスタートダッシュは意外に重要だ。
過剰にやれば、クオリティはともかく
少なくとも「熱量」は伝わると思う。

量なのか密度なのかスピードなのか、
やり方は人それぞれあると思うけど、
とにかく圧倒的な何かを印象づけられれば、
それでいい気がしている。
質なんてやりながら高めていけばいい。

本気で取り組むときは、
「とにかく過剰に熱をこめる」、これがけっこう重要だと思っている。
だからnoteもスタートするときは「熱を込める」ことを意識して始めた。

ただ「本気でやる」っていう思いは
何か形にしないと届かない。
いくら「本気でやってます」と言っても、
その「本気」の度合いは相手にはなかなか見えない。

すごいテクニックがあれば別なんだろうけど、
ぼくにはそれがない。
だから文章だったら、すごい長さだったり、
細部の徹底した作り込みだったり、
やはり目に見える形にしないとなと思った。

全然違う話だけど、映画「カメラを止めるな!」もそうだ。

低予算でワンシーンワンカットのゾンビ映画を撮るという、
ありえない作り込みの熱量が人々を巻き込んで虜にしていったと思う。

ま、ぼくのnoteにそれほどの力があるわけではないけど、
知名度も武器も何もないから、
スタートする時は「熱量」だけは込めよう
、そう思った。

で、そうやってnoteをはじめて1カ月そこそこ経った。

普段まったくSNSは発信してないから、
宣伝力は基本ゼロの状態で始めたけど、
SNSで拡散してくれる人がいたり、
noteのおすすめで取り上げてもらえたり、
それなりにたくさんの方に読んでもらっているようだ。
ありがとうございます。

ありがたいことにnoteがきっかけで、
思ってもみなかった仕事のオファーもいくつかいただいている。
新しく何かが始まりそうな予感がする。

考えてみたら、今までやってきたこと、
全部がそうだったなと思う。
人から見て「やりすぎ」って思われるくらいに、
過剰にやることで道が開けてきた気がする。

「無理すんな」って言われるけど、
何の武器もない凡人が生きていくには、
無理するくらいしか方法はない
って思ってる。

無理してなんぼじゃい!

無理はしてるけど、
それをつらいと思ったことはあまりない。
無理してるというより、夢中でやってる。

さて、何だかよくわからない話になってしまったけど、
大切にしている3つのルールの話でした。

ま、でも無理しすぎはよくないと思ってます。
適度に無理していきましょ。

それでは、無理なきフリーランス&自宅仕事の毎日を!


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