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ひび

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日々のことについて文章を書きます。
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2020年1月の記事一覧

何か嫌な人

「電子煙草を吸っている人」
自分も煙草を吸うが、電子煙草というものは吸ったことが無い。あれを悠々と吸っている人間の、表情がどことなく嫌で、また、独特の燻した匂いもまた、嫌である。

「携帯のラインの未読通知が140くらいある人」
他人の携帯の画面がふと見えたとき、ラインなどの未読通知マークが大量に残っている、あれ。自分には理解出来ない。ギョっとして、何故か嫌な気分になる。

「アディダスのパチモン

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難波ベアーズ

毎月開催している「ナイトオブコメディー」というライヴを、次は難波ベアーズという場所で行う。

この老舗のライヴハウスは、何とも穏やかでない、どこか殺風景で冷たい雰囲気がある。ライヴハウス特有のチャラい要素が皆無で、不器用な荒々しさに満ちている。自分は何度か行ったことがあるのだが、地下へと降りる階段はいつも妙に緊張する。大阪のコアな音楽界隈では有名な小屋らしく、普段は様々なジャンルのミュージシャンが

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みどりのひ

昼、近鉄電車に揺られて生駒駅に着いた。案の定、少しだけ遅刻した。駅にはもう既に出演者たちが集まっていて、談笑しながら皆でケーブルカーに乗る。生駒山の中腹、宝山寺の参道沿いにある洒落た店は、一階がカフェと雑貨屋、二階がライヴ会場となっていた。自分は雑貨屋で、我が家で待つ沢蟹のかにくんのために流木を100円で購入した。山からの見晴らしは綺麗で、けれども頭の中はまだ寝呆けていた。素敵な土曜の昼下がりで、

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ぬくもり

今日(22日)は、天赦日と一粒万倍日が重なる日、つまり、一年の中でも非常に縁起の良い、運気の高い日であったらしい。テレビのワイドショーで自分はそれを見た。

起きて、風呂場で髭を剃る。手を滑らせて、思い切り顎の辺りを切った。嫌な予感がしたのでそれ以上剃ることは止めた。外はしとしと雨で、なぜか薄着をしてしまった自分は傘も持たずに、寒う、と呟きながら会場へ向かい、ライヴをした。いつも通りに楽しく演り終

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手紙

こうした仕事をしていると、ごく稀にお客さんから手紙を頂くことがある。手紙でなくても、簡易なメッセージカードであったり、とにかくそうした言葉の紙を貰うと自分は、相手が同性異性に関わらず、なぜか胸がドキドキする。青春時代にラヴレターなど一通も貰ったことの無い自分だ。手紙というものにある種のロマンを持っているのだろう。

あれはいつだったか、我が店に一通の手紙が投函されていた。自分宛で、差出人の名は無か

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今日は耳鼻科へ行った。もしかすると、ただそれだけの一日だったかもしれぬ。けれども自分は自分を褒めてやりたい。ようやく行ったのだ。

病院へ行くなど久しぶりのことで、いささか緊張した。そこは、子供の頃に何度か行ったことのある地元の有名な耳鼻咽喉科で、最近ではレーザー治療などもやっているらしい。レーザーで鼻の粘膜を焼く、という恐怖治療である。自分はレーザー治療をして欲しいと思った。

「初診ですか?保

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2020年1月15日(水)

14:30
起床。やはり早起きは出来なかった。寝たのが9:00である。仕方あるまい。最低な夢だった。悪夢ではない。夢の中における自分自身の思考、行動が最低であった。内容は、むしろ、淫夢といって良いだろう。起きたとき、うわぁおれサイテー、と思った。勃起していた。

15:00
相方から「風の物語で」とラインが来る。昼に会おうと言っていたのだった。「半になります」と返して、一服する。バナナ。シャワーを

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らんだ

ふと気が付くと、年が明けてからもう15日も経過していた。店も潰れて、仕事もせず、ライヴもせず、ここ何日間の自分はひたすら瞑想という名の怠惰に身を任せていた。誰に会うわけでも無く、昨日も今日も家の中、一人でくしゃみをしていた。外は相変わらず寒そうで、まったく世の中はシビアだ、空はすぐに暗くなり街は寒波に包まれるから、外へ出ようにも出られない。頭の中ではさまざまな言葉が渦巻いて、そろそろ気が狂いそうな

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秘密の弱点

誰にでも弱点やコンプレックスがある。それらは大抵、大っぴらには言えぬ恥ずかしいものだと思う。尻に巨大なおできがある、鼻糞を無意識に食べてしまう、箸が持てない、漢字が書けない、竹馬に乗れない、へそが臭い。そうした弱点を、皆おそらく普段の暮らしでは隠していて、あくまで真人間の顔を作り込んでは平然を装い、安倍がよぉ、なんて言いながらハイボールを飲んでいる。

勿論、自分にもある。誰にも言えずひた隠しにし

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ヤング・ボーイの憂鬱

真冬の寒さは鋭くて、外にいても家にいても突き刺さり、すこぶる嫌になります。年が明けて、店が潰れて、歳を取って、けれども、これといった実感の無い、うだつの上がらぬ日々を過ごしています。幸せです。

祖母の家に行った。老犬のパピヨン♂と戯れた。祖母の家に男性が来るとき(郵便屋やヘルパーの人)、彼は必ず玄関に立ち塞がって吠えるという。一人きりの祖母を守ろうとしているのだろうか。小さな番犬。しかし、彼は決

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暗黒の恋

自分は高校を出て、大阪のつまらぬ公立大学へ行ったのだが、つまらなかったので中途退学をした。初めの一年はそれなりに授業にも出たのだけれど、まったく面白味も無く、また、周りの大学生たちとも何だか反りが合わず、やがて段々とサボりがちになった。短い人生の中でも非常に暗黒な時代であったと思う。しかし実は暗黒の中にも、一度だけ、眩い恋の光が射し込んだことがあり、それは未だに忘れることが出来ない。

あれは二回

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また会えたらいいね

我が店、ライヴ喫茶 亀が一旦終焉した。そして2019年が終わった。阿呆みたいに笑っていたら、いつの間にか年を越していた。しっかりと風邪をひいて、けれども、そんなことはどうでも良かった。あなたは元気にしてますか。沢蟹のかにくんは、元気です。

最後にひとつ、夢を見た。

約五年の間に、様々なことが通り過ぎた。良い風が吹いた人間もいれば、どん底奈落に落ちた人間もいる。そして、何も変わらぬ人間もいる。自

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