難波ベアーズ

毎月開催している「ナイトオブコメディー」というライヴを、次は難波ベアーズという場所で行う。

この老舗のライヴハウスは、何とも穏やかでない、どこか殺風景で冷たい雰囲気がある。ライヴハウス特有のチャラい要素が皆無で、不器用な荒々しさに満ちている。自分は何度か行ったことがあるのだが、地下へと降りる階段はいつも妙に緊張する。大阪のコアな音楽界隈では有名な小屋らしく、普段は様々なジャンルのミュージシャンが出演している。

自分が初めてベアーズへ行ったのは18歳頃だったか、友達が出演するのを見に行った。地下へと降りて、扉を開けると轟音のノイズが響いていた。観客は四、五人、全員まばらで棒立ち、特に盛り上がることも無く立ち尽くしていて、ステージでは奇妙なおじさんが一人で叫んで暴れていた。自分も棒立ちでそれを眺めた。おじさんの出番が終わり、パチ…パチ…と薄い拍手の後、何だかその場にいる全員が行く宛ての無いやるせなさを感じたのか、腕を組んむ者、頭を掻く者、煙草に火を付ける者…、と、それぞれが無の時間を過ごしていた。おじさんは真顔でステージ上の機材を片付けて、礼も言わずに去って行った。あれは何という人だったのか、知る由もない。

90年代のベアーズでは、お笑いライヴが時折催されていたという。千原兄弟がベアーズの上のマンションに住んでいたとか、二丁目劇場の芸人たちが数多くベアーズに出演していた、バッファロー吾郎が単独ライヴをしていた、などの噂を聞いたことがある。当時の若手芸人というのは、ここ最近のふにゃちんとは違って、恐い目つきで勃起しながらふざけているような印象(リアルタイムでは見ていないので何とも言えぬが、話を聞く限り、そのような感じである)で、そうした芸人たちがベアーズに出演していたと聞いた自分は、何か良いな、と思った。それ以来、特にお笑いライヴは催されていないという。

ここは、ライヴハウスにしては珍しく、ドリンクカウンターが無い。つまり、ワンドリンクオーダー必須、という今では当たり前のシステムが無く、酒や食べ物の持ち込みは基本的に自由である。なんばからは少し歩くが、周辺には渋い喫茶店もあり、悪くない。

その辺りも含めて、「ナイトオブコメディー」が似合う場所だと思い、開催に至った。勿論、場所が変わったとて、内容は大して変わり様も無いので、我々はいつも通りに演るのみです。刹那で愉快なコメディーを貴方に。良ければ、是非、見に来て下さい。

1月28日(火)
『ナイトオブコメディー』
@難波ベアーズ
(大阪市浪速区難波中3-14-5新日本難波ビル地下1階)
【出演】
ヤング
村橋ステム
クリスタル大坪
ドリンクバーゲン

とびだすエロ本
オムライス
開場19:00 開演19:30
1,500円 学生1,000円
※予約不要

何もいりません。舞台に来てください。