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小説のようなもの

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小説スタイルとしてサイエンスを綴ります。
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2019年1月の記事一覧

「これはね、書いていないことが大切なの」と彼女は答えた

「これはね、書いていないことが大切なの」と彼女は答えた

「またきた」
香奈子はそう言って、手に取っていたスマホを机に置いた。里菜は白ワインを一口飲んでから、「どしたの?」と聞いた。

香奈子と里菜がいつものお店のカウンター席で飲むのは毎月恒例の行事だ。二人とも会社員ではなく個人として働いている、いわゆるフリーランスだ。香奈子はライターとして、里菜はイラストレーターとして、企業から依頼を受けたときに仕事をする。

「今日打ち合わせした人から早速Faceb

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