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【しまね女子ブログ】隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~第2話:地域おこし協力隊で漫画を描く【前編】~

今から4年半前。隠岐の島町に移住することを決めた私。まず最初に立ちはだかったのは「住む家と仕事どうしよう?」という課題でした。漫画の原稿料だけでは心許ない。でも引っ越す前に就職活動することは困難。その時私は思い出しました。実際に隠岐の島町に旅行していた時、隠岐の島町役場からもらってきた移住関連パンフレットに『地域おこし協力隊』の募集チラシが挟まっていたことを。

地域おこし協力隊とは

『地域おこし協力隊』とは「地方に移住したい都市部の人間」と「スキル・人材が欲しい地方」を結びつける…地方と都市の架け橋となる総務省の制度です。その業務・活動内容は主に地域の課題や、新たな価値創造に取り組むこと。
まず地方自治体が「解決したい課題」を幾つか掲げて協力隊の募集を行い、それを見た移住希望者が、自分が取り組みたい課題や部署を選んで応募する…という流れが主です。
任期は1~3年。隠岐の島町の場合は、住む家と家賃も補償してもらえますし、副業もOK!(自治体や雇用形態によって異なります)
さらに起業したい隊員向けに、起業支援金という上限100万の補助金もあります。

右も左もわからない、知り合いもいない町で、とりあえず家と仕事を確保できるというのは、私にとってとても魅力的な条件でした。副業もOKなので、これまで通り漫画の仕事も続けられます。
さて、チラシの募集要項を見て、色々考えた結果、私は『農林水産課』を受けてみようと思いました。これまで農業には何の関わりもなく生きてきた私が、何故農林水産課を選んだのか…それは農林水産課の課題が「隠岐の特産品のPR」だったからです。PRでしたら、私の「漫画が描ける」というスキルが活かせるかもしれません。(この時、相変わらず漫画はスランプ中でしたが、「まあ、現地に行けばなんとかなるだろう」と思っていました。だって「隠岐に移住すれば創作意欲が戻ってくるはず!」と考えていたからです)
また、実は農業にはちょっと興味もありました。「Minecraft(ゲーム)で畑作るんじゃなくて、本物の畑作ってみたいな~」「隠岐に引っ越したら、家庭菜園してみたいな~」という程度の、そんな淡い憧れでしたが。
「農業経験はないけど、漫画家なのでPR用の漫画描けます!」と履歴書に描き、役場に送りました。その後、書類選考と面接を経て、無事採用が決まりました。

移住後、出迎えてくれたのは大量のわかめ

さて、仕事も住む場所も決まりました。さあ、あとは引っ越すのみです!私の地元愛媛から隠岐の島へ行くには、色々試しましたが車が一番楽です。しまなみ海道から尾道・松江自動車道を抜けて境港まで、意気揚々軽自動車を走らせました。尾道・松江自動車道はそれぞれのICに道の駅があるので、寄り道しながら走るのが楽しいのです!

一番のお気に入りは世羅高原!お洒落で美味しいものがいっぱいです

境港からは、隠岐の島町行きのフェリーに車ごと乗りこみます。片道18,260円…高い!でも背に腹は代えられないので払います。(もうちょっと安ければ、もっと気軽に島内外を行き来できるんですけどね…。)愛鳥のヘナちゃんも、ペット料金(1000円)を払って、一緒に乗船です。

生まれて初めてフェリーに乗ったヘナちゃんは、心なしかはしゃいでいるようでした。

そんなこんなで、無事隠岐の島町に着き、これから住む家に辿り着きました。
引っ越し初日、まずはご近所さんへの挨拶です。私の出身は今治市なので、引っ越し挨拶の品はもちろん今治タオルです。これからお世話になるであろうご近所さんに、タオルを渡しつつご挨拶に伺いました。その時ご近所さんの一人が、「良かったらコレ持ってき」と言って、黒いポリ袋をくれました。中身を覗くと、黒いヌメヌメしたものが!
正体は生わかめでした。それも丸々一本が大量に!
正直その時まで私は、わかめと言えば塩蔵や乾物といった、加工されたわかめしか見たことありませんでした。でもその時目の前にあったわかめは、まだめかぶがついている、正真正銘海から採って来たばかりの「わかめ」だったんです。自分の腕ほどの長さがあるわかめを見ながら「わかめって本来こんな形なんだ!」と軽く衝撃を受けました。めかぶも原型を見たのは初めてでした。めかぶと言えば、スーパーで売られている、パック詰めの、すでに刻まれためかぶしか知らなかったんですよね。

わかめは好きなので頂けるのは嬉しいですが、ただ問題は一人暮らしの私がこの量を食べきれるのかということ。そのことで困っていると、また別のご近所さんが保存方法を教えてくれました。食べきれないわかめは、干して乾物にすればいい。めかぶは冷凍保存すると、ネバネバがマシになって逆に食べやすい……などなど。他にもおススメの調理法も教えてもらいました。初日から、ご近所さん達にはホント親身に接してもらいまして、知らない土地でこれから過ごす不安が和らいだものです。

流しいっぱいのわかめ

頂いたわかめですが、まずは卵とじにして食べました。軽く火を通して出汁醤油で味付けしただけの簡単調理でしたが、まあ美味しいかったこと!隠岐のわかめは肉厚で、ジャキジャキとした歯ごたえ。めかぶは天ぷらにすると、衣がサクサク・中身はモチョモチョしてこれも絶品!

これはわかめしゃぶしゃぶ!紅葉おろしポン酢で食べると最高です♪

これはあとで聞いた話ですが、生わかめは日持ちしないので、島外には流通してないとのこと。つまり島に住んでいる人だけが食べられるご馳走なんです。

採れたての食材、保存方法、そして島外ではすでに珍しくなったおすそ分け文化……

それは隠岐の人にとってはきっと当たり前の日常なのでしょう。しかし、隠岐に来たばかりの私にとっては新鮮で、どこか尊さすら感じる非日常でした。なんというかこう…自然と共に生きてるって感じで!

この時はまだ、協力隊の仕事が始まる前でした。ですがぼんやりと「この体験を漫画にしたら面白そうだな」と考えてました。

物干し竿で、雑に吊られたわかめ

地域おこし協力隊の話なのに、何故こんなに生わかめのエピソードを丁寧に話すのかって?もちろんそれには理由があります。
では、次回からいよいよ、協力隊として業務がスタートするところから書いていきます


▼過去の記事
《第1話》隠岐の自然に背を向け、私は引き籠る~移住のきっかけ~

◆◇◆━━━━━━◇ プロフィール ◇━━━━━━◆◇◆

【ペンネーム】あーさ
【居住市町村】隠岐の島町
【UターンorIターン】Iターン
【移住前の居住地(都道府県)】愛媛県
【年代】40代
【お仕事】漫画家
【好きなこと】仕事で漫画を描くこと 趣味で漫画を描くこと
       隠岐の美味しいご飯屋さん巡り インコを吸うこと
【Love shimaneとしてひと言】
隠岐の島町に愛鳥と共に移住して早4年。暇さえあれば家にこもって漫画を描いているため、まだ訪れたことのない隠岐の観光地がたくさんあるという、なんとも残念な体たらく。
そんなインドア派でオタクでおひとり様の私ですが、ここ隠岐の島町で豊かな暮らしを楽しんでいます。
普段は引きこもり、たまに外に出て隠岐の自然や人々との交流を楽しむ…そんな私の日々の感動をお伝えしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

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