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短編小説

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#cakesコンテスト

消滅おっぱい

三つ単語貰って書いた短い物語。

「筋肉」「エスパー」「喫茶店」「ハルコー!起きなさい。早くしないと店開けれないでしょう」
うるさい。ケータイのアラームよりうるさい金切り声でママが叫んでいた。今日も5時起きか。私は毎朝5時に起きて、寝癖ボーボーのまま、離れの小屋にいる牛の乳搾りを無理矢理させられている。断ったらあとが大変。そしたらママはごはんも作ってくれないし、お小遣いもくれないし、私が一番コンプ

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忘れられない一日

忘れられない一日

三つ単語のお題を貰って書いた短い物語です。

「誕生日」「友達」「ケーキ」

明日は特別な日!明日はあたしの大好きな恋人のたっちゃんの誕生日。そして、あたしとたっちゃんが付き合って一年記念日。たっちゃんの誕生日はあたしたちが付き合った記念日と一緒の日なの!明日はあたしが生きてきた人生の中で一番幸せな一日にするって今からやる気満々なの!
大好きなたっちゃんのためにどんなお祝いをしてあげようかって、ち

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私はキジムナー

彼が浮気した。確実に。合鍵で彼のアパートに入ると私は発見した。つけまつ毛を。彼の部屋の床にぴったりとくっついている、つけまつ毛を。私が普段使っているものとは明らかに別物の、毛虫みたいな、埃にまみれまくった、つけまつ毛を。

私は佇んでいた。彼が大好きなアサヒの瓶ビールが何本も入った重いスーパーマーケットのビニール袋を両手にぶら下げたまま。ビニール袋が手に食い込んで痛かった。でも、それよりも痛い

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幻とのつきあい方

幻とのつきあい方

三つ単語のお題を貰って書いた短い話

「りんご」「森」「部屋」あれはわたしが人生で一番泣いた日だった。

おじいちゃんが死んだ日だった。大好きなおじいちゃんだった。おじいちゃんは空手の先生だった。強くて、厳しくて、でも、とびきり優しくて、自慢のおじいちゃんだった。

おじいちゃんは病院で最期を迎えるのを嫌がった。お医者さんの反対を押し切り、病院を飛び出して、家で最期の時間を過ごした。

おじいちゃ

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