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教師シマリス

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学校の授業、教育系のアレコレ、楽しく学ぶ工夫、そんなことを書いた記事をまとめました。 現在アメリカの私立高校で歴史と科学などを教えていますが、それ以前は日米を含め6カ国で英語・コ…
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#毎日note

君が留学決める前に言っておきたい:関白宣言

君が留学 決める前に 言っておきたいことがある かなりきびしい話もするが シマリスの本音を聴いておけ 英語ばかりを 学んではいけない 英語だけ出来ても 何にもならない 読書の時間作れ 歴史・数学・美術史 どれも全部やれ 日本語でいいから 忘れてくれるな 国語の読解も出来ない生徒は 英語で読解、分析、論文、何にも出来ないってことを 発音よくても、教養不足で 落第ってこともあるから 英語以外も今のうちから 黙ってたくさん勉強してこい 今時の若い人、さだまさしさんの ”関白宣言”

環境に作られた悪魔

“インターネットはなるべく見ないようにしている、ネガティブなことを見ると傷つくし落ち込むから”―――—そんな風にラジオで心の内を語っていたのは高見沢さんでした。有名人だから・顔が知れてるから、そんな理由で誤解されたり批判されたり、噂されたり悪い様に言われたり・・・それが誰でも可哀想だと心から思います。有名人だからこそ“見ない”という選択しかないことも苦しいことです。 もう何年も前ですが我が校で初めてのネットいじめ(英語ではcyberbullyingと言います)が発覚し、子供

”トイレの自由”はない

私が勤める高校は全校生徒合わせても300人くらいと小さいので、校舎も4つしかない。基本的に学年ごとに必修の教科(歴史や文学)は同じフロアで行うので、移動は10秒ほどしかかからない(*アメリカの高校で教師をしています)。 多分そんな理由から授業と授業の間の移動時間は3分しかない。それだけあれば十分間に合うのだが、一つ困るのがトイレに行くこと。 生徒はいい。授業中に手を挙げて ”先生、トイレに行ってきます” と言えばいいだけなので、3分の間におしっこに行けなくても別に辛くは

ジャニス・ジョプリンを書く

女子生徒の一人がジャニス・ジョプリンのTシャツを着てきました。 彼女が誰か知ってる?と尋ねると歌手だというのは知っているけど、それ以上は知らないし歌も聞いたことがない、とのこと。サマースクールの生徒たちはまだ15、6歳なのでウッドストックの時代の音楽を耳にすることもないのでしょう(親御さんは40代でしょうし)。 なので今日のクリエイティブライティングの授業は急遽変更してジャニスの Piece of My Heart をバックに、歌詞を読み、そこからインスピレーションを貰っ

成績は与えられるものではない:You Earned It!

毎年この時期になると生徒から、父兄から、怪しいメールが届く。 出していない宿題を今更提出し“出さなかった宿題がたくさんあるけど一生懸命努力したから”どうか学年末の成績を変えてくれ、というものだ。(*アメリカの私立高校で教師をしています) 我が校では年間の平均成績が75点以下は落第で、2教科以上落第すると留年になる。 なのでギリギリ足りない、もしくはだいぶ足りない、生徒が最後の1週間そこらでこれまで出していなかった10週間分の宿題を今から出すから加算しろ、とか受けなかった8週

イチゴとみかんの魔法

昨日から学年末試験が始まり、教師は来たい人は学校に来て教室で最後の1週間を過ごしていいですよ、と言われたので今日も行ってきました。生徒は全員オンラインですが我が校の教師・職員はほぼ100%がワクチン接種を先月までに終えたので、最後くらいは学校で、との計らいだと思います。(*アメリカの私立高校で教師をしています)。 毎年恒例の学年末のパーティーもあるのですが、今年は任意参加で校庭にテーブルをセッティングするということでした。いくらワクチン接種済みでも室内での会食はなるべく避け

留守番のトリとクマ

この歳になっても可愛い男の子からぬいぐるみを貰うことがあります。 まぁ、可愛い男の子は9年生やら10年生やらの生徒なんですがね。(*アメリカの私立高校で歴史を教えています) パンデミック前、まだ学校が対面授業だったときに男の子が2人で私の教室にプレゼントを抱えてやってきました。 メキシコから可愛くてカラフルな手作りのぬいぐるみを持ってきたアンヘロ。 イタリアからグラディエイターのコスプレをしたクマを持ってきたジャンカルロ。 10年生だった彼らはお互いをけん制しつつ、俺のぬい

Empathy:留学生の気持ちを教師に体験してもらう

10年前我が校の教師研修で、英語がまだ初級レベルの生徒に授業中どのような配慮をしたらいいのか、を同僚教師たちと話し合ったことがある(*アメリカの私立高校で歴史を教えています)。 それまで我が校には留学生が5-6人しかおらず、至れり尽くせりで学習サポートしてきたが、その数が一気に40人ほどにまで増え、どの教師もあわあわしていたからだ。 どんな子供でも私たち教師にとっては大切な生徒であり、一人一人がそれぞれの成功を掴めるように授業の内容や形態、使う資料や講義の方法などもフレキシ

モヤっとするのは記事の方じゃん

久しぶりに何の役にも立たない記事を最後まで読んでしまった。ツイッターのトレンドで目にしたので読んでみたのだが、何ともモヤモヤする記事だったので、このモヤモヤをこの記事の中で処理したい。 記事は『生贄探し 暴走する脳』についてだが、著者の中野さん本人が書いたものではないと思う、というかそうであってはいけないほどのモヤモヤであった。私は『生贄探し 暴走する脳』を読んでいないので、その内容についてはコメント出来ないが、中野さんのプロフィールを拝見すると理系の才女であられるのは一目

アメリカ人とケチャップの悲しい話➁

その1はこちらから! 疑問:アメリカ人はケチャップやピザを野菜と思っているのか?結論から言いますと、アメリカ(国として)はケチャップもピザも野菜として認識していないです。 しかしながら政治的理由で野菜としてカウントしようかなぁ〜という事態はありました。でも結果的には”カウントされるわけないやん!”というUSDA(米国農務省)の発表で決着は1981年についています。 ではどこからこんな話になってしまったのか。 発端は1980年代のレーガン政権時の大幅な連邦政府の予算カット

アメリカ人とケチャップの悲しい話①

 西宮ながた整体院さまのトマトとケチャップに関する記事を読んでの感想は うちにもおっきなケチャップあるな ケチャップやピザを野菜・健康と思っているアメリカ人は周りにはいないな でもアメリカ人は日本人よりはケチャップ消費量は多いな でした。 ながた先生が”本当にアメリカ人はケチャップは野菜で健康だと思っているのでしょうか?”と聞いてらっしゃいましたので私の徹底的にリサーチしてその疑問に答えようと思います。ソースは記事の最後にまとめて貼ります。 私は歴史の教師ですのでちょっと

15歳を教えるのは傷つくけど楽しい

私の生徒は2005年2006年生まれ。私にとってみればまるで先週のような感覚の時間に生まれています。*アメリカの高校で歴史を教えています 見た目が大人っぽい子もいるし、大人顔負けの知識や才能を持つ子もいるし、話し方や考え方が大人っぽい子供もいて、体格もいいので時々そんな最近に生まれた、“小さい”子だということを忘れそうになりますが、ふとしたことでこの子たちの世界は私の世界と全く違うものだということがわかります。 そのほとんどが笑えることであり、今時の若いものはとか最近の高校

悪いことはしないでくれ

気分が沈んでいる。 昨日も今日も何となく授業に身が入らず、夜は何度も目が覚める。 コーヒーを飲み、美味しいヨーグルトを食べても、何となく気分が沈んでいる。 宿題の添削も、職員会議も、明日の準備も、何となく面倒だ。 理由はわかっている。 生徒の一人が退学になったからだ。(アメリカの私立高校で教師をしています) これまでもちょこちょこと小さな問題があったし、最近は成績も芳しくなかった。 親を交えての面談やカウンセラーの先生との時間もあったが、改善せぬままに、またひとつ問題を

生徒たちのジャンボ餅:Only in Kagoshima! Only for Us!

日本はどんなに辺鄙なところにたどり着いても美味しいものに巡り会える。 日本を出たことのない方は知らないかもしれないが、それは世界的に見て本当にレアでラッキーで、私のような人間には羨ましいことこの上ない。 海外生活30年のうちの3分の2はアメリカで暮らしている私にとっては“羨ましい”などとポジティブな感情では足らず、妬ましささえ覚える。 例えばひょっこり降りた駅の構内、ドライブ中に立ち寄った道の駅、歩き疲れてふらりと入ったカフェ、そんな場所で美味しいものに必ず当たる。 それは