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成績は与えられるものではない:You Earned It!

毎年この時期になると生徒から、父兄から、怪しいメールが届く。
出していない宿題を今更提出し“出さなかった宿題がたくさんあるけど一生懸命努力したから”どうか学年末の成績を変えてくれ、というものだ。(*アメリカの私立高校で教師をしています)

我が校では年間の平均成績が75点以下は落第で、2教科以上落第すると留年になる。
なのでギリギリ足りない、もしくはだいぶ足りない、生徒が最後の1週間そこらでこれまで出していなかった10週間分の宿題を今から出すから加算しろ、とか受けなかった8週間分のテストをどうにかして受けさせてくれ、とかパニックになる。

成績は毎週金曜に親にも本人にも送られているので、今になってやっと自分が及第点を取れないとわかるわけではなく、それまでは65やら40などの数字が並んでいても、根拠もなしにどうにかなるだろうと楽観的に構えていたわけだ。
それが まぁあと4週間あるし、とか2週間あるし、とかになり、いよいよ1週間になると慌ててこれまでの未提出の10週間分を出すから良い点数をくださいよ、と頼みにくる。

生徒も親も必ず言うのは

何時間も努力したのに出来なかった
一生懸命やったけど終わらなかった

それは本当なのかもしれない。でも成績には“努力”は加算されない。努力は客観的な数字や度合いで測れないから教師には評価しようがない。
なので、生徒の知識やスキルはその“結果”をルーブリック(採点表)を使って評価を表す。3段階までの知識しか身についていないのか、4段階までのスキルはきちんと出来ているのか、5段階の項目を全てクリア出来た発表だったか、そういう風に決まる。

評価は“It was pretty good なかなかよかった”とか“ Need more effort 努力が足りてない”などの曖昧な表現はしない。教師の私がどう思うかは評価の一部ではない。

どんな理由で説明が不十分だったか、正しい作文のフォーマットを使ったか、討論の発言のどの部分が曖昧だったか、質問に対する答えのどこがわかりづらかったのか、そんな細かなフィードバックを返すので、生徒達は次回何を、どこを改善すれば良いのかがはっきりわかり、スキルの向上や試験対策がしやすくなる。

きちんとルーブリックやフィードバックを読んで質問に来て、次はどこを頑張れば良いのかを理解し、準備をする生徒が、私たちの考える ”努力をしている・一生懸命やった” 生徒達なのだ。

そしてその子供達だって“補習に来た”とか“何時間勉強した”などは評価されない。
補習で学んだことが、勉強したことが、結果に反映されて初めて成績が見える。

そう言う理由で、私たち教師は絶対に Fritz worked so hard, so I gave him a Bフリッツは頑張ったからBをあげた、とか Lindsay received an A for putting great effort リンジーは一生懸命努力したのでAをもらった、とは言わない。

必ず You earned a B+! と伝える。Earn とは働いて稼ぐとか儲けるとか、取る、と言う意味だ。

成績は自分で掴むもの、結果は自分で勝ち取るもの
先生から貰うものでも、先生が与えるものでも、先生が決めるものでもない。

教師はそんなハッキリした理由からどんなに懇願されても生徒達の成績をあとで変えることはない。それは自分でいい成績を勝ち取った生徒に不公平で失礼極まりないからだ。


今年は10年生から3人の留年が決まった。
それも自分で取った結果なので、私を逆恨みなどせずに受け入れてほしい。来年こそはいい成績を掴んでくれ!

シマフィー

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