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”トイレの自由”はない

私が勤める高校は全校生徒合わせても300人くらいと小さいので、校舎も4つしかない。基本的に学年ごとに必修の教科(歴史や文学)は同じフロアで行うので、移動は10秒ほどしかかからない(*アメリカの高校で教師をしています)。

多分そんな理由から授業と授業の間の移動時間は3分しかない。それだけあれば十分間に合うのだが、一つ困るのがトイレに行くこと。

生徒はいい。授業中に手を挙げて ”先生、トイレに行ってきます”  と言えばいいだけなので、3分の間におしっこに行けなくても別に辛くはなかろう。しかし、教師はそうもいかない。生徒たちをほっぽって 

”ちょいタンマ!先生トイレ行ってくる!”  と席を外すわけにはいけない。

朝の授業は苦しい。通勤のドライブ中にコーヒーをたくさん飲んでいるのでトイレが近くなる。授業中に漏らしてレジェンドになりたくないので、3分の間に必ずトイレに行かねばならない。腹がたつのは校舎のフロアには2つづつしかトイレがなくどちらも個室なので一人づつしか使えない。

トイレの前の廊下には必ず一人、二人、教師が並んでいる。お互い顔を見合わせ、了解しているのは私たちは一般人とは違い超人的なスピードで用を足せる、ということだ。もう職業病を超えて身についた匠の技のようなものだ。

最初の何年かは3分間休みに行きたくなくても必ずトイレに行く・無理だったら50分間ひたすら気を紛らわせて授業をする、という毎日だった。ラッキーなことにここ2年はTA(アシスタント)がいるので、どうしてもどうしても漏らしそうなら、”2分見といて!” と頼んで授業中にトイレに行くこともできている。

トイレの自由がある職業のみなさん、あなたの自由は本当に尊いものですのでどうぞ大切にしてください。

そしてトイレの自由がない同志のみなさん、これからも我慢する・速く出す技を磨きつつ、いつかくる定年退職時のトイレの自由を待ちましょう。

シマフィー 



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