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留守番のトリとクマ

この歳になっても可愛い男の子からぬいぐるみを貰うことがあります。
まぁ、可愛い男の子は9年生やら10年生やらの生徒なんですがね。(*アメリカの私立高校で歴史を教えています)

パンデミック前、まだ学校が対面授業だったときに男の子が2人で私の教室にプレゼントを抱えてやってきました。
メキシコから可愛くてカラフルな手作りのぬいぐるみを持ってきたアンヘロ。
イタリアからグラディエイターのコスプレをしたクマを持ってきたジャンカルロ。
10年生だった彼らはお互いをけん制しつつ、俺のぬいぐるみの方が可愛い、こっちの方が凝っている、これの方が値段が高い、と言い合いながらそれぞれを私の前に突き出して

シマ、どっちが好き?どっちを選ぶ? とまるで結婚相手を選んで欲しいかのようにひざまづきました。

真剣な16歳を前に、自分も周りにいた他の生徒も大笑いのなんとも幸せな時間でした。もちろんどちらもありがたく頂戴して、教室の本棚に飾っておきました。
それは2019年の11月のこと。

それから程なくして、翌年3月にはオンライン授業になり、それは今まで続いています。アンヘロもジャンカルロもご両親の意向で本国の学校に通うことになり、結局は会ってさようならも言えないままに帰国しました。

今日、久しぶりに学校へ出向き、自分の教室に入ってまず目に飛び込んできたのがこのトリとクマでした。置かれていた場所にそのまま、私が帰ってくるのを首を長くして待っていたかのように、ちょっとだけホコリを被り斜めにかしいでいました。
あの2人の可愛い男の子に シマ、おかえり〜 と言われたみたいでちょっと嬉しくなりました。

久しぶりの学校はガランとして寂しかったけれど、この派手派手なヌイグルミが私の教室の華やかさ・賑やかさを守っていてくれたようで、ここに生徒たちと戻ってくるのがますます楽しみになってきました。
それまで後もうちょっとの間、お留守番お願いしますわ、トリとクマ!

シマフィー 

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