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15歳を教えるのは傷つくけど楽しい

私の生徒は2005年2006年生まれ。私にとってみればまるで先週のような感覚の時間に生まれています。*アメリカの高校で歴史を教えています

見た目が大人っぽい子もいるし、大人顔負けの知識や才能を持つ子もいるし、話し方や考え方が大人っぽい子供もいて、体格もいいので時々そんな最近に生まれた、“小さい”子だということを忘れそうになりますが、ふとしたことでこの子たちの世界は私の世界と全く違うものだということがわかります。
そのほとんどが笑えることであり、今時の若いものはとか最近の高校生は、と苦言を吐きたくなるようなものではないのですよ。

いい意味で15歳の彼らは私にとって違う世界から来た宇宙人のようであり、彼らの住む・見る世界を垣間見るのは楽しいのです。

ジェネレーションギャップはどの世代にもあると思いますが、私は大人の半分はいわゆるアナログな時代で、残りの半分はあらゆるテクノロジーが身近になった世代です。なので彼らが使う現代のガジェットも、彼らの知らない黒電話や電報も使ったことがある、まぁ貴重な世代ですな!

そんな彼らから受ける世代の差にちょっと傷つき・笑っているのはこんなこと。

コンパクトカメラの使い方がわからない!
どのボタンを押すのか、どうズームをするのかがわからずもたもたします。写真好きで一眼レフとかを持っている子は、コンデジは小さすぎてどう持って構えたらいいかわからない、と言います。
もちろん彼らが写真を撮るのは携帯電話なので、私のカメラにフィルターがないのも???なのでしょう。アート好きの生徒はフィルムカメラとかをかわいいから、と言って買いますが現像は町の写真屋さん、ではなく自分たちで学校の暗室を使います。多分現像をしてくれる写真屋さんはないんじゃないかなぁ。
先生が高校生の頃は、遠足の後に掲示板に貼ってある写真の焼き増しの申し込みをして、好きな男の子の写真をこっそり手に入れた、と教えると
”手間がかかるね〜”と笑っていました。

ハンカチとティッシュを持っていない!
まぁアメリカ人の子供でハンカチ・ティッシュを持ち歩く子供はいませんが、日本人の留学生も持っていませんでした。ハンカチを使うこともなくペーパータオルや温風機で手を乾かすのでいらないのですね。私は今だにどちらも持ち歩いています。
彼らにとってハンカチとは19世紀を描いたドラマや映画に登場する小道具です。割と真剣に ”あぁシャーロックホームズが持ってるね” とか言います。

携帯なしでどうやって待ち合わせするのか不安!
先日授業の一環でインタビューを受けた時に、携帯電話がなかった時代(もうこのテーマですでに私は化石のような気分です笑)の良いこと悪いことについて聞かれました。
デートや遊ぶ時の待ち合わせはどうしたの?と聞くので、”前日に集合場所と時間を確認して相手を信じて現場に出向く”、と答えるとみんなが うえーーーーーっと声をあげました笑。
生徒:もし会えなかったら、遅れたら、来なかったら、どうするの?
化石:ある程度待ちますよ
生徒:ある程度ってどのくらい?
化石:30分か1時間か・・・・
生徒一同: えええええーーーーーーー
だってその場所を離れたらすれ違いになるし・・・・
彼らの感想は “リスキーすぎる、昔に生まれてなくてよかった”

90年代の音楽を聴いている!
音楽、何を聴いているの?と聞いた時に  オールディーズ!レトロ!と言われた曲が80年代・90年代だった時は白目を剥きました。レトロってせめて50年代じゃないの?
ユーロビートやらホイットニー・ヒューストンやら10000マニアックスやらのプレイリストを見て、”先生、全部知ってるよ、リアルタイムで” と言うと
”えーーーーじゃぁレコードとかで買った?”
そんな昔じゃないし!!CDやし!
いやいや、でもよく考えると、私が聴いてる90年代のアルフィーさんの名曲 Brave Love とか最近ですやん!私の中ではめっちゃ最近の曲。腑に落ちない。

そして毎年必ず教えないといけないこれ!
ワードのセーブアイコンがわからない。“セーブってどれ〜?”とあちこちから声が飛びます。

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今だ頑なにフロッピーディスクを使ってるマイクロソフトさん、もう多分意地で変えないんでしょうね。
タイプの練習をさせる時にワードの主な機能も必ず教えるようにしているのですが、毎回フロッピーディスクが何かを説明しないといけない。
でも結局は ”この四角いのをクリックしてセーブ!”

そして一番、多分毎日感じているのは生徒たちの自由な発想と発言。
文化的なことも、年齢や世代的な理由もあると思いますが、授業中の質問やそこから派生して横道に逸れてしまう興味の内容も自由!
私が学生の頃は先生が怖くて聞けなかった、もしくは恥ずかしくて黙っていたこともバンバン言葉にします。

ちなみに今日の授業中の生徒同士の会話(イスラム帝国滅亡をやっています)

A:イスラム過激派は、アメリカとかがお金を払って頼めばモンゴル帝国がやっつけてくれるんじゃない?←真剣に話しています

B:いや、もうチンギス・ハーン死んでるし、無理!←真剣に話しています

C:他にも強いハーンがモンゴルにまだおるやろ ←真剣に話しています

・・・なんかもうどこから説明を始めていいやらわからない笑

15歳を教えるというのは楽しいものです。

シマフィー

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