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生徒たちのジャンボ餅:Only in Kagoshima! Only for Us!

日本はどんなに辺鄙なところにたどり着いても美味しいものに巡り会える。
日本を出たことのない方は知らないかもしれないが、それは世界的に見て本当にレアでラッキーで、私のような人間には羨ましいことこの上ない。

海外生活30年のうちの3分の2はアメリカで暮らしている私にとっては“羨ましい”などとポジティブな感情では足らず、妬ましささえ覚える。
例えばひょっこり降りた駅の構内、ドライブ中に立ち寄った道の駅、歩き疲れてふらりと入ったカフェ、そんな場所で美味しいものに必ず当たる。
それはアメリカでは稀だ。
大体が画一的な見かけで、味で、大きさで、メニューを開いて名前を読めば大体の味と見てくれは想像できる。もちろんその土地ならではの美味しいものも、いわゆる“ご当地グルメ”のようなものもある。
NYスタイルピザだったり、南部のガンボだったり、南西部のグリーンチリであったりだ。それでも当たり外れがある。

そんなアメリカで生まれ育った生徒たちを連れて、過去2回、日本へ修学旅行に行った(*アメリカの高校で教師をしています)。歴史文化や美術などを学ぶのがメイン(建前)だが、生徒全員、引率の先生と私の楽しみはもちろん食べるもので、私たちは事前にあちこちの名物をリサーチしあれが食べたいこれを食べたいとリストアップしていた。

東京から南へ向かう2週間ほどの旅行で、私たちは毎日3食プラスおやつ、夜食、スナック、など食べまくった。
熱海、名古屋、京都、大阪、奈良、岡山、広島、山口、福岡、佐賀、鹿児島、どこでも私たちは顔を見合わせて

オーマイガーーーーーっと美味しさからくる興奮をシェアしていた。

そんな食いしん坊の私たちの合言葉は Only in ----- だった。Only in Nara! とか Only in Conbini(コンビニ)! とか Only in Mos Burger! とかそこでしか食べられないので食べねば!と自分や友達を説得するのに使う合言葉だ。

日本を訪れる外国人が食べたいものトップテンに入るような寿司、天ぷら、すき焼き、カレー、トンカツ、そば、ラーメン、たこ焼き・・・定番ももちろんたくさん食べたが、17歳の彼らが痛く感動したのはスイーツだった。和菓子だ。

前にも甘いものの記事を書いたが(こちらこちら)、アメリカのスイーツと日本の甘味は違う世界のものだ。

京都では干菓子やねりきりなどの美しさにうっとりし、広島ではもみじ饅頭を全種類食べ、岡山では可愛らしいきびだんごと写真を撮り、博多から乗った新幹線では通りもんを分け合った。

生徒たちは新しいお菓子に出会うたびにこんなことを言う。
日本はちょっと移動して違う街や隣の県に行くと、全く様相も味も材料も違う和菓子に出会える。それぞれのお菓子に歴史があり、どうしてこの土地の銘菓になったのかを知るもの面白い!日本は狭いのに多様だね!

そんな私の生徒が感動していたのが、鹿児島の仙巌園で食べた両棒(じゃんぼ)餅。

甘いお醤油と味噌がかかったお餅なのだが、桜島と錦江湾の絶景を見ながらのゆっくりとしたおやつは至福の時間だった。
お昼ご飯の後だったので、10本を5人で分けなね、といって生徒20人に40本買ったが、全然足りずまた40本、また40本と買い足し、結局は200本くらい食べた気がする。その名の歴史を伝えると、彼らは大きな声で That's so cool! と合唱した(↓このページで読めます)

2015年の修学旅行を思い返すと生徒たちが嬉々として両棒餅を奪い合い、綺麗だねー綺麗だねーと言いながらキラキラ光る錦江湾に浮かぶ桜島を口をモグモグさせながら見ている光景が浮かぶ。鹿児島でもまだ肌寒い2月、観光客は他におらず特等席とジャンボ餅は私たちが独り占めした。

Only in Kagoshima! Lots of mochi only for us!! Woo hooo!!!

そう叫ぶ彼らの声と、甘い醤油と焦げた餅の匂いまで鮮明に思い浮かぶ。

シマフィー


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